第1話 不謹慎極まりないスローガン『働かざるして喰っていこう』を 掲げ、私の旅の始まりです。(1)
2007年、私はジェネラルサントスというフィリピン、ミンダナオ群島の
最南端の小さな港町に居ました。
この地からスタートした私の流浪の旅はおおよそ4年間。48か月近くも漂ったこの旅。実は好き好んだ滞在では無く・・・ただただお金に縁が無かった。
つまりは日本に帰るだけの余裕が無かった。
出来る事なら帰りたかった。
マニラの日本大使館員の方が薄情だった。
おかげ様で死にそうな想い何度も味わった。
日本大使館員の方。せめて飯ぐらいは、おごって欲しかった。
そんなこんなで・・・スタートです。
この地図。矢印が指し示す場所はダバオです。ココからさらに南下して海に面した港町。そこがジェネラルサントスです。
さて、第一回でもある今回。この旅日記を綴る目的を記しておきます。
数年に及ぶフィリピンの流浪の旅をココに記してみたい。それは単純な私の想いです。出来うる限り嘘と誇張を排して(何分、数年の時間が流れております。実に曖昧な私の記憶力。どうかご容赦下さい)知り合った人々の物語を記したい。そんな想いでスタートです。
先ずは数か月前の2006年の年の瀬。愛知県豊川市。とある場末のスナックです。私と私の職場の上司である Kさん。その頃私達は頻繁に会い、深夜遅くまで酒を酌み交わし、とある無茶な計画に酔いしれておりました。
「いよいよ計画実行だ!!シゲちゃん」 (シゲちゃんとは私です)
「いよいよですか Kさん・・・私は今だに信じられない想いです」
「俺ら一緒にフィリピンに行くなんて、半年前は思いもしなかったなァ」
「安心して下さい、Kさん・・・準備万端整ってます。デビューしたての
プレステ3。それにXBOX360。合わせてWii ・・・それらのゲームマシーン。そして、そのソフトを、がっつり買いそろえました。」
・・・聞くところによると現地ジェネラルサントス。
今だ(2006年の時点)プレイステーションの1が猛威を奮っているとの事。現地では高価な品であるらしく、一般には出回ってはいないとの情報。
はて⁉それではプレイステーション1。現地の皆さんどこでプレイするのか
と申しますと・・・デパート等のゲームセンターに荒々しく改造されたソレが哀れな姿で出回っていました(ゲームセンターの件は後々知る事となった話です。2006年この時点では知る由もありません)
「これはもう・・・凄い事になるぞお、シゲちゃん!あのジェネラルサントスにネットカフェをオープン。しかも最新のゲームマシーンを備える」
「現地での騒ぎが目に浮かびます!これは確実に受けます!!そして儲かります!!!」
旅日記のスタートである彼の地について軽く触れてみたいと思います。
ジェネラルサントスには鉄筋造りの建物が極めて少なく、どの地区を巡ってみても、緑鮮やかな木々の間を縫うように、低い屋根屋根の木造家屋が軒を連ねています。連日賑わいに沸くメイン通りの商店街も同様です。
低い屋根越しの店先は、余計な飾り等一切廃し、売買のみを主体とした実にシンプルなたたずまい。ただ公共の施設やデパート、ホテル等は例外的に3、4階の豪しゃな造りではありますが、どこか荒削りな印象は拭えません。
つまりは、誰も知らない・・・そう、忘れ去られた南海の小さな港町。
それが人名を都市名に配したサントス将軍です。
2007年初頭。ジェネラルサントスの街に念願のネットカフェをオープン。
一日に何度となく停電を引き起こすジェネラルサントスの街。そのたび事に、ひとつ又ひとつと盗まれるネットカフェの備品。故障続きの中国産ラップトップパソコン。キーボードは文字が削れて消えてしまう有様。Wiiコントローラーを激しく振りすぎて、壁に叩き付ける現地のガキんちょども!!!連日連夜畳み掛ける山積みの問題。思い起こしても腹立たしい。
あの豊川の夜・・・
とある場末のスナックでの語らいは夢の中の幻に終わりました。結論から
申しあげます。経営は約1年後に破綻。「良くぞ一年間も持ったものだ」と、今だ感心事のひとつです。ただ私がその経営に関わったのは、わずか三か月。
つまりは、
それらに関わった人達の思惑のすれ違い。そこから生じる諍い事。
その結果、私は三か月でソコを去る事になったのです。
フィリピン最南端。過疎の港町に、私は無一文で放り出されました。
上司のKさんは、その時点では日本に帰国していて既にひと月が経っていま
した。恐らくはあの時Kさんと私は、お互いが異国の地であるという躁な状態も相まって、子供じみた争いを連日繰り返していました。Kさんが私と争い、そして私との関わりを絶ち、ひとり日本に帰国してひと月が経っていたのです。
悲惨な結果となりました・・・
当初の計画。それは私の生活費をネットカフェの売り上げから捻出するはずの計画。私は生きる術を絶たれるはずが、そうは成らなかった事実に付いて記します。
<同作品をサイト「pixiv」でも掲載中>