調査開始!いざ、敵地!
「ピノッ!」
ピアノの音の様に弾みコロコロ変わる鳴き声と表情から、ピノ。
『ピノ!わたちピノなの!ありがとうなの!』
ぴょんぴょん跳ねている。
嬉しそうだ。
「あら、いい名前じゃない。可愛らしいピッタリな名前ね。良かったわね?ピノちゃん」
母もぴょんぴょん跳ねて喜ぶピノを頬ましそうに見ている。
「私は主って呼ばれるよりセイって呼んでほしいな!これからよろしくね!ピノ!」
わかった!セイちゃんなの〜!とパタパタ飛んできて胸に飛び込んできた。
兄も、同様に子供の黒龍をお互い同意の上テイムした。
名前を「リゲル」
地球から見える惑星の名だ。夜空から青白く光り、高音で燃えてる星。
彼の瞳は、己を主張するように青く輝いている。
そして黒い鱗が光に反射するとキラキラと星が輝く夜空の様でリゲルと名を付けたのだと言う。
かっけぇよ。
ピノ…も可愛い名前だもんね!うん!性格を良く表してて愛着出る!本人も気に入ってるし!
兄は何て言うんだろう、中二病をくすぐられる名前のつけ方なのだ。
『リゲルお兄ちゃんなの〜!』
『ピノ...か、うん、可愛い名前だね。』
おおぅ、リゲルは随分と落ち着いた性格だな。
正反対だ。兄と気が合いそうだ。
兄弟で名前を確認しあってる
『おお、良かったのぉ、2人とも。
従魔になったから喋れる様になったのか。そしてゴウとセイとやら、良き名前だな。息子たちも気に入っておるみたいだ、ありがとうのう。』
どうやら従魔になると話せるようになったらしい。普通龍は知性が歳を負うごとにに高くなる、話せる様になるというが、私たちの様に魔力の高い人にテイムされると、知力・攻撃力・魔力値など全体的に上がるため稀に話せる個体がいると言う。
リゲルとピノは潜在能力も高かったからすぐに話せる様になったのだろう。
「よしお昼の後、俺とお母さんは、黒龍を呪った奴と、その組織の奴らの対処について話す。あと、冒険者の1人、男の子がこの森で行方不明中なんだ。お前らも前ギルド内で会ったツンデレ気味の子だ。その子の捜索もかねて、この後の計画を立てる。
お前らは少し寝て体を休めておいてくれ。」
そうしてお昼を準備する。
今は大体12:30頃だろう。太陽が上に登ってきている。
今日のお昼のメニューはチーズフォンデュだ。
なんでも昨日買い出しで調理器具をたくさん買い込んだらしい。
そのうちの一つがフォンデュ用のコンロと小さめのフライパンだ。
チーズはモーモーとメーメー(羊の魔物)を混ぜたものらしい。モーモーは脂質が多くこってりした味わいの強いチーズだが、メーメーは淡白であっさりしているとのこと。
そこに胡椒、香りのある薬草を乾燥させて砕いたものを入れて混ぜる。
…楽しみだ
兄と私とモチは薬草サラダを収穫するべく周辺をうろつく。リゲルとピノは私たちが何をしているのかと興味津々に後をついてくる。
『ゴウ君…何してるの?さっきからしたばかり見てるよね?』リゲルが聞いてくる
「おう。野菜…薬草を探してるんだ。
食べられる葉っぱって言った方が伝わるか?」
「そそ、そのまま食べて美味しい薬草」
『ピノしってるよ!ね!おにいちゃん!』
『うん…。でもそれが探しているものかどうか…
僕達がよく食べてる葉っぱだけど…』
もじもじ…
リゲルは照れ屋さんな性格の様だ…萌ぇだよぉ!
