1/1
僕の日常
まだ初夏だというのに、今日の気温は三十度を越えている。そんな中、坂本結城は元気に自転車をこぐ。元来、彼は運動が嫌いではない。むしろ好きな方だ。だが、今までここまで必死に自転車をこいだことはない。
彼の急ぐ先には、一人の少女が彼を待つ。
だから彼は急ぐ。何せその少女は、彼の想い人なのだから。
自転車の籠部分には、彼女の好きなケーキと花が詰め込まれている。
喜んでくれるだろうか。あの子の笑顔が見られるだろうか。
ただそれだけを思いながら、今日も彼は大きな白い建物へと足を踏み入れる。