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君の好きだった花  作者: 小野寺 梓
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僕の日常

 まだ初夏だというのに、今日の気温は三十度を越えている。そんな中、坂本結城は元気に自転車をこぐ。元来、彼は運動が嫌いではない。むしろ好きな方だ。だが、今までここまで必死に自転車をこいだことはない。

 彼の急ぐ先には、一人の少女が彼を待つ。

 だから彼は急ぐ。何せその少女は、彼の想い人なのだから。

 自転車の籠部分には、彼女の好きなケーキと花が詰め込まれている。

 喜んでくれるだろうか。あの子の笑顔が見られるだろうか。

ただそれだけを思いながら、今日も彼は大きな白い建物へと足を踏み入れる。

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