「グッ…リゲル、おいで。
そこに案内してくれるか?リゲル達が何を食べていたか知りたいからな。」
兄は耐えれなかった様だ。
リゲルを抱きしめてムギュムギュしている。
「ピノも教えてくれる?」
ピノは褒めてもらいたくてウズウズしてた。
かわいいぞ!撫でるとキュッと鳴いて喜んでいる。
モチも撫でて欲しそうにこちらを見ていた…
お兄ちゃんだから我慢だ!とブツブツ言っている。
無言でうなずき合い、兄と共にモチを撫で回した。
うちの子が可愛すぎる!少し長めにモフモフした後、2匹に先導され目的の薬草の所まできた。
どうやら木の葉っぱらしい。
「これか?少し赤いな。」
プチッ
水ですすいで食べてみる
苦味は強く無いがナッツの様な香りがする。
「うまいな、これって何か実も付けたりするのか?」
2匹はすぐさま上の方へ飛んでいき木の上に乗り、枝を揺らす。
ポトポト
んんん?
これって…
そこにはアーモンド、カシューナッツ、胡桃、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ…など様々な実が落ちてきた。
「これは…なんで?なんでこんな種類?」
一つの木に様々なナッツが実っている。
「モチ!お母さん呼んで!ナッツがすごいって伝えて!」
そう。私も母も無類のナッツ好き。
サラダのトッピング、パウンドケーキ、チョコにもなんでも合うのだ。
母が一瞬にして転移してきた。
「なんですって?!?!
見つけたのね!!!!素晴らしいわっ!
これは龍の菓子と呼ばれてる幻の木なのよ!
リゲルちゃんとピノちゃん!教えてくれてありがとうね。…でも、他の人に教えちゃダメよ?
普段は龍達が幻影で隠してるものなんだから…」
「え!俺たち知っちゃったよ!
てか、龍がみんな食べてたら普通人間も知ってるだろ。俺たちも普通に教えてもらったし。」
「伝説よ!伝説!
龍が匿う木は芳醇な香りを漂わせている。
ただその芳醇なものを独り占めするために龍の王は全ての龍の菓子の木に幻影をかけた。
例え、木が子孫を残しても幻影が受け継がれる様に強力なものを。他の種族に取られない様に。
そう伝えられているの。
そもそも、龍をテイムするって勇者の一族以外誰もいないわよ。
ドラゴン系の魔物はテイムされているかも知らないけど、龍は無いわよ…」
母は私たちの常識のなさに焦り始めた。
ナッツをアイテムボックスに入れ、
ごめんねと、木の枝を折りアイテムボックスに仕舞った。いつか苗木するためだ。
回復魔法で木に栄養をあげた。
その後は適当に薬草を摘み、黒龍達の元へ戻った。
戻ると、母は教育者の目になり私たちの常識の無さを改めねばと言うことでドラゴンに関する講義が行われた。
母の説明によると、黒龍の様な龍種はドラゴン系の魔物の中でトップに君臨するのだと言う。
そもそもドラゴン系の魔物は基本的に強く最弱のワームでも一体に対しCランクのパーティでやっと倒せるとのこと。
特にワイバーンは気性も荒く、群れで過ごすため街に来てしまったら一瞬にして滅びるとまで伝わっている。それほどドラゴン系は一般的に危険種として認知されている。
黒龍は別名ブラックドラゴンと呼ばれていた。
本来はこの呼び名だったが勇者がドラゴンを龍と呼んだことから、浸透していったらしい。
龍種は太陽を司る光、大地を司る緑、
海を司る青、火を司る赤、そして夜を司る黒。
がいる。
そして黒龍によると
龍種はそれぞれ神から与えられた役割があるとのこと。それはそれぞれが司るものを守り管理すること。
そして任された大陸を守らなければならないとのこと。
龍の下に精霊が付き、仕事を分担していると言う。
龍同士はお互いの管理地区に入ることは出来ないらしい。地上でお互いが近づくと、膨大な魔力が反発して爆発を起こしてしまうからだ。
そこで神が龍の巣を天界につくり、龍同士でも休める場を提供したのだと言う。
「話が膨大…神とかいるのか。
てか、龍って神の使いってことじゃないか?
