表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

金貨自慢にならず

昼食の時間になった。さあて、学食に行きますか! 今日は何を食べようかな・・・


「よっ、ヤスハル。飯食いにいこうぜ!」


「お前今日は気分良さそうだな、なんかあったか?」


「お、いいねー行こうぜ! 良いこと? ・・・まあ小テストの出来かな」


「もしかして満点?」


「かもな、まだ分かんねーけど」


毎日のようにつるむ友達グループからのお誘いだ。当然一緒に食う。俺達四人は何時でも駄弁る仲なのだ。


今日はこいつらに自慢が出来るしな。どういった反応が返ってくるか楽しみだ。ふっふっふっ。




学食に着いた。この高校は生徒の数が多いので毎日学食に行列が出来る。前々から待ち時間が長いと苦情が出ているのか、数年後に増築する計画が上がっているらしい。


数年後って、俺らもう卒業してんじゃないか! 意味ないし! 在学中はこれが解消されないってこった。


「相変わらず混んでるな~」


「じゃ俺が先席取っとくわ、カレーで食券宜しく」


とダイキ。そう言ってそそくさと空いた席を探しに行こうとする。


「清算は後でな」


「分かってるって」


俺以外の友人達はとても金の貸し借りに緩い。今のやり取り以外にもこれこれこういうゲームソフトを買っといて~とかまで言っている。これが財布が厚いやつらの通常なのだ。


俺は唐揚げ定食にした。理由はコスパが良いからだ。白米はお代わりOK、スープか味噌汁、野菜と六つ程の唐揚げが乗っていてたったの三百円。なんて安いんだろうか。お財布にも優しく満足する程食える。


お盆を受け取り、取っておいてもらった席に座る。全員揃ったところで、


「「「「いただきます」」」」


食べ始める。まずは唐揚げを一口。パクッ。


うん、美味い。やっぱりこれが一番だ。


「そういやお前らあのゲーム最近やってるか? 最近アレに嵌まっててさ~」


ゲーマーのヨースケは相変わらず話題はゲーム。と言うより他の話をしたことがない。


「もしかしてギャラットバーク? 俺今レベル38」


「高いな、お前相当ギャラバーやりこんだだろっ。今デルマーの森で止まってる」


「・・・」


出た、俺が知らない話が。全くついていけずこの話に加われないのが超つらい。


「ヤスハル、お前もやらないか? ギャラバー。ゲーム機くらいくれてやるぜ」


「さすがにそれはまずいっしょ。自分の金で買うから。ちなみにそろそろ本体買えそう」


「おっ、貯金もう貯まったのか? 早い気がするが」


「それはだな・・・、じゃじゃーん!」


俺はポケットからあの金貨を取り出し三人の前に掲げた。


「あ? なんだそれ。コイン?」


「見たことない文字が書かれてあるな、何処のか知らん」


「聞いて驚け、こいつは金貨だ!」


「「「へー」」」


「反応薄っ!」


これ入手するのに約半年はかかったんだけど! もっとびっくりするかと思ったんだが。


「金貨なんて普通に店で買えるだろ? それがどうした?」


「俺自販機で幾つか買ったことある。スイス金貨とか」


「最近流行ってるよなー金買うの。必ず今後値上がりするとか言ってるし」


マジですか。俺なんてこれ手に入れたとき初めて金貨なんて見たぞ。やっぱ金持ってるやつらは一味違うな。


「そんで、どこのやつ? 多少知ってるぞ」


イラストレーターのナオトが話に噛みついてくる。


「えーと、それはな・・・」


異世界産ですなんて言えるかい! なんて答えたら良いんだ?


「知り合いの人から貰ったんだ。詳しく聞かなかったからから何処のかは知らない」


我ながら苦しい言い訳である。嘘はやはり暴かれ易いのか、


「保証書はちゃんと貰ったか?」


「え? 保証書? なにそれ?」


「買い取りに持っていくには保証書が要るんだぜ」


「知らなかった・・・。じゃ買い取られないのかな?」


「無理だ――――」


「いや、それはまだ分からんぜナオト。持っていく所を変えれば」


「買い取り業者もごまんとあるしな、ならば・・・」




このあと、食事の時間はずっとこの金貨についての話が続いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