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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第4章】まどうしょかくしてロリかくさず
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【第7話 悪辣】

R15残酷な描写ありの本領発揮、ですよ。

 誰も居ない夜の病院というのは、どうしてこうも不気味なのか。

 無機質な廊下の壁を、赤味がかった蛍光灯の光が静かに照らしている。


 クロノの結界を出た時から体に何かがまとわりついて来るようなものを感じる。

 恐らくこれが魔力吸収と言うやつなのだろう。

 ここの結界を張った奴の性格の悪さを象徴するような不快感がある。


 人の気配のない廊下に俺たちの足音が響く。

 俺は念のため、魔力を操作しバールとハンマーを作り出しておいた。


「あ、さっそく発見よ」

「早いな、幸先良いのか?」

「あそこ、ナースステーションって書いてあるところの中ね」


 物が多くて見つかりにくい場所に隠したと。

 ほんとに性格悪いな。


「さっさと解呪しよう」

「まかしときー」


 俺たちは警戒しながらナースステーションへ向かう。

 そして入口に近づき、カウンターから中を覗きこむ。

 そこには、ナースステーションの中には人が転がっていた……。

 病院についたとき、人がいなかったのではない。

 人はいたのだ。

 全員昏倒しており、見えなかっただけなのだ。

 なるほど、結界内に取り込んだ被害者から吸い出した魔力を使用して結界を維持していたのか。


「プルルルルル……プルルルルル……」


 その時、近くの電話が鳴り響いた。

 俺は嫌々ながら受話器を持ち上げる。


「もしもし……」

「やぁ、不機嫌そうな声だねぇ?」

「要件がないなら切るぞ」

「はっはっは、良いのかい?」

「っ!!」

「冗談だよ、メイン会場は屋上だ。早くおいでよ? じゃないと……間に合わなくなっちゃうかもねぇ!! あっはっはっは!!! ブツッ ツーッツーッツー……」


 本当に、性格の悪い……。

 うちの爺さんだけでなく、関係のない人たちまで巻き込むとは……。

 1時間~2時間で結界を解除し切れるかどうかは賭けに近いものがある。

 それならば敵本体を叩いた方がいいが、屋上と言うのが本当かどうかもわからない。

 くそっ、悪辣すぎるぞ!


「グリ、アル、お前はこのまま探索を続行して結界を見つけたら破壊して行ってくれ」

「……渡は?」

「俺は……敵の元へ直接向かう」

「それなら私たちも!」


 グリとアルは俺について来るというが……。


「奴らがそこにいるかどうか確証がない」

「それなら私かアルのどちらかだけでも連れて行って!」

「グリがいないと結界が見つけられない、アルがいないと結界が破壊できない。適材適所なんだよ、そして時間もないんだ。わかってくれ……」

「渡……」

「兄さん……」

「これが終わったら、花見に行こう」

「……わかったわ、早く終わらせないと桜が散っちゃうわね」

「しゃーないな……、高山屋の重箱セット楽しみやなぁ」

「重箱セットかよ、……しかたないな」


 俺は苦笑いをする。

 約束を胸に、俺たちは別れた。


 一度トイレに入り、隠形をかける。

 トイレから出ると俺は静かに階段を下りていく。

 角を曲がったその先に目的地はあった。


「ふう……」


 俺は軽く深呼吸をして扉に手をかけ、そっと開く。

 そしておもむろに手を振りかぶるとバールとハンマーを敵に向けて投げつけた。

 重力を無視した、しかし質量をもつ魔力はその牙を全力で敵に突き立てる。


「「ガッ!?」」


 油断して椅子にふんぞり返っていたところを強襲することに成功する。

 バールを投げつけたほうは頭からバールを生やすというミラクルヘアーとなって小刻みに痙攣していた。

 ハンマーを投げつけたほうは頭から血を出しているもののまだ動けるようだ。


「ぐ……あ……、なぜ、ぐっ、ここに……」

「お前らの性格の悪さははっきりしていたからな。素直に居場所を教えてくれるとは思えない」

「あぐ……」

「それに、あの電話のタイミング。お前らが監視カメラで俺たちの動きを見ていたのはわかってたんだよ」

「俺たちを騙すために……、二手に分かれたのか……だが、俺たちをグッ……倒しても、結界は解除されない、ぞ……」

「隠形をかけても3人で動いたら見つかる可能性が高くなるからな」


 その時、再び目の前が揺らぐ、そして世界から赤いカーテンが取り除かれる。


「な!?」

「それにグリとアルは俺がいない方が早く動けるんだよ。聞いてただろ? 適材適所だってな」

「なん……だと……」

「さて、粗品とやらをもらおうか?」

「誰が、渡すか……」


 ふむ……。

 まぁそう簡単に渡してくれるはずがないよな。


「よくも……よくも……人間ごときが俺たちを馬鹿にしてくれたなぁあああああ!!!」


 警備員はそう叫ぶと立ち上がり殴りかかってくる。


「ふん!」


 俺はその拳を特に衝撃を受けることもなく鷲掴みにする。

 訓練の成果がしっかり出ているようで何よりだ。

 つかんだ拳をそのまま投げ飛ばすと警備員は壁に衝突し動かなくなった。

お読みいただきありがとうございました。


グロい話とか戦闘描写は苦手ですね。

どうにもあっさりしてしまいます。

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