高橋一馬の冒険 第十二章☆宇宙開発
第十二章☆宇宙開発
結局、一馬と進一は種子島に行かずに、JAXAの提供するYouTubeの映像でロケット打ち上げを見た。
秒読みが続く中、係員がシステムに異状がないことを告げる。
ロケットの上部の継ぎ目からわずかに白い煙が出てきて、いずれそこが切り離された時に推進力を出すのだろうと予測出来た。
・・・5、4、3、2、1、0
一番下部から大量の白煙がもくもくと出た。
「水蒸気爆発の煙かな?」
進一が呟いた。
ロケットの下方に煙を逃がす施設が造られているが、それでもものすごい量の煙があがった。
目を射るような光源がロケットの下部に煌々と輝き、ロケットは上昇を開始した。
あっという間に白い軌跡を残しながら、遥か上空へ昇って行く。
「すごいな」
一馬は圧倒されていつまでも見いっていた。
民間でのロケット開発は難しかった。
現行のロケットは、打ち上げる際に、一番上部を宇宙に送り出す為に、下の二段を段階的に切り離さなければならない。
わずかな部分を宇宙に送り出すのに巨大な装置が必用なのだ。
エンジンは、プラスチックなどの固形燃料や液体水素の燃料などを、液体酸素で酸化・燃焼させてロケットの推進力にする。
常に「充分なパワーがあって、環境にやさしくて、コストがかからない」そんな推進力が模索されている。
一馬たちは宇宙開発のロケットを造るのに、独力では限界があることを知った。
そこで、北海道の方で活動しているロケット打ち上げの民間の団体やJAXAに協力を請う形になった。
どちらにも解説君の宇宙開発バージョンは注目されたが、それだけでは活動理由の決め手に欠けた。
一馬たちは、JAXAが、多接合型太陽電池のアレイシートを開発していることに注目して、そのIMM3Jといううすくてかるくてやわらかいシートをはりつける設備などの設計に協力することで、辛うじて仲間に加えてもらえることになった。
実際に宇宙で活動するのは解説君ということになる。
何度かロケットを打ち上げて、少しづつ基地が形づくられていった。