第十八話「怠惰の王」
『では、"怠惰の王"の説明をします』
「おう」
『"怠惰の王"はこの世界で希少ないわゆるユニークスキルの一つです。なので、その力も強力です』
まぁ、王って付くぐらいだからな。名称からして強そうだわ。
「さっき、大罪系スキルの一つって表示されてたよな? その系統のスキルは七つの大罪になぞらえて7つあるのか?」
たしか、傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲、だっけか?
『その通りです。大罪系スキルの特徴として、それぞれ所有者が世界で1人しか存在しません。所有者がスキルを失うと再び適性を持つ者が現れるまで発現しません。つまり、数あるスキルの中でも稀な、使い手を選ぶスキルなのです』
「なるほど。俺に適性があったのか」
これはラッキーだな。強力なスキルを手に入れたというのはとても心強い。運の値が高くてよかった……
「でも、何がきっかけで手に入れたんだ? こんな力を急に得られるわけはないだろ」
『はい。トリガーになったのは"睡眠"スキルのレベルカンストです。"怠惰の王"は"睡眠"と密接な関係にあったようです。おそらく怠惰の象徴とも言える睡眠を長時間取り続けたことが要因の一つです』
やっぱり寝るって大事なことなんだよ。うん。
『では、説明の続きをしますね。このスキルは怠惰を極めし者にのみ扱えるので、基本的には自らが能動的に動くスキルではありません。先程も表示した通り、召喚、使役を旨とします』
まさに俺にピッタリのスキルだな。ものぐさ太郎も驚くレベルでめんどくさがり屋なところがあるからな。
『発動条件は対象を屈服させてることです。試しに発動しますか?』
「あれ? 俺そんなことしてたっけ?」
『死骸となったあの獅子や狼型モンスターが召喚可能です。もっとも、マスターの魔力量だと獅子は数秒の召喚、使役が限界ですが』
「魔力使うのかよ! ビミョーに使えなさそうなスキルになっちゃったよ!」
どうにかして魔力量を増やさなければせっかくのチートスキルが死にスキルに早変わりしてしまう。つーか、もうしてるけども。
『とりあえず、"怠惰の王"の説明は終了です』
「おし、わかった。次は"賢者"。おまえの説明が欲しい。なぜお前がスキルとして俺のものになった?」




