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魔王の側近と勇者



俺の名前はグレイ、魔王討伐の依頼を王様から直々に授かった勇者だ。俺はこの愛剣デュランダルを持って魔王城まで向かった。


「とうとう、ここまで来たぞ!魔王!」


俺は大きな扉の前で止まり、深呼吸を一つして扉を勢いよく開ける。さあ、いよいよ最終決戦だ!


扉の向こう側を見て俺は愕然とした。俺はここまで死闘の戦いを繰り広げ、やっとの思いでこの魔王がいる場所までやってきた。なのにその魔王ときたら、可愛らしい女の子とお茶を飲んでくつろいでいた。


「ん?ああ、もう来たのか」


魔王と思われる男が俺に気づいて立ち上がる。俺は魔王?が立ち上がると同時に愛剣を抜き臨戦態勢にはいる。


「はっはっはっ、よくぞここまで来たな勇者よ!」


魔王?はよくあるおきまりの言葉を俺に送る。


「……それ私の言葉」


後ろに座っている女の子が魔王?に言う。


「え、え!?お前が魔王じゃないのか?」


勇者は困惑しながら魔王?に問う。すると魔王?は首を傾げる。それはまるでお前何言ってんの?と言いたげだ。


「俺は魔王様の側近、カゲト。そしてこいつが魔王のアリスだ。それと俺は元人間だ」

「お前、人間なのか!?」

「だから、そう言ってるだろ」

「なら何故魔王に味方する!これまで魔王が俺たち人間にどういうことをしてきたのか知っているだろ!」


俺はこのカゲトという奴に怒りを感じ声を荒げる。するとカゲトは笑い始めた。


「何が可笑しい!」

「何も知らなかった頃の俺を見ているようだなと思ってな」


俺はカゲトの行動やその他諸々まったく理解できなかった。それもそうだ魔王の味方する奴とそもそも理解し合えるわけがなかったのだ。


「お前と話していても無駄のようだな」

「そうだな。と、その前にお前の名前を聞かせてくれないか?」

「俺はグレイ、この世を平和へと導く勇者だ!『身体強化』!」


俺は名を名乗り終わると『身体強化』で筋力などを上げ、愛剣デュランダルでカゲトに斬りかかる。


「なかなかいい動きだな。しかし…」


俺の攻撃をカゲトは軽くかわし、腹に一発カウンターを入れる。しかし俺はそれを予測してあらかじめ腹にシールドを張っていた。


「ふっ、もらった!」


俺はカゲトの首を刎ねた。そしてそのまま魔王に斬りかかりに行く。すると、顔に殴られたような痛みがはしりそのまま壁に激突する。


「……どう…なっている!?」


さっき首を刎ねたはずのカゲトが俺の前に立っていた。おそらく幻術系の魔法を使ったのだろう。


「ふっ、あれは残像だ!」

「……それ言いたかっただけ」

「あれ?バレちゃった」

「……バレバレ」


こいつら余裕こきやがって!しかし、流石は側近簡単には倒せないか。ならこっちも本気を出すか。


「『限界突破』」


【限界突破】

人の120%の力を無理矢理引き出す。しかし使用後の反動が大きい。


『限界突破』を使うと蒸気のようなものが俺から出てきている。これはオーラと呼ばれているが特に意味があるわけではない。


「お前はその境地まで辿り着いていたようだな」


カゲトは『限界突破』に驚いてはいるが、焦っている様子はまったくない。流石は側近というべきか。


「行くぞ!カゲト!第二ラウンド開始だ!」

「いいだろう俺も本気を出そう。と言いたいところだがお前と戦うのは骨が折れそうだ。だから逃げさせてもらうよ」

「逃がすかよ!」


カゲトは何かのスイッチのようなものを取り出し押した。するとドンッとあちらこちらから聞こえてくる。


「何をした!?」

「魔王城の起爆スイッチ」

「……なっ!」


カゲトは魔王を脇に抱えて奥の扉の方は走って行く。俺は逃がすまいと苦し紛れに短剣を投げてみたが瓦礫に阻まれて当たらなかった。


「俺も早く逃げないと」


俺は魔王城からの脱出をしている最中に疑問に思ったことがある。何故最初から城に爆弾を仕掛けていたのか、爆弾を起爆させるなら何故最初からしなかったのか、何か理由があるのではないのか、それともただの思い過ごしだろうか。それは俺には分からない。


だが一つ言えることがある。それは俺と彼奴らは敵同士であるということだ。


「次会ったら命は無いと思えよ」



※勇者は主人公ではありません

次回からカゲト視点です

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