第十話「異世界生活開始」
さて、ステータスのチェックを終えて今俺がいるのは城の中にある一室だ。なかなか広い城なので30人以上いるクラスメイト全員に一部屋与えてくれた。
とりあえず、部屋の窓から外を覗いてみると、この世界ではもう夜なので、街灯や民家の光が綺麗に輝いていた。
異世界の景色を見てボーッとしてたらドアがノックされた。どうやら夕食の準備ができたらしい。
俺からしたら久しぶりのちゃんとした飯だ。ワクワクしながら向かった。
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食堂についたらもうクラスメイトが席についてた。俺は誠一たちの近くに座った。
小金井の周りは女子たちが群がっていて、なんとか小金井の隣に座ろうと熾烈な戦いが繰り広げられてた。
さすがイケメン。爆発しろ!
そんな悪態を心の中でついてると、隣に誰か座った。担任の杉山瞳先生だ。
「どうも、隣いいでしょうか?」
「もちろんいいっすよ」
この先生、見た目はクールビューティなのだが、俗に言うドジっ子タイプな人なのである。配布物を職員室に置き忘れてきたり、廊下ですっ転んでプリントをぶちまけるのは日常茶飯事。見た目の人気も高いが、そのドジっ子な性格をいじられたりする、みんなに愛されてる先生だ。
「八雲くんは、どう思いますか? 異世界で魔王と呼ばれる存在と戦うことに関して」
おっ。ちゃんと先生の顔をしてる。まぁ、生徒が危ない目にあいながら右も左もわからない世界で戦うのは不安だよな。
「俺は、不安ですよ。それは多分他の奴らもそうです。ここは自分たちの力でしか自分の身を守れない世界ですから。けど不安だからこそ、みんなちゃんと鍛えて自分の身を守れる力を手にするんじゃないでしょうか。先生もここでは先生の立場を気にしなくてもいいと思いますよ。1人の人間として生き抜く力を一緒に得ましょう」
「……わかりました。ありがとうございます。私も頑張ります。けど、私はあくまでも先生です。みんなを無事にお家に送り届けるのが私の役目です。そこは、譲れません」
先生はどこに行っても先生らしい。いい担任に恵まれた。
そんなふうにちょっと真面目な話をしてたら夕食が運ばれてきた。
チキンのハーブ焼きに、スープ、パンとなかなか美味しそうな料理だ。
「お主らがこの城にいる間の食費や生活費は気にしないでくれ。すべてこの国がもつ。他にも、欲しいものがあったらなんでも言ってくれ。できる限りの配慮はしよう」
おー。王様さすがに懐が広いな。じゃ、遠慮なくおかわりするわ。
そんな感じで夕食を終えて大浴場で一風呂浴びて部屋に戻ってきた。
明日からは魔王討伐のための訓練が始まるらしい。
空間魔法を使って無限収納を発動。
中から英雄王のグローブを取り出して両手に装着。魔法操作の練習をしてから睡眠を取った。