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魔法です。あの魔法ですよ。




「あ~皆も思い出したか?前世の記憶」と父が神妙そうな顔で皆に聞く。


「ええ。走馬灯のように思い出したわ。すこし混乱はしているけどね」と母も心配な顔で私たちを見た。


「俺も、だ。ただそんなしけた顔すんなよ。あれは事故。しかも前は大人だったんだぞ、瞬時だったが、状況も理解できてたし、今更悲しくもならない。」


「私も!今はこんな3歳時だから心配な目で見るのはわかるけど当時は大人だったんだよ。確かに少し悲しいけど、今皆といるからいいやっ」


「そそ結果オーライだ。なんたって魔法の世界だしな。」

にししっと兄は笑っている。


笑って答えているが兄も私も、前世を思い出し悲しくないのは嘘だ。かなり辛い。

だが両親だってそうだ。残してきた友人や親戚もいる。


ただ、大切な家族と一緒にいられる。この事実だけで十分でもあった。


私たちの意見を聞き両親はしおしおと泣きそうになってしまった。


「もう!しんみりするのは後っ!とりあえず状況把握よ!」



しばらくすると落ち着きを取り戻した父が

「さっきはありがとうな二人とも。俺たちも家族揃っていられることが何よりの支えだ。聞くが、二人の今の精神年齢はどんな感じだ?セイは以前と違い舌ったらずなしゃべり方もないしハキハキ話すから何か変わっているんだろう?」


「あーそうだな。確かに大人の頃の精神が少し混ざっているとは思うし、子供っぽさも残ってるとも思うな」兄が自分の手を見つめながら話している。


「私も、話し方がスムーズになったし前世の精神年齢も精神に混ざってる気はする。

あと考え方や知識も前世分あるから大人っぽくなってる思う。」


「わかった。じゃあ今後の話はお前たちも一緒に話していこう。

状況があまり良くないから、いろんな意見が聞きたい。

ちなみにさっき突然現れたのは黒龍だ。なんであんなのがこの辺にいたんだかよくわからないが。まぁその事は今はどうでもいいな。問題は馬が逃げちまったことだよなぁ」父が苦笑しながら話す。


「そうね。二人も一緒に考えてほしいわ。

問題としては移動手段についてね。食料についてはこの前買ったマジックバックに一杯入っているから大丈夫。あと馬車自体もお父さんが結界張ってたから壊れてはいないから大丈夫よ。

けど...

一番の問題は、みんなも思っていると思うけど、モチがいない事よ。」


モチとは前世に我家で飼っていた愛犬の名前だ。

その彼が今ここに一緒にいないのだ。最後の記憶では一緒に車の中にいた事は分かっている。が、今世ではまだ会えていない。

モチは白くモフモフした犬種で成犬になるととてもカッコいい見た目をしていた。

我が家の癒しだった。そんな彼がいない事は我々にとって由々しき事態なのだ。


「俺もモチの事気になってた。

モチも、もしかしたらこっちの世界に来てるかもな。そうだといいな。」


「ああ。モチも今一人だったら相当寂しがってるぞ。さみしがりやだったからな。

こっちだと魔獣の類になるんだろうな。っておいおい討伐なんかされてないだろうな」父が青ざめている。


「大丈夫よあなた。モチの気配消す技は伊達じゃないわ。敵からはちゃんと身を隠していると思うわ。ただそうね、もしこっちに来ているなら早く見つけてあげないとね。」


そう。モチは怖い性格の犬や強そうな犬、うるさい犬をお散歩で発見したら電柱などに隠れて様子を伺っていたりしたのだ。面倒ごとは嫌い。怖いのも嫌い。そういう性格なのだ。


「最優先事項だね。モチの事は常に念頭に入れとこう。あと問題は私の足じゃ歩みが遅いことかな。」私のムチムチ幼児ボディじゃ到底歩けない。


「それは俺もだ。いま5歳児だから体力もないんだよな」

兄もまだほっぺがぷっくりと膨れている幼児体型なのだ。


「そうだよなぁ...まぁ、そのへんは今日休んでから考えないか?なんせもう夕方だ。日が沈んでる。疲れてるだろう」

空を見上げると日が暮れ始めてきていた。

兄を見てみると疲れている顔をしている。旅をして1週間の疲労と馬車から落ちた事によるショックとで混乱しているのだろう。両親は妙に落ち着いているが...



それからは馬車の中を漁り必要なものを出し、整理していった。

その後は、テントを建て魔道具の結界を起動し、携帯食で簡単に夕飯を済ませて就寝した。

ちなみに私のご飯は柔らかく煮たコーン粥みたいなものだった。


テントへ入り、各自横になったが考えてしまうのか、誰も寝ておらず、ぼーっと上を見ている。

隣にいる兄にふと気になったことを話してみる。

「ねね、お兄ちゃん。魔法って私たち使えるのかな?」

「俺も気になってた。お母さん使ってたよな?

俺たちよく魔法のアニメとか見てたし何かできるんじゃないか?」


兄も気になっていたみたいだ。

私は少し考え初級の魔法と呼ばれるライトを人差し指を立て唱えてみる。


「ライト」


ぽわーん、と蛍の光の様なものが人差し指に灯る。


「お、おいっできんのかっ!?」

テントで一緒に横になってた両親もこっちを見て驚いてる。


兄もライトと唱えるとイメージしたものが違うのか強い光の玉がピカッと浮かんだ。

「まっぶしい」というとフォンっと消えた。


「あなたたち...魔法がもう使えるの...いや確かに...ブツブツ」

母が顎に手を当て何か考え始めた。


「お、おい。魔法って5才に行くお祈りをした後にしか使えないんじゃないのか?」


そう。この世界では教会で祈りをささげると魔法が使えるというのが常識だった。が兄もまだ5歳になったばかりでその式を行ってもいない。


「もしかしたら、あなたたち前世の記憶があるから魔法のイメージができやすいんじゃない?私たちは5才からって習ってたけど今ならそれがおかしいことも分かるわね。うーん、ばれると教会側から異端って見なされるわね。このことは明日改めて考えましょう。とにかくもう寝なさい。」


「「はーい」」


すやぁ




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