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基本的な天才の仕組みについて。

作者: DO

 私は秀才であった。


 確かに幼少のころから人よりは何事も習得が早く、ある程度のことは特に努力せず大体のことができたのだ。


 であるが「十で神童、十五で才子、二十すぎればただの人」とはよくいったもので徐々に徐々に努力しないとできないことが増えていった。


 それでも周りよりはすぐれていたのだ、だから得意げになっていて私は天才だと思いあがっていたのである。


 だがそれも高校までであった。大学に行くと急にわからないことが増えた。

周りは平然のそれを乗り越えていくのに対して私は乗り越えるまでにとてつもない時間と労力を要した。


 悔しかった。嫉妬だってした。今までより努力だってした。

 努力をし続けた、そうすると周りに追いついたような気がした。

 

 だがその感覚も錯覚であったようで、私は所詮は秀才どまりであることを自覚させられた。

 

 そこには存在したのである。化け物とすらいえるような存在が。


 その存在はこの世のものとは思えないぐらい怠惰であったがその才能はすさまじく、私が努力して物事をこなしている最中に彼は鼻歌を歌いながらそれを軽々こなし、私よりすごい成果を出してる。


 もはや嫉妬すらできなかった。同じ種族とは思えなかった。



 だが同時に興味がわいた。



 彼はどのようにしてその結果をだしたのだ?

 彼はどのような思考回路でその結論に至ったのだ?

 彼はどうしてその発言をした?

 彼はどのようにしてその発見をした?

 彼は今何を考えている?

 彼は……。彼は……。彼は……。


 もともと私は未知のものに対しての好奇心がたかかったのだろう。

 興味は尽きることなくむしろ増えていった。

 

 直接聞いたことだってある、なぜそんな結論に至ったのか

なぜそんな発想に至ったのか。その存在からかえってきた言葉はこうである。


 「わからない。適当に考えていたらうかんできた。」


 まぁ、ある程度予想していた答えである。たぶん我々がなぜ言葉を喋れているのかを聞かれて答えられないようなものなのだろう。

 それでもその存在に対しての興味は尽きなかった。


 だが疑問に対しての答えは永遠にわからなかった。

 才能がなければ到達のできない領域というのはどうしても存在するのだろう。


 それでも努力だけはつづけたそのころから私は周りから天才と呼ばれるようになっていたがそう呼ばれるたびに複雑な気分になった。

 本当の天才はあちらである、こちらではない。化け物にはなれない。


 いつしか彼と同じくらいの結果を出せるようになっていた。彼は怠惰なままだったのに対して私は努力をし理論を構築し筋道をたてて結果をのこせるようになった。

 彼はフィーリングでやっているようだった。羨ましいという気持ちが芽生えつつももはやどうでもいいとすら感じていた。


 ああ、そういえば最近付きまとってくる人がいる。

 その人は私に、どのようにしてその結論に至ったのですか?と聞いてきた。

 私は道筋立てて答えるのが面倒に感じて、


 「わからない。適当に考えていたら浮かんできたんだ。」


 と返した。

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