第五話「女神との修行3日目」
さて、昨日は空間魔法の修行をしたわけだが。結論から言うと、空間魔法めっちゃムズイ。
適性があるはずの俺が手こずるってどんだけだよ。いや、単純に俺が魔法を使うことそのものに慣れてないからかもしれないけど。
「今日はスキルの修行をしましょうか」
いつも通りのニコニコ笑顔でそう言う女神様。
「俺の持ってるスキルってなんだっけ?」
「錬金、睡眠、そして適正全開放のスキルですね」
【適性全開放】:あらゆる魔法、スキルの適性が解放される。しかし、解放した魔法とスキルは成長スピードがかなり遅く、いわゆる器用貧乏になってしまう。
「あなたが今修行すべきスキルは【錬金】ですね。まずは説明から始めましょう」
お願いします。
「【錬金】スキルの特徴は名前の通り、錬金術の使用が可能になることです。例えば、土の地面に手を触れてスキルをうまく発動すると土の素材の盾や槍を作成できます。他にも穴を開けたり、熟練度が上がれば細かな装飾品も作れるようになります」
「便利なんだな、錬金って」
「ええ。なにせ、錬金術師という職業もあるのですから」
「じゃあ錬金術のスキルってそんなレアじゃないのか?」
「まぁ、そうですね。一つの国にはだいたい複数の錬金術師たちがいます」
なんだよ。レアリティ低いのか〜なんか萎えるなぁ。どうせ異世界いくならもうちょいレアなやつ欲しかったな。
「便利なスキルってことに間違いはないですから、頑張って使いこなせるようにしましょう」
まぁ、女神様がそう言うなら頑張ろうかな。
「では、これを使ってスキルのレベルをあげましょう」
そう言いながら女神は空間魔法で土の塊を取り出した。およそレンガブロックほどの大きさだ。
「この土を錬金スキルで形を整えて、綺麗な立方体にしてください」
よっしゃ、美術の成績がいい俺ならなんとかなるだろ。手先器用だし。
……あれ? 意外とムズイ。力を込めすぎたり弱すぎたりで調整ができない。
「難しいでしょう? 微調整を繰り返して頑張って慣れてください」
そして、1時間ほど悪戦苦闘をしてようやく出来た。……めっちゃ疲れた。かなり精神力必要だぞ、これ。
「おめでとうございます。初めてにしてはかなりのスピードで完成しましたよ」
「そりゃ、どうも。使いこなせるようになれそうにないけど」
「それは、練習しないとダメですね。次は球体をつくってください。今つくった立方体よりも難易度は高いですよ」
笑顔でそう言いながら女神様の修行は続く。