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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第2章】ちかをあるけばロリにあう
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【第4話 迷宮を進む】

お待たせしました。

 少しの湿り気と冷気を感じながら地下へと続く階段を下りる。

 そういえば扉はどうなっているのだろうか。

 また直されているかもしれないな、と俺は思いながら少し後ろを歩くアル達の会話に耳を傾ける。


「なんや、あんた魔導書やったんか」

「そうよ、渡は私の所有者なの」


 驚くアルと少し自慢げなグリ。

 アルが変なことを言うから少し意識してしまう。

 まさか、な。

 俺は頭を振ると前を見つめた。


 階段を下りて入口に向かうと扉は壊れたままで残っており、奥の方に通路が見えた。

 少しほっとしながら俺はアルに確認する。

 

「アル、この扉って迷宮の一部だったりしないよな?」

「いんや? 迷宮の一部やで」


 あれ?じゃあなんで今は直っていないんだ?

 それに扉もダンジョンの一部と言うのはわかったが何でちゃんと扉にしなかったのだろうか。

 やはり雰囲気の問題か?

 苦笑いをしているアルに俺は問いかけた。


「壊れかけの状態にわざわざして雰囲気を高めているのか」

「……、ちゃんとした扉はポイント高いねん……」

「そ、そうか、悪いこと聞いたな」


 アルは俯きながら指を絡めている。

 もう何年もラビリンスポイントを得ていないのだ。

 その苦しい財政の中から何とか捻出して作った扉を俺は壊してしまっていた。

 出がらしのお茶で喜べるほど苦しい財政なんて考えたくもない。


「うんにゃ、ええんやで。碌に宝箱も用意できない迷宮やからな……」

「迷宮の管理も大変なのね」

「きゅ~……」


 だから朽ちた木箱の中にポケットティッシュが入っていたのか……。

 それで精一杯だったと考えると切ないな。

 そしてこれから行うことを考えると少し良心が痛む。


「ま、くよくよしててもしゃーないし、さっさといこーや」

「ああ、行くぞ!」


 あっけらかんと笑うアルを見ながら俺は決意を新たに壊れた扉の脇を抜けて迷宮に足を踏み入れた。



 変わらず埃っぽい空気と岩肌が俺を出迎える。

 さっき来た時とほとんど何も変わっていない。

 ただ一つ、つけておいたマーカーを除いては。

 2階層まではマーカーをたどったのですぐにたどり着けた。


 アル曰く、通常はラビリンスポイントを使用してそういう痕跡は消すのだが

今は管理していたアルが鍵部屋から出てしまっているため消えないとのことだ。

 また、迷宮内の構造に変化や急な魔物の出現等も無いらしい。

 なお、俺たちが2階層を初めて訪れたときにはマーカーを消せたが、ポイントの使用をためらってしまい結果マーカーが消えていなかったということだった。



「ここからは魔物が出るから気を付けてな」


 アルが少し緊張しながら注意を呼びかける。

 1階層は諸事情(財政事情)で魔物は配置していないが2階層と3階層には配置しているらしい。

 そういえば1階層に比べて少し空気が重い気がする。

 どんよりと言うかなんというか。

 足元も少し湿っているようでところどころ苔が生えていた。



「出る魔物は2階層はでかい水滴みたいな形しとるスライムと人の顔を30発殴った後に緑に染めた感じのゴブリンや」

「スライムってこないだ来たときにいたやつか?」


 姿を思い出そうとするが直後に流れた放送のインパクトが強すぎてうまく思い出せない。

 アルは頷くと得意気に説明を続ける。


「そや、力は大して強くないけど触れたところが溶かされるから気を付けてな。

ゴブリンはちょっと力が強いけどそれでも大人の男には勝てん位の強さや。武器は棍棒だけやな」

 「倒すとアイテムとか出たりするのかしら?」


 アルの説明を聞いたグリが目をキラキラさせながらアルに問いかける。

 グリ、それは結構な地雷な気がするぞ。

 考えても見ろ、宝箱の中身がポケットティッシュなんだぞ?

 グリの純真な眼差しを受け、目を泳がせながらアルは答える。


「え、あ、うん、せやな、何かしらは、出るかもしれん、で?」

「楽しみね!」

「でもあまり期待しない方が良い、かも……」

「お宝お宝~♪ 出たらどうしようかしら?」


 小さな声でごにょごにょとアルは言うがグリは既に聞いておらず、もふーるをモフっていた。 


 さて、アルの話を聞く限りずいぶんとなんというか初心者向けって感じだな。

 ドロップもあまり無い(だせない)みたいだし、戦利品は期待できそうにない。


「スライムもゴブリンも魔法に対する耐性はほぼ0やから兄さんなら瞬殺やろ」


 にかっと笑うアル。

 まぁ、そんな大量に出てこないみたいだし、余裕だろう。

 そう思いながら俺はバールを構えるとアルは不思議そうに首を傾けた。


「ん? 兄さんそれ杖なん?」

「ああ、俺が魔法を使えるようになった時からの相棒だ」


 今思えばずいぶんと俺も魔法使いらしくなったものだ。

 魔導書と杖を携え、得意の魔法で敵を打ち破る。

 少しばかり地味だがそれを言うのは贅沢というものだろう。


「変わった形しとるね、長く使ってるん?」

「古今東西いろんな武器があるが、俺にとってはこれが一番なのさ」

「ほー、まぁわかるわ。自分の手になじむ杖は大事やもんな」


 俺はバールを軽く振り、集中を高める。

 何度も使っているうちに少しずつ魔力が通りやすくなってきた気がするな。

 グリが微妙な顔をしながらもふーると一緒にこちらを見てくるが気にしない。


「さて、行こうか」


 三人と1匹は2階層攻略へ歩みを進めた。

ご指摘いただきました内容を取り込んでみましたがいかがでしょうか。

2章はこんな感じで書いてみて、よさげでしたら2章完了後に1章を書き直させていただきますので感想頂戴できればと思います。

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