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【第19話 友人、襲来】

 七芒星の戒めから一週間経とうかと言う頃、俺の手元に再び一通の封書が届いた。

 今度は差出人の記載があり、その名前を見て俺はほくそ笑むのであった。

 ……、決して今まで私用で手紙をもらったことが無いからではないのでそこは勘違いしないように。


「ふむ」

「何ニヤニヤしとるんや?」

「気持ち悪いですー」

「……、別にニヤニヤなんてしていないぞ。友人から、そう、友人からの手紙をもらっただけだからな」

「……、そないか……」

「よしよしです……」


 やめてっ!

 その優しさは人を傷つけるのよっ!


「ごほんっ! ともかくだ、来週友人の霧島が遊びに来るらしい」

「そう。泊まりなの?」

「ああ、2~3日滞在させて欲しいと書いてあるな」


 友人が泊まりに来る。

 なんという甘美な響きだろう。


 まくら投げとかやっちゃっていいのかな?

 ……流石に年的に厳しいか。

 それにグリに怒られそうだし。

 あ、ゲームとか用意しとかなきゃな。


「ふ~ん? そういえば渡の友人が訪ねてくるって初めてね」

「ごふっ……」

「グリ! あかん!」

「それは言わぬが武士の情けです!」


 こ、この屋敷、都内からアクセス悪いから……。

 別に友人がいないってわけじゃないんだからねっ!


「……他にもヒスイとギンも来るそうだ」

「そう、部屋の準備をしておくわね」

「ああ、頼む」

「食べ物の好みとかはわかる?」

「いや、食事は用意しなくていいってさ」


 遊びに来るついでにクロノ達との約束を果たすつもりらしく、夕食時に合わせてくるとのことだった。


「台所を使わせてくれって書いてあるけど構わないか?」

「うん、渡の友人の頼みですもの。断れないわ」

「ありがとな」

「どういたしまして」


 別に楽しみと言うわけではないが、その日俺は一日中気分が高揚していた。

 だからと言うわけではないのかもしれないが、あることをすっかり忘れていたのだった。



 XDay当日。

 その日は雲一つない快晴だった。

 遅咲きの桜の花びらがどこからともなく舞い込んできて、まだ春であることを主張している。


 ゆっくりと天を進む太陽の動きがもどかしい。

 早く夕刻にならないものか。

 ……、いっそ魔導で時間を進めて……、いやいや、流石にそれは不味いだろう。


「旦那様、リビングでお茶にいたしませんか?」


 なんとなく、特に意味は無いのだが玄関でウロウロしていると葵から呆れたような声を掛けられる。

 別に俺は落ち着いているぞ?

 ただ何となく、今日は玄関の前に居たい気分なんだよ!


 ピンポーン


 そんな俺の耳に漸く待ちわびた音が届く。


「来たかっ!」

「いらっしゃったみたいね」

「迎えに行ってくるぞ!」

「はいはい、行ってらっしゃい……」


 葵達の生暖かい視線に見送られ、俺は門へと走る。

 うん、友人の出迎えだからな!

 俺がちゃんと出迎えないとな!


 しかし息を切らして出迎えるのもあれなので、息が切れない様に意識して走る。

 もちろん魔力で身体強化をすることも忘れない。

 風を操作して空気抵抗を減らし地面を操作し摩擦力を上昇させ力が逃げないようにする。

 ふっ、ここまでできるのだから俺は冷静だ。

 間違いない。


「いらっしゃい」

「早かったね? 出迎えありがとう。そして誕生日おめでとう」

「え?」


 霧島を出迎えると彼からよくわからない単語が飛び出した。

 誕生日おめでとう(UN KNOWN)……?



「あ、ありがとう……?」


 なんとなく響きで祝われている気がしたのでとりあえず俺は返礼をする。


「なぜそこで疑問形なんだい? ああ、それとこれはささやかだけど僕からの贈り物だよ。受け取って欲しい」

「お、おぅ?」


 紙で覆われた四角い箱を受け取ると、俺はギチギチと関節が音を立てるのを聞きながら彼に背を向けて玄関に向けて歩き出した。


「コッチダ」

「お邪魔するよ」


 俺はぎくしゃくと歩きながら霧島と来た道を戻る。


「うん……? 何かあったのかい?」

「何かって……?」

「いや、道の両脇が竜巻にでもあったかのように抉れ(えぐれ)てるからさ」

「……、ちょっと魔法の練習をしていたからそれだな」

「がんばるね」

「それほどでもない」


 うん、ほんとに。


「ヒスイ達はまだ来てないのかい?」

「ああ、霧島が1番だよ」


 そう、今日の来訪者は彼だけではない。

 もう2人来るのだ。


 1+1+1は3じゃないぞ。

 1+1+1で300だ!

 10倍だぞ、10倍!


「そっか。もうすぐ来ると思うからよろしくね」

「何を作ってくれるのか、今から楽しみだ」

「期待しててくれよ?」

「……、アル達の胃袋は底なしだけど大丈夫か?」

「分かってるさ、ちゃんとね」

「お、おぅ」


 足りないとなると霧島達に恥をかかしかねない。

 一応アルとクロノには言い含めているが、大丈夫だろうか。


 若干の不安を抱えながら俺は霧島とリビングでお茶をしながら残り2人の到着を待つのであった。

お読みいただきありがとうございました。

またのご来訪お待ちしております。

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