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空飛ぶ絨毯は土足厳禁です!





「よーし。じゃあ、今から王国に向かう。まずは、ウォーキングするぞ。身体をシャキッとさせよう。2人とも疲れたら教えてくれ。」


「「ラジャっ」」


父は健康と私たちの成長のためこうして魔法に頼らない事も大事にしているらしい。

なんでも魔術師で移動魔法に優れている人は太っている人か、細く筋肉がないひ弱な体型の人が多いという。うん。カッコ悪い。想像と全然ちがう、魔術師ってスラッしていてカッコいいだろうとばかり思っていた。

父もそれが嫌で1日に何時間か時間をとって身体作りに励んでいるらしい。兄も私もナイスバディには大賛成だ。頑張ろう。



...


ゼェゼェゼェゼェゼェ…

ハァハァ…


「セ、セイちゃん?無理しなくても良いのよ。」

「そうか…。お兄ちゃん…後は任せた。モチ、運んで下さい。」

「おう、お前の意志は受け取った!任せておけ!」

『おいで〜おつかれぇ〜』


ポフっとモチの背中に抱きつく様に乗る。幸せ。

ウォーキング開始1時間歩きっぱなし。森の足場の悪い所を必死に歩いた。

大人身長では何ともない段差も幼児身長には高い段差になるのだ。1時間、よく頑張ったと思う。

まぁ、私のペースに合わせていたためあまり進んでいないのだが…


1時間後


ゼェゼェゼェゼェゼェ…

ハァハァ


「モチ…乗せてくれ」兄ダウン。

私がダウンした後、1時間兄のペースになり私の時よりも格段にハイテンポで進んでいた。


「よく頑張ったな、2人とも。後1時間歩くと開けたところに出るはずだから、モチの上で休んでいてくれ。モチ頼んだぞ。リゲルとピノはまだ飛んでるか?」

リゲルとピノは飛んで進んでは木に止まって待ってくれていたり、すこしどこかに飛んで以前私たちが一緒に採取したサラダになる薬草を持ってきてくれたりした。彼らは楽しそうにやってるみたいだし好きにさせている。


『ピノ変身の練習するの!』

『僕は擬態の練習にしようかな』


ピノは変身し、私の背中にピトッとしがみついた。リゲルは擬態の練習ということで兄の剣のキーホルダーになってしまった。兄は突然の擬態に興奮気味だ。



ーーーー


「2人とも起きなさ〜い」

野営の場所に着いた。少し早めのお昼にするようだ。

『さっき!ピノ!とってきたやつなの!』

どうやらピノとリゲルが何かとって来てくれていたようだ…これはホーンラビット…かな?

顔は全然可愛くない。獰猛なネズミっぽい顔をしている。


ピノはキュルンとした目で見つめて褒めて欲しそうだったので存分にヨシヨシし、チョコをご褒美にあげた。しかしホーンラビット…初めて見たぞ。こんな弱そうな魔物…


さっと父を見る。顔をそらされる。

もう一度兄が見る、またも逸らされる。


「強者のオーラがね、強すぎるのよ。これくらいの小さな魔物は強い生物が来ると遠くに逃げちゃうのよ…」


「強い生物だってよ。何の生物なんだろうな。」父の顔を見ながら言う兄。

「逆に弱い魔物を知らない私たち…非常識にさせているのは誰だろうか。」と父を見ながらいう。



「俺だ!お父さんだ!そんなに言わなくたっていいじゃないか〜!魔力隠すのめんどくさいんだもん!」

だもんって…まぁこちらも楽だからいいが


「ありがたいけどな。でも、やはり時間があったらお父さんから離れて刈りの練習でも行こうかな。」

「うん…私もそうする。すまないねパパン」


メソメソ言いながら父はご飯の準備を始めた。

私と兄は土魔法で簡易的なテーブル、椅子、手洗い場、簡易トイレを用意する。

トイレは、囲いを作り、便器を作る。下を少し掘って最近私と兄でホーンラビットから取れた魔石に浄化の魔法を付与して自動洗浄便器の完成だ。まだ大きい方は浄化までできないが…土の資源として自然に帰ってもらっている。


ちなみに付与魔法ができたのは呪いについて数日間調べてるときにあるヒントを得たからだ。

付与魔法は呪いの魔法の起源となる魔法だったととある資料に記述されていた。

付与魔法に怨念など人を呪いたいという気持ちが加わり呪術魔法が成り立ったという。

本来は付与魔法は無機物にしか効力は発揮しない。しかし人の身体である有機物ではなく魂という有機物でも無機物でもない対象には効力を発揮したのだ。それ以降、呪術魔法は人を呪う魔法として恐れられてきた。実際呪術魔法を扱えるのはごく一部の適性のある魔術師しか居なく、一般市民にとっては童話に出てくる魔法で実在しないと思われている様な魔法だ。

