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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第2章】ちかをあるけばロリにあう
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【第3話 ダメ、浮気、絶対】

2016年10月15日改稿しました。

 リビングに少女を連れていくとそこには(グリ)がいた。


「渡、その娘、何」


 静かに笑いながら聞いてきたが、俺には分かる、ものすごく怒ってる!!

 魔力のラインを伝わってグリの怒りがビンビンと伝わってくるよぉ……。


「落ち着けグリ! この娘はそういうんじゃない!」

「そういうのってなによ? 私、わからないわ?」

「いや、だから、その」


 そもそもグリとはそういう関係ではないのだから咎められる謂れはないはずなのだがそれを今言うとおそらく火に油を注ぐようなものだろう。

 ここはもう一人の当事者に説明をしてもらうことにする。


「行け! もふーる! 君に決めたっ!」

「きゅー!?!?!?」


 もふーる、君の犠牲は忘れない。

 たぶん3分くらいは。


「渡?」

「きゅ……ぎゅぅ……」


 飛んできたもふーるを鷲掴みにしてグリは再度問いかけてくる。


「は、はい」

「それで、説明してもらえる?」

「……」

「ねぇ?」

「あのー、割り込んで申し訳ないんやけど、お茶もう一杯もらえます?」


 こいつ、天使か!

 いや、問題はこいつなのだからむしろ疫病神か。


「……、良いわ、お茶を飲んだらあなたのことを教えてちょうだい」

「ええで、いやーこのうちのお茶はほんまうまいなぁ。ええお茶つかっとるんやろな?」

「そう、ただの出がらしだけど喜んでもらえてよかったわ」


 怖いよ! 怖いよグリさん!

 一体何が彼女をこんな風にしてしまったのか!?

 俺か、俺が悪いのか?


「おー、ほんまにお茶なんやな! 感動や!」


 本当にお茶ってなんだ、お茶もどき、タンポポ茶とか今まで飲んでたのかね。

 それにしても出がらし発言をスルーするとは、この娘案外強敵なんじゃないか?

 余計なものを引き込んだ。

 その予感に俺は少し震えた。


「このお茶菓子もうまいなぁ!」

「ああ、グリの手作りだからな、安心できる味だ」

「ほー、ほー」


 ニヤニヤしながら見られるとなんかむかつくな。

 もふーる投げつけんぞ。


「なんだよ」

「兄さん、愛されてんね」


 ぶふぉっ!げほっげほっ!気管支に入った!?げほっ


「何そんな慌てとるん?」

「げふっごほっ、お前が変なこと言うから げほっ」

「変でもなんでもないと思うけどなぁ?」

「俺とグリはそんな関係じゃない。大体グリに失礼だろうが」


 こいつ、マジで強敵だ!

 危なすぎるわマジで。

 誰だよこいつ家に引き込んだ奴!

 俺だよ!


「ほーん? あの子も報われんねぇ」

「余計な勘繰りはやめてもらおうか」

「へいへい、追い出されてもかなわんし、黙っときまひょ」


 その後グリがお茶を持って戻ってきて少女から話を聞いて行った。

 少女は魔導書アルベールと言い、50年ほど前に俺の祖父に迷宮へ封印されたそうだ。

 その封印の上に屋敷が建てられ、空間魔力のほとんどを屋敷に吸い上げられていたため碌に力が使えないらしい。

 迷宮内に人が入ればラビリンスポイントなるものが手に入るので、それを使って細々と生活していたが

暫く前から人の出入りがほとんどなくなり、困窮のどん底にあったらしい。


「いや、ほんまかなわんで、水すら飲むにことかいとったからな」

「魔導書って飲食不要なんじゃないのか?」

「いやいや、要らんって言っても飲み食いしなくても死なないだけでしんどいはしんどいんやで?」

「まぁ、そうなんだろうな」


 いつその状況が解決するかわからないっていうのは精神的にも結構くるかもな。

 それにいくら飲み食いしなくても死なないって言っても生きているだけっていうのはな。


「それに迷宮内じゃすることもなくて暇やしなー、兄さんが来たときはほんま嬉しかったで?」

「アルベールさん……、辛かったわね……」

「きゅっ、きゅう……」


 おおぅ、グリが共感している。

 少し状況は違うとはいえ近い境遇だもんな。


「ほんまにな。あ、あとうちのことはアルってよんでーや」

「分かったわ、アル。それじゃ私のことはグリって呼んで頂戴」

「グリな、よろしゅーな?」

「ふふ、よろしくね?」


 最初の険悪さが嘘のように棘が無くなったグリとほっとしたように笑う少女、改めアル。

 よかった、あの雰囲気結構つらかったんだよね。


「それで、なぜ肇様に封印されのよ?」

「あー、それな、ちょっと冗談で怪獣を召喚してみたらブチ切れられてな。

それで反省するまでしばらく迷宮の中で頭冷やせっていわれて封印されてしもうたんや。

せいぜい20年くらいで出してもらえるやろー思ってたら50年近くも出してもらえんってちょっと怒りすぎやと思わん?

特撮扱いにしてどうにか誤魔化せたんやから別に問題ないっちゅーにな。

せや、肇に文句言ったらな! どこにおるんや? ちょっと話させてーな?」


 笑いながら言うアル。

 そんな顔されていると非常に言いづらいのだが……。

 黙っているのは出来ないよな……。

 俺は覚悟を決める。


「あ~、アル、その肇って人は俺の曾爺さんにあたる人なんだがな。曾爺さんは俺の生まれる前に亡くなっているんだ」

「はぁ……? そういえば面影があるような……? いやいや!? なんやて!? 肇が死んだんか!?」

「ああ、だから封印を解くことができなかったんだと思う。曾爺さんに代わって謝る、すまなかった」

「いや、そうか、そうやったんか……」

「アル……」

「あいつも人間やった、そういうことなんやなぁ」


 アルベールは悲しそうにそうつぶやいた。

 グリもかける言葉が無いようだ。

 重い空気がリビングを支配する。


「墓は近くにあるんか?」

「ああ、ここから車で30分くらいのところにあるから、明日にでも行って見るか?」

「……、いや、行けんわ」

「何でよ? 肇様ももう怒っていないと思うわよ?」

「ちゃうねん、うちのこの体、本体からあまり離れられんねん」

「え? そうなの?」

「そそ、この体、分身っていうより幽体離脱みたいな感じでなー。あまり離れるとラインが切れてぽっくり逝ってしまうねん」

「きゅう……」

「なんや、慰めてくれるんか? ええ子やなぁ」


 もふーるが耳であるの頭をなでている。

 空気の読める兎だ。

 もうこいつが主人公でいい気がしてきた。


「ねぇ渡……」

「ああ、わかってる。アル、お前の本体は迷宮の中の鍵部屋とやらにあるんだな?」

「え?うん、そうやで。それがあの迷宮のお宝の一つってわけや」

「なるほどな、わかった、アル、俺がお前を墓参りに連れて行ってやる」

「ええんか?」

「これでも魔導書の所有者なもんでね。それに曾爺さんのやらかしたことの落とし前をつけるのは子孫としてやぶさかじゃないのさ」


 もふーるだけにいい恰好はさせないぜ。

 ……、ウサギに対抗心だしてどうするよ。


「そか……、すまんなぁ……」

「そういうときは謝罪じゃなくてありがとうって言って欲しいね」

「くふふ……、そんじゃ改めて、ありがとうな! 渡!」

「おう、大船に乗った気持ちでいろ」


 俺は再び地下へと続く階段に向かうのだった。

何とかかけたのでついでに投稿。次の話こそ来週です。

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