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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第5章】おれひとりにロリさんにん
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【第6話 マシマシチョモランマ】

今日はポッキーの日ですね。

プリッツの日でもいいですけど。


 病院を出るともう日が暮れていた。

 初夏も近いとはいえまだ朝夕は冷え込む。

 ちょっと肌寒い風を頬で感じながらこれからどうするかと考えていたところにぎゅるぎゅるぎゅるっと誰かのお腹の音が鳴り響く。


「お腹すいたです……」

「そういえばもう晩ご飯の時間過ぎてるな」


 幸いと言っていいのかわからないが、病院のある町はそこそこ発展しており食べるところに困ることはなさそうだった。

 最近ラーメン食べてないし、ラーメンがいいなぁ。

 こっそりスマホで周辺のラーメン屋を検索するとこってり系のラーメン屋が見つかった。

 写真を見て思わず喉を鳴らす。

 グリの作るラーメンも悪くは無いんだけど、なんというかヘルシーと言うか。


 こう、たまにはこってこてのラーメンが食べたくなるんだよね。

 巨大な叉焼(チャーシュー)とか心()かれるじゃん?

 あの体に悪そうな巨大なブツをかみしめたいんだよ、俺は。


「それじゃラーメンでいいよな?」

「却下や! あんなんいつでも食べれるやろ!」

「そうです! 毎週土曜日食べてるです!」


 いや、袋ラーメンじゃなくてね?

 ちゃんとしたラーメンが食べたいなーって……。


「テレビで見たことあるんやけど、なんかぐるぐる回る寿司があるんやろ?」

「回転寿司ね。うん、私もそれでいいと思うわ」

「おすしっ♪ おすしっ♪」

「いや……ラーメン……」

「あ、あれそうじゃない?」

「あれです!」

「ほないこやっ!」


 さよならラーメン……ぐすん……。



「いらっしゃいませー! 4名様でよろしいでしょうか? テーブル席でよろしかったですか?」

「あ、はい、それでお願いします」


 店員さんに案内してもらい席に着く。

 夕食時から外れていたおかげか、すぐに座れてラッキーだった。

 だが、4人と言うことでテーブル席を選択したのは失敗したかもしれない。

 なぜなら……


「はぐはぐはぐはぐはぐ……」

「もぐもぐもぐもぐ……」


 レーン側に座った我が家の欠食児童二人がひたすら食べ続けており、俺はまったく寿司を食べられないでいた。

 皿が来て手を伸ばそうとした瞬間、その間に細い手が割り込み俺が取ろうとした皿を持っていく。

 俺達の後ろの席にはほとんど商品が流れていないありさまだ。

 一部例外なのはプリンやメロンといったデザート系、それにジュースは流れて行っているが……。


 なお、グリはアルやクロノよりも素早く手を動かし見事に皿を確保していた。

 しかもただ素早いだけではなく、巧みにブロックしながら欲しい皿を奪取している。

 すげえなこいつ。


 そして5皿溜まるごとに流れるように回収口へ皿を投入し、ガチャを回す。


「またはずれかかいなっ! 次や次!」


 ……、アル、お前目的変わってきてないか。

 ガチャの為に食っているようにしか見えないんだが。

 まぁ楽しんでるならいいんだけどさ。


「おい、ちょっとは周りのこと考えてくれ」

「んぐんぐっ、なんや兄さん、自分が取れんからってそりゃないで?」

「ごくっ、おーぼーです!」

「ちげえよ、この席の後ろにもお客さんがいるんだぞ。全部取ったらその人たちが食べれないじゃないか」

「せやけど……、そならどないしろっていうん?」

「特急レーンっていうのがあるからそれ使ってくれ。上のタッチパネルから注文できるから自分が食べたいものを食べたいだけ注文するんだ」

「しかたないです……」


 ふう、これで一安心だな。


「連打連打連打です!!!」

「やめろっ!!」


 安心出来ねぇ!


「えー? だめなんです?」

「そんな早く打しても機械が反応しないぞ。ゆっくり押せ。そっとな、力をかけずにだ」

「はいですー……」


 今度こそ安心……か?

 いや、だめだ。こいつら相手に油断は禁物だ。

 注意してみておかないと……。


「んじゃー、とりあえずマグロっと……ん? 8皿までしか1回で頼めないん?」

「それじゃもう一回頼めばいいんですよ!」

「おー、クロノ頭ええなっ! そんじゃもう一回っと。それにサーモンにブリにタイっと」


 そして届く40皿、80貫の寿司の山。

 誰が食うんだこんなに。

 と思っていたが、一瞬で消え去った。

 ニフラムかよ。

 確かに死んだ魚だしな。レベルも、まぁ低いんじゃないかな?

 だが一番問題なのは経験値(まんぷくかん)が得られないってことだ!

 そして光の彼方(いぶくろ)に消え去る諭吉さんたち。


 チラッとグリを見るが視線を合わせてくれない。

 お前、わかってたろ。

 そういえば以前グリとファミレス行った時に昇天ペガサスミックスパフェ一人食いしてたもんな。

 忘れてたよ……。

 そもそも、魔導書って食べる必要はなくて嗜好品(しこうひん)だったはずじゃん。

 なんでそこまで食い意地張ってんだよぅ……。


 その日の夜、俺は一人ラーメンを啜った(すすった)

 噛みしめた叉焼(チャーシュー)は、ほんのちょっとだけしょっぱかった。

お読みいただきありがとうございました。

誤字脱字等有りましたら指摘いただけると幸いです。


~報告~

累計PV10万突破しました。(と言っても昨日のPVが2万以上ですが)

そしてローファンタジー日間4位に入りました!

読んでくださってる方々、本当にありがとうございます!

そして書き溜めがもうありません!

どうしよう……。

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