【第8話 ぷちっとぐりぐり】
前回に引き続きR15と凄惨な表現が大活躍です。
シリアスさんは伊達じゃない!
壁からずり落ちた警備員に近づく。
気絶しているだけの様だが……。
「クロノ」
「はいです!」
グリとアルが結界を解除したことで自由になったクロノが警備室に飛び込んでくる。
クロノに任せるかと呟こうとした瞬間に来るとはすごいタイミングだな。
「……粗品を俺の代わりに受け取ってくれ」
「お任せくださいです!」
クロノはにこっと笑い警備員に近づいたと思うとおもむろに指を目に指し込み、中身をかき混ぜるように動かす。
ぶちゅ、ゴリュゴリュゴリュ……。
グロい音が聞こえる……。
「ちょっ!?」
「ちょっと待ってくださいねー」
ちょっと待ってじゃないですよ!
何をしてるんですかねこの娘さんは!?!?
「大丈夫ですからねー」
「な、なにが!?」
鼻歌を歌いながらも止まらない指先。
ああ……反対側の眼球が零れ落ちて……うっぷ……。
「んーんー……、あ、ありましたです」
クロノが眼から指を引き抜くと、その指先に白く輝く小さな宝石のようなものがあった。
指を血に染めて微笑む黒ゴスロリ幼女……、倒錯的な美しさを感じてしまう。
っと、いかんいかん。
「これは……?」
「おじいさんの魂の結晶です!」
ほー、これが魂なのか。
きれいなもんだな。
「おじいさんは高潔な生き方をされてきたんですね」
「うん? そうかもな」
「魂は、その人の生き方がそのまま出るのですよー。ここまで力強い輝きを持つ魂はめったにないです」
「ほー」
「でもこの大きさだと、おじいさんの寿命はあまりないみたいですね……」
「もう80歳近いしな」
さてと、この惨状、どうしよう……。
クロノがまさかここまでヤバイ奴とは思わなかった。
ゴットフィンガーってレベルじゃないぞ。
思い返せば、看護士さんたちは倒れてるし、目の前の警備員達はスプラッターだ。
青酸カリをなめても死なない少年だって逃げ出すんじゃないのかこれ。
「うん? どうしたんです?」
「いや、この凄惨な状況をどうしたものかと……」
「何言ってるです。もうすぐ、ほら」
クロノが指をさすと警備員の死骸は霧のように消えて行った。
「は……?」
「もしかして渡さん、あれ人間だと思っていました?」
「違ったのか?」
「ですです。流石に私でも人間の脳みそかき回したりなんてできないですよー」
「よかった……」
「といいますか、渡さん、人間と思ってる相手にバールやハンマー投げ付けたんですか?」
そういえば、俺の方がいろいろとヤバイ奴じゃないか。
テンパってたとはいえ、人間の頭めがけて凶器をぶん投げるとか、流石にないわ。
「以降気を付ける……」
「そうしてください……」
病室に向かう途中、エレベーターホールでグリ達と合流する。
グリ達は俺たちを見つけると駆け寄ってきた。
「うまくいったみたいね」
「そっちもな」
まだ看護師たちは意識を取り戻して無いようだ。
今の間に爺さんに魂を戻して一回病院から抜け出そう。
拘束されてもかなわないからな。
「爺さん、返すぜ」
俺はそういうとクロノから受け取った宝石を爺さんの胸に押し付けた。
「……」
静寂が病室を支配する。
グリとアルは俯き、肩を震わせている。
クロノは目を泳がせて口をパクパクさせていた。
誰も動こうとしない、いや、動けない。
しかたない、俺が口火を切るか……。
「何も反応ないんだけど」
宝石は爺さんの胸にその跡を付けただけで変化がなかった。
「えっと……普通に受け取ったので、てっきり戻し方を知っているのかと……」
「すまん……やり方わからないから頼むわ」
この時俺の顔はきっと真っ赤になっていたに違いない。
グリとアルは手を握り締めて顔を真っ赤にして震えている……。
もう笑うなら笑えよ!!
「爺さん、返すぜ」
「「ぶふっ!!」」
「……」
いったん病院を離れた俺たちは近所のホテルに部屋を借りた。
今は晩ご飯を食べた後、寝るまで時間を持て余していたところだったのだが……。
ベッドの上では魔導書どもが俺のものまねをして遊んでいた。
「あーもう、これ今世紀最高のミラクルヒットやわぁ!」
「ちょっとやめなさいよ、ぷくく……」
「だれにでも失敗はあるです、ぷっ……」
もうだれかいっそ俺を殺してくれ……。
「アル……」
「おぅ? なんや? ぷぷっ……」
「お前だけ花見の弁当はコンビニ弁当な」
「なんやてええええええ!?!?!?!?」
「「あーあ……」」
「いや~、アルがコンビニ弁当を食べてる横で高山屋の重箱を突くなんて今から楽しみだな!」
「そ、そんな!? 後生や! 勘弁してや!!」
ふっ、他人を呪わば穴二つってなっ!
ま、これくらいで許してやるか。
アルもいろいろ頑張ってくれたしな。
明日は爺さんの見舞いに行って、帰りに花見だ。
楽しみだな。
シリアスさん「魔導書には勝てなかったよ……」
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