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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第4章】まどうしょかくしてロリかくさず
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【第4話 ちょっとお時間よろしいですか?】

「ちょっとお話聞かせてもらってもよろしいですか?」

「はい?」


 ターミナル駅で乗り換えのためコンコースを歩いていると声を掛けられた。

 ナンパかよ、勘弁してほしいね。

 紺色のお揃いの服を着た二人組。

 帽子から靴まで全く同じだ。

 コスプレってやつか?

 顔もそっくりだ、きっと双子なのだろう。


「あの、すみません時間無いんで……」

「まぁまぁ、そう言わずに」


 しつこいな、しつこい男は嫌われるぜ。

 かと言って無視するわけにもいかないよな。


「いえ、ほんとに時間がなくて」

「ちょっとそこの御嬢さんたちとの関係を教えてもらえますかね?」

 

 うん、職質だった。


「大丈夫、1本遅らせても十分間に合うわ」

「あ、そう」


 グリぇ……。

 助けてくれないと俺お持ち帰りされちゃいそうなんですけどっ。


「渡、クロノがお腹すいたっていうからそこの喫茶店でちょっとおやつにしてるわね。終わったら声かけてちょうだい」

「兄さんがんばってなー」

「渡さんガンバですっ!」

「ほら、お兄さんたちの仕事の邪魔しちゃだめよ。行くわよ」

「「は~い」」


「……仲、いいんですね?」

「ええまぁ……」


 口の下に黒子のある警官が苦笑いしながら声をかけてくる。

 どう答えればいいんだよ……。

 とりあえず道をふさがないように端っこに移動する。


「いや失礼、最近物騒な世の中なものでね?」

「いえ、お仕事ご苦労様です」

「それで、あの御嬢さんたちとの関係は何なんですかね?」


 耳に傷がある警官が一応聞かせてくださいと前置きをしながら聞いてくる。

 仕方ないか、とりあえず極力嘘はつかない様にしながらうまく誤魔化すことにしよう。


「親戚の子を預かって面倒を見てましてね。今日は父から祖父が倒れたと連絡があったのでお見舞いに行くところだったんですよ」

「おや、それは申し訳ない。どこまで行かれるので?」

「東京の一蘭病院です。部屋は移動するかもしれないから受付で聞いてくれと言われているのでわからないですね」

「なるほどなるほど、それは時間取らせてすみませんでしたね。電車の時間は大丈夫ですか?」

「ええ、さっきの子が電車の時間も調べてくれてまして。大丈夫と言っておりましたので」

「……、子供に任せっぱなしと言うのは保護者としてどうかと思いますが……」

「いやはや、ごもっともで……」

「まぁいいでしょう。ご協力ありがとうございました」

「どういたしまして……」


 は~、緊張したー……。

 そりゃそうだよな、30歳のおっさんが少女二人と幼女一人、それもとびっきりの美少女と美幼女を連れていれば怪しいもんな。

 すっかり忘れてたよ。

 う~ん、この後のことを考えると三人とも本に戻っておいてもらった方がいいか?

 退屈だって嫌がるかもしれないけど……。

 そんなことを考えながらグリ達を探す。

 確かあっち側の喫茶店って聞いていたんだが。

 ああ、あれか。

 窓際からこっちに向かって3人が手を振っていた。



「あ、来た来たー」

「来た来たじゃねーよ、どうして逃げたし」

「う~ん、あの場所でいろいろ根掘り葉掘り聞かれたらボロが出そうだったしね」

「むぅ……」

「私だってほんとは残っていたかったのよ?」

「私はお腹が減ってましたです!」


 あーはいはい、クロノ、ちょっと静かにしようね。

 確かにグリの言うことは正論ではあるが、俺は釈然としないものを感じていた。

 だからってさ、なんかちょっと冷たくないか。

 そう思いながら俺はグリの隣に座った。


「もう、そんな怒んないでよ。はい、一口あげるから。アーン」

「モグ……、うん、これ美味いな」

「うん、チェーン店でこれはなかなか行けるわね」

「俺も一つ頼むかな」

「あ、それだったらこっち頼んでみてよ」


 グリはメニューに指をさす。

 先ほど一口貰ったケーキの隣のようだ。


「これは?」

「さっきあげたケーキのバージョン違いみたいなの」

「いいぞ。じゃ、これにするか」


 俺はコールボタンを押して店員を呼ぶと珈琲とケーキを注文する。

 それにおしぼりも。


「あ、一口頂戴ね?」

「えー、グリだけずるいやん」

「ですです!」


 グリの言葉にアルとクロノが唇を尖らす。

 それに対しグリは勝ち誇った顔で正論を突きつける。


「だって私は渡に一口上げたもの」

「うちもう食べきってしもーたもん!」

「私もです……」


 グリの完全勝利である。

 でもまぁ、一口くらいならくれてやろう。


 ……、当然のことながらほとんど全部食べられてしまったのであった。

 俺の口に入ったのは一口だけ……。

 いいさ、別に甘いものそこまで好きじゃないし。

 苦いコーヒーだけが俺の味方さ。

 ぐすん。


 喫茶店の会計を済ますと乗り換え時間まで残りわずかとなっていた。

 ここからは新幹線で1時間ちょっとだ。

 グリ達に実体を消せないか聞いてみたが数十年ぶりの旅行なのにと嫌がられた。

 いや、旅行じゃなくてお見舞いだからね?

 仕方ないので再び新幹線の切符を4人分購入する。

 結構高いなぁ……。


 夢の高速列車は俺たちを載せて一路、東京へ向かった。

お読みいただきありがとうございました。

またお時間裂いてくれるとうれしいです。

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