まぁ、今回倒した相手の中に沢山の呪術師がいた事はかなり驚きのことだったらしい。


その事から、付与魔法の仕方を父から教わり父所有の小さな魔石達で練習をしている。その一環として浄化の魔法を付与している。実用的だからね。


「よし。これでセット完了だな。セイ、リゲル達がとってきてくれた野草洗ってサラダにしておこうぜ」

ふふ。私たち、ちゃんとお手伝いをするいい子達なのだ。


フワッといい香りがしてきた。なんだろう。

見てみると先程ピノ達が狩って来たホーンラビットのお肉をふんだんに使ったスープの様だ。そして何より根菜をふんだんに使ってる!私はジャガイモが大好きなのだ。


「できたぞ〜。ホーンラビットのスープにくるみパンだ。」

「…くるみパンなんてよく作れたな。発酵も魔法でできるのか?」

「お父さんは錬金術得意だからね。発酵も一瞬で出来ちゃうのよ。便利よね。」

「すごい!早く食べよう!じゃがいもいっぱいでお願いしま〜す!」

あっ!おれは肉多めで!と兄も張り合う。



一同食べ終わってホカホカだ。

ホーンラビットは若干臭みがあったが香草で煮たスープがそれを抑え旨みになっていた。

食べ終えた後、母が何やらゴソゴソし始めた。


「ジャァーン!!見てみて!これ!さっき作ったのよ!暖かマフラーと手袋、靴下とうさぎマスク!」


…どうりで料理中気配がないなって思ったよ。


「うさぎマスク…」兄のライフが減った様に目から光を失っている。

「きゃ!かんわいい!」私はノリノリだ。


防寒着を着る理由は、これからいくジニアール大国が冬の季節だからだ。

そのため、母は私たちに可愛いモコモコシリーズを着せたいという。


私は安定の白兎シリーズ。マフラーと手袋、靴下は白いボンボンが付いている。そしてうさみみポンチョを羽織り、ウサギの口が可愛く刺繍されているマスクを付ければ本格的な白うさぎが完成だ


兄は、ボンボンは付いていない黒うさぎシリーズだ。うさぎマスクは口角が上がっていてちょいワル風だ。男の子仕様でよかったね。


食後、暖かい服装になり体温が上昇。よって…

「「おやすみ〜」」大きくなったモチにもたれかかり、リゲルとピノも私たちの上で丸くなり食後の休憩タイムだ。


ーーーーーー


パチパチ。目が覚めた。隣で兄もピノ、リゲルも寝ている。

う、トイレ...


「あらセイちゃん起きたのね。」「ん、おはよう。」

母は、父と机の上で呪いに関する資料を見ていたようだ。


トイレの外に出ると、不思議な小さな光がポうっと宙に浮いていた。これは以前みた精霊の光と同じだ...今回は羽が見える。


「精霊さん?」

『!!!!』


「こんにちは、今日はどうしたの?」

『ここここんにちは!覚えてくれたのですね!光栄です!今日はですね、実は精霊王に貴方様達の事をお伝えしたところ、お会いしたいとお話がありまして...』

「なるほど、許可を取りにきたのね。お父さんに聞いてみる!」


テテテテと走り父の所へ。


「んあ?どうしたセイ。あ...またあの時の精霊じゃないか...精霊王絡みだろどうせ。めんどくさい。交換条件飲むならいいぞ。」...パパん。精霊一言も話してないのに内容を理解して先に取引内容話すのはさすがに可愛そうだよ...。


『条件とは!?なんでしょうか!』


「呪い返しの材料の調達。あるいはその情報だけでもいい。材料についの情報を持ってきてくれたら話しに載るぞ。あいつに会うと疲れるから極力会いたくないんだがな。」


「ふふふ。貴方ったら。相割らず苦手なのね。」


『了解しました!直ぐに精霊王様に聞いてみます!』


「おう。ご足労だったな。お前、何か食べていくか?ゆっくりしていっていいぞ。お前もあんな奴に使いっぱされちゃあ気の毒だからな。」といい父は精霊が好きそうな、モモンジャムをスプーン1杯分取り、そこに小さなお花を添えて「食え」と精霊に渡した。

いやいや乙女!パパん!SNS映えだよ!

精霊は目に涙を浮かべ両手を組み合わせ父を祈り始めた『僕なんかに!優しい!はじめてこんなご好意を...』とうるうるしながら食べ始めた。


『おいしい!力が湧いてきます!』と精霊の光がキラッキラと輝き始めた。

「そうか。気のせいだとは思うがな。美味いならよかった。」なにか特別にジャムに込めたのかと思ったが特に何もしていないらしい。プラシーボ効果を発揮したようだ。


必ずや!呪い返しの材料の情報か材料を手に入れてきます!と張り切って精霊界へ戻っていってしまった。


ちなみにまだ兄とモチ・リゲルは熟睡中だ。


まだ出発の気配がないので、気になっていた魔法の絨毯機能を使う事に


「本さん。魔法の絨毯お願い!」


お好きなデザインを選んでちょうだい♡!↓


そこにはいくつかのデザインがスケッチしてあった。この中から選べといく事だろう。


ベース色が選べるようだ。深緑、深紅、紺、オレンジ…

全てに金で偽装前の本にあった不思議な柄の刺繍が施されている。

絨毯の四方にある綱の束にはベース色より明るい魔石が付いている。豪華絢爛といった所だ。

何となく夜空に溶け込む色がいいと思ったので紺色を選択。すると…


ボンッ!!


