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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第3章】とびらをあければロリをえる
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【第7話 呪い】

「「!!」」


 魔導書を放置していたことをいまさらながら思いだし臨戦態勢を取る渡とアル。

 しかし黒野さん、いや、魔導書は怯えたように震えてこちらを見ているだけだった。


「アル、いつでも障壁展開できるように準備頼む」

「あいあいさー」


 いつでも防御できる準備をしてから魔導書に話しかける。


「それで、何を説明してくれるって?」

「ひぃ……そんなに怒らないで欲しいのです……」

「こっちは殺されそうになったんだ、そんな悠長なことは言っていられない」

「ご、ごめんなさいぃ……、わ、私、操られていたんです……」


 今更そんなこと信じられるか。

 一升瓶を向けて俺は問う。

 ……、一升瓶じゃ締まんねーな……。

 まぁいい。


「それで? その操られていたっていう証拠は? それにいつから、誰に操られていたっていうんだ?」

「信じて欲しいのです……」

「そんなでかい脂肪袋2つもぶら下げている奴の言うことなんぞ信じられるかいな!」


 アル、ちょっと黙ろうか。

 今は大事なお話中だからね。


「これは元からなので仕方ないと言いますか……」


 いかん、なんか毒気抜かれた。


「それで! 説明!」

「はっはい! えっとですね、ちょっと前からなんか黒い靄みたいなものが

時々私の本体にまとわりつくようになってて、追い払っていたんですけど

先週ちょっとお昼寝している時に来ちゃったみたいで、気が付いたら操られていたんです……」

「それで?」

「なので私は悪くないんです! 信じてください……」


 そう言われてもな、また襲い掛かられたら今度はやられちゃいそうだしなぁ。


「なー、兄さん、それやったらこの子のマスターになればええんとちゃう?」

「は?」

「魔導書はマスターに危害を与えられんし、それなら問題ないやろ?」


 アルはニコニコしながらそう言った。

 まぁ仲間が増えるのは悪い事じゃないし、それに確かにマスターになれば安全は安全、なのか?

 それに黒い靄ていうのも気になるし。


「あんたもそれでええやんな?」

「それで信じてもらえるんでしたらマスターになってもらいたいのです……」

「分かった、いいだろう。その代り俺の言ういことをちゃんと聞くんだぞ?」

「……、わかりました。なんでもいうこと聞きますです……」


 なんでも、とな?


「あんしんし、渡が変なこと言ったらグリにちくるから」

「んな!?」


 なんて卑怯な奴だ。

 大体俺が何か変なことするわけないじゃないか。

 ちょっと持ち物検査とか身体検査をしようと思っただけで俺は紳士なんだぞ。


「変態と頭につくけどなー」


 ちょっとアルさん、人の心の中読まないでもらえます?

 プライバシーの侵害ですよ!


「グリさん、ですか?」

「ああ、うち以外にもう一つ、渡の魔導書が居るねん」

「す、すごいですね、二つも魔導書をもっているなんて」

「あんたも渡のものやから3つやな」

「あ、あぅ……」


 顔を赤くしてイヤイヤとするとその凶悪な兵器が左右に揺れる。

 ぶるんぶるん。

 んむ、すばらしいな!


「んっ?」


 なんか背筋ががぞわっとしたような。

 ああ、ちょっと風が吹いたのかな。


「とりあえず部屋に戻るか」

「せやね、風がないとはいえここだとちと寒いわ」

「だがリビングはグリが掃除してるし」

「んーそれならあそこ行こうや」

「あそこ、ですか?」

「まーまー、何も言わんとついてき」




「それじゃ、君のことを教えてくれないかな」

「え、あ、はい。私はネクロノミコンの断片なのです。クロノと気軽に御呼び頂ければと思います」

「クロノ、ね。わかった、俺は敷紙渡、好きに呼んでくれ」

「うちはアルベール、アルって呼んでや!」

「わかりました、渡様、アル様、これからよろしくお願いしますね」


 クロノは少し頬を上気させて微笑んだ。

 あ~、やっぱ大人のお姉さんは素晴らしい。

 グリやアルには無いものがある。

 そんなことを考えていると再び背筋がぞわっとした。

 一体何なんだろう?


「それで、クロノはなぜ別館に居たんだ?」

「それが以前、肇様と言う方にこの屋敷へ連れてきていただきまして」

「また曾爺さんか」

「曾爺さん……? ご主人様は肇様の曾孫様なのですか?」

「ああ、この屋敷も曾爺さんが建てたものだな」

「そうだったのですか、通りでにおいがそっくりだと」


 雰囲気とか見た目とかじゃなくてにおいですか。

 ……、俺ってそんな臭うかな……。

 まだ加齢臭とかは出てないと思うんだけど……。

 グリからも臭いとかは言われたことないしたぶん大丈夫と思いたい。


「匂いって……、まぁいい、それでずっとここにいたのか?」

「はい、肇様からここで待っているようにと言われましたので」

「それはどれくらい前の話なんだ?」

「え~っと、そうですね……。大体40年くらい前でしょうか……?」

「……その間ずっとここで待っていたのか?」

「はい? そうですけど……?」


 永遠を漂う魔導書にとって、40年なんて時間は大したものではないのかもしれない。

 アルもそうだが、ずいぶんと悠長なものである。


「あー、わかった。まぁとにかくこれからよろしく頼む」

「っ! はい! 渡様!」


 と、勢いよく立ちあがったクロノからタオルが剥がれ落ちる。

 その豊満と言うにはいささか言葉が不足しているブツが露わになる。

 そう思った瞬間、俺の目は暗闇に閉ざされた。


「見ちゃダメやでー」

「アル!? その手をどけろっ!!」

「それは出来ん相談やな。この手を放したらうちの来月の小遣いが悲惨になるような気がするしな?」

「くっ……!」

「それに後が怖いで?」

「た、たしかにそうだが……しかし……」


 グリの反応が怖いが、それでも俺は男なのだ。

 女の怒り怖さに目の前の桃源郷を逃してもいいのか?

 いや、よくないはずだ!


「あ、あの、もうタオル巻き直したので大丈夫ですよ……?」


 じーざす!!

 なんてこった!!

 もう桃源郷は手の届かないところに行ってしまったのか!?

 いや、そんなことはない、その桃源郷を覆い隠すタオルに俺の輝く右手を伸ばせば!!


「いたたたた!!」

「おいたはあかんでー」


 アルの細い指先が俺の目に圧力をかける。

 ちくしょう……。



「明日、二人きりの時でしたら、いいですよ……?」


 風呂から上がる際、こそっとクロノが耳打ちしてきた。

 なんてできる魔導書だ、明日が楽しみだな。


 意気揚々と俺たちはリビングへ向かった。

お読みいただきありがとうございました。

またのご来訪、お待ちしております。

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