第四話「女神との修行2日目」
起きると、女神が顔をのぞきこんでいた。モーニング女神。
「おはようございます。さぁ修行を再開しましょう」
俺もそうしたいところだけど、昨日からなんも食ってないから腹減りすぎて倒れそう。
「腹減ったからなんか食えるものないか?」
すると女神は赤い木の実のようなものを出現させた。
「この実は1つ食べたらその日1日はなにも食べなくても問題なく行動できるようになります。栄養も豊富なのでどうぞ召し上がってください」
ふむ、たしかに満腹感はあるな。味は若干の酸味があってお世辞にも美味いとは言えないが、空腹ではなくなった。これで修行にも集中できる。
「うし、修行を再開しよう。今日も魔法の修行で頼む」
「わかりました。それでは昨日の続きから始めましょうか。まずは【ファイヤーボール】を出してください」
えーっと。バーナーではなく、球体をイメージして魔力を手のひらに集めて…
「ファイヤーボール」
手のひらにはハンドボール大の【ファイヤーボール】ができた。
「昨日よりもスムーズで、質の高い状態で発動できましたね。それではそれを操る練習をしましょう。あそこにある木に向かって放ってください」
うーん。放つってもなー。全然イメージできないんだけど。…放つんじゃなくて、押し出すほうがイメージしやすいな。でも押し出すだけだと具体的じゃないから、なにをイメージしようか。
磁石とかかな。S極とS極が反発しあうところをイメージして…
「よっと」
ボッと凄い勢いで放たれたファイヤーボールは木に直撃。そのまま木を倒してしまった。
「えーっと…かなりの高威力のファイヤーボールですね。素晴らしいです」
ちょっと引き気味に女神に褒められた。まぁ自分でも威力おかしいと思ったからね。しょうがないね。
「えー。では、基本の魔法をおさえたので次はあなたの適性であった、空間魔法の練習です」
「空間魔法ってどんな魔法なの? いまいち使い方が想像できないんだけど」
「例えば、私たちが今いるここも空間魔法でできています。空間魔法とは文字通りなにもないところに自由に空間を作ることができます。用途としては、持ち歩けないものを収納したり、使用者に限定されますが、視界内でしたら自分を瞬間移動させることも可能です」
そう言いながら女神は俺の背後に瞬間移動してきた。
「なるほど、よくわかった。寝袋を出したり、木の実を出したのも空間魔法を使ってたのか」
「ええ。しかし、この魔法の難点があります。習得が難しいのと魔力の消費が激しいのです。適性があるとはいえ、かなり習得難易度は高いでしょう」
「魔力はどれくらい消費するんだ?」
「【ファイヤーボール】5個分でようやく木の実1個出現させるくらいです。収納や出現のサイズによって使用魔力量は変わってきます」
空間魔法についてまとめるとこんな感じらしい。
1、適性があるのはめずらしい。
2、消費魔力が高い。
3、自分以外の人は瞬間移動不可。
4、繊細な魔法なので集中力が必要。
5、女神クラスになると大規模な空間の作成もできる。
こんなところだろうか。なかなかこむずかしい魔法ですね。
「それでは始めましょう」
「おう」