え、俺たちテイムしちゃった。不敬罪?」
ほんと、不敬罪だわ。神って…
架空でしか考えたことなかった。前の世界では信仰の対象でしかなかったのに本当に実在するとは思ってもなかった。
...宝くじ当たりますように、とばかり願っていた。
「あ、お前らは多分大丈夫だぞ?
俺ら勇者は神の意思で召喚された一族だからな。
龍と同格だと思うぞ。俺の爺さんも昔テイムしてたしな。
それより…俺は前火の龍と戦って倒したけど…不味かったな。」
『お主!火の奴と戦って負かしたのか!
ふはははははははは!!!!!!
さすが勇者だのぉ。大丈夫だ、龍は簡単に死なないからな。倒したと言っても、死体は出なかったろう?龍はのぉ、神に管理されてる故、死体は残らずすぐに消滅するのだ。
そしてすぐに天界の龍の巣で蘇生するのだ。
まぁ今回の様な呪いでは死ねないからこそ悩みものであったのだが。
はー面白い。赤の奴は戦闘大好きなのだ。
愉快な奴よのぉ。
そうだ。我、お前達の調査についてゆく。
ここら一帯は魔力が回復したから強化しておいたから離れても大丈夫そうだ。ざっと30年位は安定するだろう。』
「いいぞ。お前は被害者だからな。
ちゃんとみんなで対策して調査には挑もう。
まぁその話は後にしようか。さっ!飯だ!ちょうどできたぞ!」
父は手際良く会話の間も手を休めずチャカチャカと作っていた。
まずはチーズフォンデュ。
つけるものは温野菜、硬めと柔らかめのパン、そして取ってきたナッツを使ったピザまで作っている。ピザには甘く煮詰めたモモンのジャムがかかっている。
父曰く、このピザの上にチーズフォンデュを掛けて食べるのが最高に上手いらしい。
モチは甘いものに興味はなくチーズと横においてあるオーク肉の炭火焼と燻製を凝視している。
黒龍親子はチーズフォンデュに興味津々だ。黒龍は大きすぎるので、ワイバーン程度大きさ、3メートルくらいになってもらった。もっと小さくなるのは息子たちと同じサイズになるので嫌だったらしい。
ちなみに黒龍の実際の大きさは相当なものらしい。らしいというのは、実際に私たちが見ていた黒龍の大きさは最大の大きさでは無いとの事だったからだ。
龍は体が大きいことは強者の証だと言っている。よって子供たちの様な大きさにはなりたくないという。
そんな龍親子は目をキラキラさせて料理を凝視している。
「よし!盛りつけたぞ!
好きな素材を串でさして食べるんだ。ソースも用意したから飽きないように工夫してくれ。
じゃあ手を合わせて 「「「いただきます!」」」」
『『ます(ちゅ)!』』リゲルとピノも 真似をして羽を合わせていただきますをする。
モチは母に「お手~お替り~...よし!」と相変わらずやっている。
分かるぞ母よ。いくらモチが話せるようになったとしても、ごはん前のお手お替り儀式はやらなくてはいけないのだ。ごはん前のペットはとてつもなく可愛いのだ。
今は聖獣だが変わらず我が家の愛犬には変わりはない。
よし、私もいただこう。
...パンにモーモーとメーメーのチーズミックスをパンに付ける。食べる。
「...k...くぅ!これは!」美味しい!言葉にならない!なんて上手さだ、チーズの合わせ方が絶妙すぎる。モーモーのチーズから出た豊潤な香り...だが口に溶けるのは淡泊なメーメーのチーズ。
父に目を向ける。グーサインだ。
「お...セイの口に合ったようだな。グーサインしてくれるのは良いが、目が充血してるぞ。ゴウも、落ち着け。そんな美味しかったか、よかったよかった。」
兄も目を見開いて食べている。
「ピノ!これ冷まして置いたから食べてみる?」ピノは皆の食べ方をみて真似しようとしていたが熱いチーズを口に含むのは怖いらしい。
お皿にチーズを掛けたパン、温野菜類、ピザを小さくして盛り付けておいた。
『セイちゃん!ありがとうなの!...まちゅ!』
グほ!最後のはいただきますの事なのか!