目の前に合った本が魔法の絨毯に変身した。そして某アニメと同様、意思があるようで...

握手を求めてきたのでそれに何となく答えるべく手を差し伸べると、グイットなかなか力強く絨毯の上へ引き込まれた。


そしてフワっと地上から50㎝浮く。


「おおお。モチの時とは違ってフワフワとした飛び方でこれまた一興...。」


はたから傍観していた父が

「なぁセイ!お父さんも載せてくれ!!」珍しく父の目がキラキラしている。

「セイちゃん!私も!」母も乙女の様にキャッキャして騒いでいる。


それを聞いた魔法の絨毯は角の綱の束を器用に使ってグーサインを返事をし、バフンッ

と絨毯面積が拡張。


「「「おおお!」」」

「すごいな。大きさ自由自在か!セイ。これはどれだけ魔力消費しているんだ?」

...あ魔力の消費量何て考えてもなかった。


「本さん。私の魔力のどれくらい消費するの?」


絨毯は考えるように顎に手を当て(顎は無い。)

1時間運転(中速度)=魔力消費200(単位50kg)

一人増えると倍の消費になるという。ただ重さ基準なため重い人はもっと消費する。

家族4人(私と兄が15~20kg)でも1時間約700~800消費する。うむ、なかなか消費するなぁ。


「なかなか今のセイには厳しいか...」としょんぼりしている父

「そ、そうね。大人は重いから...」と自身の二の腕をムニムニつまんでる母


「いや!30分なら!いいと思う!」


今の魔力量は...1480/1510。あ、昨日より10増えてる。魔力量はまだまだ沢山あるようだ。

うん、これなら30分皆を乗せることは可能だろう。


「なんだ皆。お!魔法の絨毯か!乗せてくれ!」と起きてきた兄。


「土足厳禁でお願いいたします。」


「「じゃあ遠慮なく。」」と両親。ニマニマしている。


4人とモチとピノリゲルも乗る。


皆が乗ったのを確認すると。

「えー皆様。”セイちゃんの魔法の絨毯”へご乗車頂きありがとうございます。安全運転をモットーに進行します。乗車時間30分です。それでは皆様夢のような一時をお楽しみください。」と一礼。


パチパチパチと拍手が家族から贈られる。


では、と絨毯に魔力を込める。ふわっと木々の上のさらに上まで上昇。


「「「おおお」」」


「出発!」


ふわっふわと優雅に進んでいく。下に見える木々、なによりも座っているからか遠く遠くを安定して見渡せる。父も母もはじめて魔力を使わず上空から落ち着いて辺りを見渡せることに感動している。ピノは飽きたのか絨毯の飛び方をまねるように飛行している。たった30分だが兄がキャンプセットの中から、やかん、コップ、急須を取り出しモモンのティーを提供。ほっと一息家族団らんの一時を過ごし30分の飛行は終了。


「えーご乗車ありがとうございました。」駅員さんっぽい言い方で閉める。

「ありがとうなセイ!優雅だった!いい時間をありがとう。」と父がわしゃわしゃと撫でてくる。

「そうね、本当にいい時間だったわ。ゴウ君もありがとうね。美味しかったわ。しかしかなり進んだわよね。」


そうなのだ。終盤あたりで遠くに大国のような影が見えたのだ。


現在の魔力1105/1500 まだ余裕そうだ。


「これから飛翔でいくがすぐに着いてしまいそうだな。今のうちに変装しておこう。」

と変身ネックレスを掛け皆茶髪茶目に変身。


なんなら俺入国するとき鳥になろうか?と兄がめちゃめちゃな事を言い始めたが、父は案外乗り気な様で。入国後国王に会うとき変身してほしいと父が話した。


「確かにお父様に会うには城外からちゃんと門を通って入った方がいいわね。私は外出してる身だから。」

「そうだ。それまで俺らは変身はしないがお前らの容姿は見られたら困る。だから変身してくれているとこっちも安心なんだ。」なるほど。いくらお母さんの出身国、元お家でもばれたくない相手はいるってわけだ。


とりあえず今は普通の変装をして大国へ向かう。


「セイは体調大丈夫か?」

「まだ魔力もあるしさっきお昼寝したし大丈夫だよ。」


「よし!じゃあ向かうぞ!」と不可視の魔法を掛け上空を飛び大国へ向かった。


_____


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