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わたしはシャンプーマン

続・わたしはシャンプーマン

シャンプーマンの存在ってなんだろう?

スタイリストはお客様を輝かせる黒子だと教わった。じゃあ、シャンプーマンは?そのスタイリストを引き立たせる黒子?そう考えるとなんか切ない……黒子の黒子は何なの?


 スタイリストによってはシャンプーマンをぞんざいに扱う者もいる。「ふざけんな!」心の中でそう叫ぶ。シャンプーマンの仕事はお客様がスタイリストの仕事というメインディッシュを頂く前の前菜なの?技術を教わっている身としては肩身は狭いが、お互いリスペクトってもんがあるでしょ!っていうかリスペクトさせろ!リスペクト出来ねぇんだよ!……失礼、でも本当にそういうスタイリストはいる

「お前さぁ、シャンプー指名入ってるけどこのお客さんは俺の客だから!お客さんに余計な知識を吹き込んでるのお前だろ?いろいろ質問されるんだわ!面倒だから余計な事言うなよ」……ハァ!?なんじゃそりゃ!ふざけんなよ!っとまたまた失礼しました。もちろんそんな事は言えない。っていうか「お客さん」ってなんだ!「お客様」だバカやろ〜……とも言えない。だってわたしは「シャンプーマン」だから

 「あんたを輝かせてんのわたしなんだけど!それにあんたの説明不足も補ってるのもわたしなんだけど!」とまたも心の中で叫ぶ……はっ!?そうか……黒子の黒子は太陽か?影ではなく照らす太陽!

 

 お客様を人間だと例える、いや例えるというか人間なんで例える必要は無いがとにかく例える

 スタイリストはお客様を綺麗に見せるために努力する黒子。ふん、あんた達スタイリストは所詮黒子だ。わたしは違う……わたしは「太陽」。なぜならどちらも照らすから、やばい、そう考えたらわたしって凄くね。でもそんな事言ってくれる人誰もいなくね?

「太陽」……太陽といえばわたしの手は「太陽の手」って呼ばれてる。どういうこと?と思うでしょ。これはどうやら手が温かい人の事らしい。まさにマッサージに適した手、との事だ。語源は昔あったアニメでパン職人に適してるとかなんとか……ってオーナーが言っていた。だからマッサージの才能もあるらしい。ん?口の上手いオーナーがわたしの事を丸め込んでないか?……まあいいか、褒められてる事には変わりはない


 ああ……自己満足、ふと我に返るとそんな風に思う。シャンプーマンとして極めつつあるわたしですら思うのだ。わたしの下にも数名のシャンプーマン達が存在するはっきり言ってまだまだだ。全てを任せることは出来ない

 果たしてこの子達はわたしの意志を継いでくれているのだろうか?何を思いお客様の髪の毛を洗っているのだろうか?

気になる、気になるがこういうことは今の時代聞くもんじゃない。いろいろと厳しい世の中ですから


ふふふ、しかしかれこれ一年以上シャンプーをしているわたしはどんなスタイリストになるのだろう。きっとシャンプーマンを大切にするスタイリストになるに違いない……ああ楽しみ……あれ?同期はもうシャンプーしてなくね?


 待て待てわたしがごちゃごちゃ考えている間にけっこう先越されてね?

 でも同期が付いてるスタイリストは甘いんだよ!それが原因。まだ入って間もない子達にシャンプーをさせて同期にはもう次の仕事を任せてる。シャンプー舐めんな!そんな事じゃきっとこの先、身を滅ぼす事になる……って誰かが言っていたような気がする


そうだ、シャンプーを疎かにするとダメなんだ!先生が言っていた……はっ!先生?……(おお)先生だ


 最近の美容室の世界ではスタイリストの事を「先生」なんて言わないよね。昔はよくお客様から「先生」なんて呼ばれていたらしい

 それでさらにその上の人を「大先生」なんて呼んでいたそうだ。うちで言うところのオーナーがそうなのかな?まあとにかく美容師にも縦のつながりは存在する。講習に参加した時に長老のような「大先生」に声を掛けてもらえた

 わたしからすれば雲の上の存在、そんな人だ……カラー講習に参加した際のシャンプーマンとして参加した時だった。もちろんメインはカラーリングなのでシャンプーなんて二の次……だがわたしは違うね。こんなとこでも全力出しちゃうもんね!カラーモデルで来てくださったお客様も寝かせちゃうもんね。まあ、プライド?ってやつかな

 もちろんスタイリスト達に罵られるよね。長ぇだウゼェだ言われるよね。まあ無視だよね、だってわたしはあの言葉が欲しい……「気持ち良かった」……キタァ……あぁ嬉しい……わたしがお客様を癒してわたしも癒される


 スタイリスト達がぶつぶつと文句を言ったり白い目で見たりする中、「大先生」が声を掛けてくれた


「あなた、とても素晴らしいモノを持っているわね……シャンプーを制する者は美容を制す!その事を忘れないでね」そんな言葉を頂いた事を思い出した


 うむ、ボクシングやどっかの名作バスケ漫画で聞いたようなフレーズ……そうだった。わたしはこの言葉を伝えていかなくちゃいけない。これからのシャンプーマンのためにも自分自身のためにも……

 


読んでくださりありがとうございます

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