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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第2章】ちかをあるけばロリにあう
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【第9話 密室はそう簡単には出来ないんです】

「……、なんやて?」

「この迷宮は崩壊する」

「そうやない! なんでそうなるんや!!」


 狼狽するアルを見て、俺は申し訳なく思う。

 メニュー画面から迷宮情報を確認すると2階層の耐久値が0を示していたのだ。

 崩壊カウンターなるものがカウントダウンを行っていた。

 やりすぎた、そう思うが時は戻すことができない。


「修復は!? 修復コマンドあるやろ!? ポイントは仰山あるんやし、はよ直してんか!」


 当然修復は試そうとしたのだ、しかし修復コマンドを実行しようとするも2階層は選択できなくなっていた。

 耐久値が0となったものはまだ姿形が残っていたとしても壊れたものとして扱われ、あとからの回復等は出来ないようだ。

 俺は申し訳ないと思いながらそのことをアルに伝える。


「そ、そんな……、せっかく部屋にたどり着いたのに……。

管理者権限は渡に取られるし、家もなくなるし、うちこれからどうすればええん……」


 膝をついて青ざめるアル。

 頼まれたことはなんとか達成したが、部屋に送り届けておいて肝心の家を潰す結果になっていた。

 その上、迷宮の主となりアルの生活の糧すら奪ってしまっていたのだ。

 そうしている間に無情にもカウントダウンは進み、迷宮が崩落していく音が大きくなる。

 幸いと言っていいのかわからないが、崩壊する部分は迷宮の中央部分が主であり、鍵部屋周辺と屋敷には影響は出なさそうだった。


「代わりと言っては何だが、うちにくるか?」

「え、ええのん?」

「まぁ、アルの家を壊したのは俺だからな、責任くらい取るさ」


 カウントダウンが0となる。

 唖然と俺を見つめるアルは目に涙を蓄えていた。

 その目はやめてほしいんだがな……。


「そっか、そういえばこの迷宮の攻略報酬も渡してなかったしな。

うん、それならお世話になるわ!」

「よろしくね、アル」

「グリもよろしく頼むわ。うっし、そうと決まれば思い立ったが吉日や!」


 腕で涙をぬぐうとアルは立ち上がりニカッと笑う。

 こいつ立ち直りはえーな。

 というか、迷宮の攻略報酬はこいつかよ。

 魔導書だし、相応しいといえばふさわしいのか?


「マスター!はよいこ!」


 鍵部屋の出入り口に向かおうと俺の腕を引っ張るアルに俺は言う。


「迷宮が崩落して道が無くなってんぞ」


 *めいきゅうのなかにいる*

 Game Over


 違う、そうじゃない。


「え、それって閉じ込められたってこと?」

「上げて落とすのやめぇや……」


 グリとアルは絶望に顔を染める。

 グリとアルには悪いが、外に出なくてもいいならそれも悪くないかもしれない。

 俺は少しそう思ってしまった。

 だって不可抗力だし?

 外寒いし。

 おこた様も居るしね!

 冬が終わるまでずっと引きこもっていたい。

 幸いラビリンスポイントは腐るほどある。

 食料品と交換すれば飢え死にもないし。

 そう思いながらラビリンスポイントの残高を確認する。

 ポイントが増えていない。

 主になると迷宮に滞在していてもポイントはもらえないようだ。

 あたりまえか。

 と言うかこのポイントは一体何なんだろうね?


「このまま飢えて死んじゃうのかしら……」

「うう……、グリ、死ぬときは一緒やで……」


 いや、君たち自分が魔導書ってこと忘れてませんか。

 食べなくても死なないでしょ。

 それにその気になれば天井吹き飛ばして脱出できるでしょうに。

 とはいえ、そんなことをされると俺まで巻き込まれてしまう。

 別の手段を考えないとな。

 俺はメニューから新規作成コマンドを選択する。


「新規で階層を作成してっと」

「渡、最後まで傍にいてね……」

「うちもいっしょやで……」


 何を言っているんですかね、この御嬢さん達は。


「落ち着けよ、俺は迷宮の主だぞ? この迷宮限定で言えばポイントがある限り出来ないことなんてないさ」

「え……? あ、そっか、渡に出口作ってもらえばいいのよね」

「そういえばそうやな。別に焦る必要なかったなー」


 恥ずかしそうに笑うグリとタハハハと明るく笑うアル。

 ラビリンスマスターをなめてもらっちゃ困るね。

 さっきなったばっかりだけど。


 元々あった入口の反対側に扉を作成、その先に階段を接続する。

 エレベーターも考えたがポイントが100万と高額だったのであと後のことを考えてやめておいた。

 階段だと10万で済むからね。

 踊り階段程度の大きさの階層と階段で地上まで直通の道が出来た。

 階層の新設が100万と思いのほか高額だったが仕方がない。


 新しく作った扉を開き足を踏み入れる。

 作られたばかりの石の階段が俺たちを出迎えた。

 少し冷たい風を感じる。


 さっさと屋敷に戻って汗を流したいものだ。

 そう思いながら俺たちは遠くに見える光を目指し階段を上って行った。

お読みいただきありがとうございます。

ご意見、ご感想、待っております。

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