異世界人とは何か(哲学的じゃない)
「ああ、やっぱりそうだったんですね。まさかモットウさんが異世界の、しかも人だったなんて・・・」
「あれ?あまり驚かないんだね。「えええ!!!そうだったんですかぁぁ!?」ってのを想像してたんだけど。異世界人ってそんなに珍しくないの?」
案外そこら中に住んでるのかも。地球より不便で住みにくいかもだが。
「あ、いえいえ、誰もお会いしたことなんてない筈ですよ、何せ物語のお話の定番ですから。本屋さんに行けばそういったたくさんの創作物の関連本が置いてあると思います、子供の時からみんな親に読んでもらってますよ」
聞きました?異世界モノの本がが異世界で一般大衆にどうも人気だそうですよ。
「いや、でも今、やっぱりって・・・」
「初めに気づいたのは初めてお会いした時ですね。丁度借金の返済期限の日です。本当にその時は誰も助けてくれるわけがないと分かっていても、颯爽と異世界から救世主が表れて私を助けてくれる、なんて想像が叶うことを少しは願ってましたが、とても珍しい格好をしたお兄さんが登場して私を連れていこうとした男の人を追い返してくれました」
「まあ、あのときはまあ、急な大金が入っていつ強盗に襲われるか分からなくて怖かったから成り行きで助けただけで、まあ偶然だよ偶然!」
「その偶然に私は助けられたのです。その時間違いなく思いました。ああ、この人は異世界から私を救う為にやって来たんだと」
「ちょっとそれだけで決めつけるには早いんじゃ・・・」
「証拠はあります!モットウさん綺麗な目をしてますから!」
・・・それって証拠になるのか?まさか異世界人は目が綺麗とか伝えられてんの?ミモニーニュも俺よりキュートなお目々していると見えるけど?
「あとは髪の毛の色が珍しいですね。黒い髪の毛の人がいるとは思いもしませんでした。私は薄い桃色なので羨ましいです」
「いや、ミモニーニュもその髪の色は似合ってるよ。薄い桃色だと何かまずいことでもあるの?」
「っっっ! ぅぅぅ~」
ミモニーニュは俺に向けていた顔を両手で隠して俯いた―――いずれ知ることになるが異世界のここは外見を褒める文化が無いそうで、粗相より恥ずかしいとの事。またここの人は髪の毛が染まりにくいそうで、美=髪が濃い色だそうで。以上先輩冒険者情報―――。
「まあなんかよく分からん奴だけど、これからも普通に接してね」
「は、はい、それは勿論です。あのっ、聞いてもいいですか?」
「なにを?」
「異世界ってどんな所なんですか!?どんな病気でも治る秘術があったり豪華なお風呂が使い放題なんですかっ!?教えてください!」
「ちょ、ちょっと待って、一つずつ聞いてくから!」
なんか当たってる事と当たってない事が相当ありそうな予感。今の彼女は初めてここ異世界に来た俺とまるっきり同じ。説明が長くなりそうだ。
ええと、そう言えば俺が最初に気づいた違いと言ったら時間の流れが三分の一だったことだ。ということは地球での3時間がこっちの9時間。地球で24時間経てばこっちは3日過ぎである。ということは、あと3年間ずっと地球で過ごしたとしたらミモニーニュは俺と同い年くらいの見た目に・・・
てかその先はミモニーニュが年上になっちゃうじゃん。うわっ、まじかよー。年下の子が年上になる恐怖。斬新的だ。
もし勉強道具を持ち込めたのならばクラスメイトの3倍は勉強時間が作れるのだが、生憎と地球からは服のみしか持ち込めなかった。服は良いのに何故勉強道具はアウトなのか理解不可能。ためしに財布をズボンのポケットに入れてビーラスに転移したらポケットから消失し、部屋に戻ったとき再びポケットに収まっていた。何故だろう。
他には地球には無いものでこっちの世界には若返りの薬(からだの見た目だけ)が超高価だが存在する。錬金術師という職人の努力のたわものだ。まあ手が出せる者は数えるくらいしかいないし、そこまで生にこだわる種族も多くない。
異なる点がありすぎて困る。さて、全てを説明し終わるのに何時間かかるのやら。あ~めっちゃ腹減ってきた。