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【第23話 忘れていたわけではない】

「明日から住み込みの家政婦を派遣することになったからの」

「はい?」


 台風一過の爽やかに晴れた土曜日の朝。

 そんな電話が爺さんから掛かってきた。


「前に言っておっただろうが。人を送ると」

「ああ、そういえば。だけど急すぎないか?」

「詳しいことは市野谷にすでに伝えておるからの。のんびり待っておれ」

「まぁ確かに年頃の女の子と他は男だけだと色々と困るし助かるけど」

「うむ、楽しみにしておれ」

「あいよー」


 ふふ……。

 大人の女性か。

 うん、楽しみだな。



 そして次の日。


「こんにちわぁ」

「あ、はい、こんにちわ?」


 玄関のチャイムの音に俺はワクワクしながら出迎えるとそこには素晴らしき大人の女性がいた。

 さわやかな風を纏い、青空に映える白髪の彼女。

 そう、雀宮の婆ちゃんだ。


「今日から住み込みで働くことになったからの、よろしくたのむわぁ」


 ……。

 いや、確かに大人の女性だけどさぁ……。

 なんかこう、違うんじゃないのかなーって、僕思うんですよ。


「あ、あの、師匠……」

「お、おぅ、朱子も一緒だったのか」


 まぁ当然か。

 保護者が引っ越ししてるのだから被保護者もついて来るにきまっている。


「学校は……、転校してきたのか?」

「はい、師匠を追っかけてきちゃいました!」

「ん、そっか。まぁよろしく頼む」

「任せてくださいっ!」


 転校の手続き等は既に済ましてあるらしく、明日から学校に通うそうだ。

 葵と同じ学校なので明日からは2人を車で送迎する必要があるわけだが、部活の時間とかは大丈夫かな。

 部活の終了が同じ時間だといいんだけど。


「立ち話も何なので中へどうぞ」


 そう言って俺はリビングへ2人を案内し、各自の顔合わせを行うことにした。


雀宮 梅(すずめのみや うめ)じゃ。今日から住み込みで働かせてもらうけどよろしゅうな」

「同じく雀宮 朱子です。皆さま今日からよろしくお願いしますね!」


 元気よく2人が自己紹介した後、屋敷の面々も自己紹介していく。

 と言っても俺やグリ達は面識があるので市野谷以下執事団の面々と葵達の紹介だけだが。


 顔合わせを終えると市野谷が屋敷の案内をすると梅さんと朱子を連れて部屋を出て行った。

 俺も付き合うと言ったのだが、市野谷さんからやんわり断られたのでリビングで時間を潰すことにする。


 特にすることもないので別館と倉庫を繋げる渡り廊下をどんな感じで作るか検討していると声がかかった。


「旦那様? あの方たちはお知り合いなのですか?」

「ん~、以前白山羊関係で関わって人でね。朱子は俺の弟子になるかな」

「そう、なのですか。他には特にないのですか?」

「他にって?」

「いえ、心当たりがないならいいのです」

「うん? そうか?」

「ええ、大丈夫ですよ」


 そう言ってほほ笑む葵からはグリと同じ迫力を感じた。

 一体なんだというのだろうか。


 しかし、葵は白山羊のトップだったはずなのだが下の面々の事は知らないんだな。

 まぁお飾りだったのだろうが。


 そんなことを考えていると彼女は明日の支度をすると自室へ戻って行った。

 なんだか機嫌が悪い気がするが、何か変なこと言ったっけなぁ……。


「師匠、戻りました!」

「あ、おかえり。あれ、他の2人は?」

「市野谷さんとお婆ちゃんは仕事の打ち合わせがあるって別館に行っちゃいました」


 ふむ、まぁ魔法たちの説明もあるし落ち着いて話さないといけないと思ったのかな。


「それにしてもこの屋敷、すっごく広いですね。これ全部師匠の持ち物なんですか?」


 朱子が目を輝かせながらこちらに近づいてくる。


「ああ、爺さんからもらってね」

「うわ~、すごいなぁ……」

「はは、お風呂はもう見たかい?」

「いえ、それはあとでの楽しみだって市野谷さんが」


 うん、先に説明するのはちょっと無粋かもしれない。

 そうすると俺も説明できないな。


「なるほど、たしかにな。まぁ楽しみにしていてくれ」

「えー、気になるじゃないですかー」

「驚くことだけは保障しよう」


 あそこまでデカい風呂なんてホテルや旅館でも早々ないだろう。

 さらにジャグジーからサウナ、洞窟風呂まで何でもござれだからな。

 満足度100%保証だ。


「なんですかそれー。あ、気になると言えば、葵さんって師匠とどういう関係なんですか?」

「う~ん、葵か。なんといえばいいんだろうな。爺さんの親友の孫娘でね。うちで預かることになったんだ」

「へー、それだけですか?」


 なんか葵にも似たようなこと聞かれた気がするが、この質問が流行(はやり)なのか?


「う、うん? そうだけど……?」

「そうですか。仲良くやれるように頑張りますね!」

「ああ、頼むよ」


 一瞬朱子の目が鋭くなった気がしたけど気のせいだろう。

 今は朗らかに笑ってるし。


「しかしすまなかったな。態々(わざわざ)転校までしてもらって」

「いえ、大丈夫ですよ」

「でも友達が……」

「それ以上言ってはいけない」

「ア、ハイ」


 触れてはいけないことだったらしい。

 こっちでは友達ちゃんと作れるといいね……。

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