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してはいけない事を全力でやってみた2〜タバコ〜

作者: 痛瀬河 病

気づいたら長編書く手がさぼって完成してました。多分何かの陰謀。

この作品はフィクションです。実際の個人・団体・事件等とは一切関係ありません。


大事なことなので二回書きますが、この作品はフィクションです。実際の個人・団体・事件等とは一切関係ありません。


放課後の教室。

「なぁ、俺タバコ吸ってみたい」

「勝手にどうぞ」

 どこにでもいる高校生の俺、赤間(あかま) 黄太(おうた)はどこにでもいる後輩の(しば) (もも)()に相談した案件を一瞬で可決されてしまった。

「……あのさ柴、前回の俺と青山のやり取りとか知らない? お前が反対してくれないとこれ以上話進まないんだけど」

 俺の必死の抗議にも、柴はどこ吹く風でお気に入りの作家の今月の新刊に目を落したまま冷たく言い放つ。

「知りませんよそんなこと、私はどんなに変り果てた先輩も好きですから御好きにどうぞ。でも副流煙を私に飛ばすのは勘弁なので吸うなら防火服の中でにしてくださいね」

「色々言いたいが、取り敢えずどんなヘビースモーカーでもさすがに二つの意味で蒸せるだろうな」

「ですね。愛する先輩の燻製が出来上がれば私がおいしく召し上がってあげます」

 気になっている人もいるだろうが、この子は初対面の頃から息を吸うように俺に愛を囁くというかなりクレイジーな癖がある。こいつはグレートだ。

 最初の頃は俺のことが好きなのかもと思ったが、ここまでのやり取りからもわかるとおり俺に異常に興味がない。

「いいのか? タバコだぞ? 高校生の俺がだよ。色々な問題があるだろ?」

「取り敢えず私のかっこいい先輩が単行本の表紙を飾れなくなりますね」

「忌避すべきはそこじゃない⁉ アイアム未成年」

「あぁ、そこでしたか。確かに未成年の喫煙は褒められたものじゃありませんね。あまりに先輩が大人びていて気が付きませんでした」

 こいつと話していると、どうも調子が狂う。なんというか持ち上げるのが下手な部下を持ってしまった気分だ。部下いたことないけど。

「俺たちにとってあまりなじみがないものだし、詳しくないのも無理はないか」

「そうですね。せいぜい私が知っているのは脳の血流減少、知能活動能力の低下、味覚・嗅覚の低下、肺がん、口臭の悪化、食欲低下、息切れ、アレルギー疾患、まぶたの腫れ、セキ・タン__」

(めちゃくちゃ詳しいじゃねぇかって言ったら負けだと思ったので五分ほどそのまましゃべらせておいた)


「…………ドSな先輩も悪くない」

 最後まで言い切って少し息切れしていた柴は、何かに目覚めかけていた。

「まぁ、タバコが百害あって一利なしなのは俺も知っている。だが俺が気に入らないのは異常なメディアの反応だ」

 柴はその話を聞いて短く嘆息する。

「成程、いつものするなと言われたことがしたくなる病気でしたか」

 俺は柴のジト目を無視して続ける。

「すぐ規制したがるけど演出として必要な物なんだよ。サン○が戦闘終わりの一服の代わりに飴ちゃんとかいやだろ?」

「あー、なんかそれ話題になりましたね。海外が過敏に反応するからそれにそって日本も倣っちゃった感じですかね」

「成程、敗戦国の悪い癖だな。海外にヘコヘコし過ぎだな」

「海外はアニメってどうしても子供向けですからね。教育上よくないって声が上がっても仕方ないですよ」

「日本は大きな子供多いからタバコ位理解してくれると思うんだけどな」

「それでもクレーマーは湧きますからね。差し替えならまだいいですけど先輩似の承○郎さんの喫煙シーンみたいに謎の黒い霧が出てきたら嘲笑ものですよ」

「おい、褒めてくれるのはいいが俺の外見を適当に語るな。流石にあそこまでかっこよくはない。せいぜい読モのトップレベル程度だ」

 満足な承太○のコスプレができる日本人レイヤーが何人いるかも怪しい物なのにな。

「自分がかっこいいことは否定しないところが流石です。あと読モ舐めんな」

 こいつ自分では俺を褒める癖に、俺が自分を褒めたら途端に手のひらクルクルしやがる。

「最近じゃ映画やドラマにまで規制する動きがあるらしいですね」

「それなら最初からタバコを売るなって感じだな」

 どうせ俺のような一高校生ごときじゃわからないものが裏で暗躍してるんだろうな。

 闇、怖い。

「アニメやドラマは置いておくにしても、今時タバコを吸うメリットなんてほとんどないですけどね。昔の若い人はかっこつけやもてたくって吸ってたんでしょうけど、今は中性的な男の方がモテますし、只々煙たがれますもんね。あっ、今のうまいですか?」

「……そんなに」

 俺は取り敢えず微妙な呆れ顔で柴を見てやった。

「もちろん愛すべきあまり中性的でない先輩が吸っても吸わなくてもどうでもいいですけど、私の個人的な意見としては合法麻薬みたいなもんだと思いますね」

「……おう」

 こいつ愛すべきつけたら後半disっても怒られないと思ってるな。




 後日、結局自分の性には逆らえずチェックの甘いコンビニでマスクメガネ着用で買って吸ってみたが(むしゃくしゃして吸った今は反省している)こんなものかという気持ちの方が強く只々ジャンプ二週間分を損したなと思って買ったタバコは帰り道の公園のごみ箱に捨てた。

 みんな体は大事に‼


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― 新着の感想 ―
[良い点] 二人のタバコに関する会話が自然でありながらも楽しいです。 ところどころ挟まれるネタも面白かったです。 このシリーズ良いですね。
[良い点]  この二人のやり取り良いですね(^^*)日常のちょっとした事を漫才みたいに語り合ってる様や、時々小ネタを入れてくるところ等が、読んでいてニヤッとします。    シリーズ通して、黄太がどうで…
2017/12/05 03:47 退会済み
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