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明治怪談  作者: 石田倫理
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第八話 歩兵第六聯隊兵舎

愛知県の博物館明治村の「歩兵第六聯隊兵舎」にまつわる怖い話です。

第六話の「名古屋衛戍病院」と合わせてお楽しみください。

第六話でとりあげた博物館明治村の「名古屋衛戍病院」の隣には「歩兵第六聯隊兵舎」という建物がある。明治時代には名古屋市の名古屋城の二の丸にあった建物だ。

名前からわかる通り、「歩兵第六聯隊兵舎」は大日本帝国陸軍の聯隊の一つで、名古屋を拠点に活動していた「第六聯隊」の兵舎である。

この建物の1階には当時のベッドや、中隊長室などが復原、展示されている。

2階は矢場・射的場があり、遊技が楽しめるようになっている。

またそれだけでなく「暗夜回廊」という暗闇の迷路の中を手探りで進むアトラクションもある。

歩兵第六聯隊兵舎にまつわる怪談はいくつかある。夜に軍靴の音が聞こえる。兵隊の姿を見た、など軍隊にまつわる定番の怖い話だ。

だが今回とりあげるのはそのような話ではない。


『「歩兵第六聯隊兵舎の2階にある「暗夜回廊」という、暗闇の迷路に当時小学校3年生だった息子と参加したんです。物怖じしない子だったので、私を置いてどんどん先に進んでしまったんですけど、子供は広い部屋で立ち止まっていたんです。電灯がフラッシュのように明滅していて、その部屋では全体が一瞬一瞬ではありますが、見えるようになっていました。

「お母さん、あの子気持ち悪いね」

子供がそんなことをいきなりいうのでびっくりしました。

子供が指を指すほうをみると確かに、男の子がいました。

服装は普通なんですけど、その子の表情は無表情でじっと動かずにいたんです。

息子には「見ちゃダメだよ」といって手を引きその場をあとにしました。

迷路から出ると、子供は「もう一回やりたい」といいました。正直なところ私は十分だと思っていましたが、何度も子供がせがむので、仕方なくもう1回だけと約束して「暗夜回廊」に入ることにしました。

また電灯が点滅する部屋に入った瞬間、ぞっとしました。

1週目と同じかっこうのまま、男の子がその場所にいたのですから。

息子にはそっと「あれは見ちゃいけないものだ」と耳打ちし、急ぎ足で出口へ向かいました。

息子も怖がってか、1回だけという約束を守ってかはわかりませんが、その後せがむことはありませんでした。

私が見たあの子は何者なのでしょう」


「暗夜回廊」で聞いた怪談はこんな話だった。ここで思い出してほしいのは、第六話の「名古屋衛戍病院」の話。名古屋衛戍病院のお化け屋敷にあらわれたのも、少年だった。

歩兵第六聯隊兵舎に現れる少年と、名古屋衛戍病院現れる少年。その二人は同一人物なのだろうか。それとも……。


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