あ、母も見ていたみたいだ、額に手を当てて可愛さにクラクラしている。
そんなピノはもきゅもきゅと満面な笑みで食べている。
隣で兄も自分の食事を後回しにしてリゲルの面倒を見ている。
「これをこうやって食うんだ。」と串でさして食べる食べ方を教えている。
『ゴウ君...この食べ方おいしい!!』
あんまり表情を変えないがリゲルでも美味しい食べ物にご満悦の笑みを浮かべている。
目がキラキラだ。
兄はうんうんと頷いている。師匠になった気分な様だ。
では、次にピザをいただく。
チーズフォンデュをとろ〜っとかけて。
「ムムム!」
みょ〜〜〜〜ん
っとチーズが伸びる。そして、モモンの果実の甘い香りとナッツを炒った香ばしい香りがは鼻を抜ける。
あぁ。なんて至福なんだ。
噛むごとに湧いてくる小麦の香り。
食感のハーモニー…素敵だ。
『これは!なんて美味なんだ!
この実にこんなにも美味い食べ方があるのか!
我、こんなにも美味いもの初めて食べたぞ!』
黒龍はバクバクと食べている。
父はゴーレムを作成して機械の様にピザを作らせている。
各自満足したそうで今は土魔法と植物魔法で作り出した簡易的なベッドで寝ている。
そう。至福のお昼寝タイムだ。30分程度時間をとる。健康的な時間割だ。
ピノは私のお腹の上で丸まって眠っている。まだまだ赤ちゃんだ。
リゲルは兄の足元で丸まって寝ている。
母と父は黒龍と相手の呪ってきた集団に関して今後の調査の動きの確認も兼ねて話をするそうだ。
…
くかーーーーーー
「おーい起きろーそろそろ起きないと調査に行けないぞ~」
父がのんびりとした声で私たちを起こす。...30分と言わずあと2時間くらい寝ていたい...
兄と私はのんびりと起きる。
もうすでにモチとリゲル、ピノは起きて遊んで じゃれ合っていた。
その後は父から調査について説明が行われた。
どうも探査魔法で複数の集団がこの森一番の大きな山の地下にいることが分かったという。
黒龍もその気配は気づいていたが、呪いのせいで迂闊に近づくことは出来なかったらしい。
調査では捜索依頼が出ている冒険者のロイドの捜索も並行して行っていくとのこと。
そこで、調査の際にもし敵と思われる者と対峙しても殺さず捉えておくようにしなければいけないらしい。また、捜索依頼の出ているロイドに関しては呪いをかけた集団に捕まっている可能性があるとの事。黒龍が呪いにかかった時期と、少年が町へ帰ってこなくなった時期が被っているためだ。もしそうだとしたら今日は居なくなってから3日目。危険だ、なんとしても探し出さないと生存率が明日にはほぼ0に近くなる。
そこで私たちは至急ではあるが調査ではなく恐らく黒龍に呪いを掛けたであろう集団を捕縛する事となった。
今回は私も兄も戦力としてカウントするそうだ。
安全対策として、モチと常に行動を共にする事。盾を常に発動する事。そして各自に呪いを跳ね返すアイテム(母が先ほど作った)を身に着けることを守るようにとの事だった。
今回は相手が殺す気で攻撃してくるかもしれない。
気を引き締める。ピノも私の気合を感じ取ったのか目をきりっとさせて気合を入れる。
「セイ。頑張るぞ。安全第一でな。」兄は頭を撫でてくる。だが目は真剣だ。
「うん。頑張ろう。」




