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その胸、魔法では膨らみません ~100LDK幼女憑き~  作者: すぴか
【第2章】ちかをあるけばロリにあう
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【第1話 秋風と紅葉】

まとめて投稿しようかと思いましたが章を作るの忘れそうなので先に出来上がった分だけ投稿しときます。


2016年10月15日改稿です。

 11月、寒さが厳しくなってきて外に出るのが億劫になる季節。

 俺は炬燵(あくまのへいき)に囚われ、身動きが取れなくなっていた。


「渡、ダラダラしてないで外に行こうよー」


 メイド服に身を包んだグリが腰に手を当てて文句を言ってくる。


「嫌だ、寒い、俺はずっとおこた様と共にあるんだ」

「全館暖房入れてるのに炬燵って必要あるのかしら」

「様をつけろこのでこすけ!」

「……、渡様、外を散策いたしませんか?」


 グリは少し冷たい目をしてカーテシーを行う。

 あ、その目、なんかゾクゾクと……。

 はっ、危ない、違う方向の趣味が目覚めそうになった。


「俺じゃねえ、おこた様にだ!」

「なんで物に様付けなきゃいけないのよ!?」

「俺はおこた様に生涯の忠誠を誓ったんだ! おこた様を馬鹿にすることは許さんぞ!」

「何言ってるのよ、意味が分からないわ」

「グリ、お前もこちらに来い……」

「まだやること残ってるんだけど」


 グリは少しでも俺の役に立とうと家事をしてくれている。

 おかげでいろいろ助かる。

 なんせひろい屋敷だ、俺一人ではとても管理しきれない。

 グリは魔法を使い、手の届かないところまで細々と気を回してくれている。

 俺の魔力が増えたおかげで中学生くらいの体つきになっているとはいえ、彼女は女の子だ。

 休まず働くグリに俺は少しは休みを取ってもらいたかった。

 決して仲間(同志)が欲しかったわけではない。


「いいから早く!」

「仕方ないわね」


 そう言ってグリは俺の隣に入ってきた。


「ああ……だめよ……これは……人をダメにするわ……」

「素晴らしいだろう?」

「うう、これは認めざるを得ないわ……」

「Under Worldへようこそ」

「ああ……渡……時が見える……」


 俺は同志を得たことに喜びながら目を閉じた。



 そして30分後


「暑いわ!」

「汗かいちゃったわね」


 暖房が入っている部屋で二人くっついて炬燵に入ると暑い、わたる、おぼえた。

 でもたぶんまたやる。

 人間は後悔はしても反省はしない生き物なのだ。


「ちょっと外に出て涼まない?」

「寒そうだしなぁ」

「暑いしちょうどいいでしょ」

「んじゃちょっとだけな」


 廊下に出ると少し涼しかった。

 全館暖房とはいえ廊下の暖房は控えめにしているらしい。


 玄関に向かう途中、実体化した魔法が窓を拭いているのを見かけた。

 これ、他人に見つかるとまずいんじゃないのかと思ったが、グリ曰く人は常識から外れ過ぎたことは見えなくなるそうだ。

 う~ん、いいのかそれで。



 扉を開けると冷たい風が吹き込んできた。


「きゃっ」


「秋風に 舞えや踊れや ヒラヒラと レース水玉 縞々リボン」  渡、心の句


 

 頬に紅葉を付け、空を見上げる。

 澄み渡った青空を見ると、俺の心も清らかになっていく。

 たまには外に出るのも悪くない。

 そう思えた。

 


 体の火照りが収まるとすぐに屋敷に引っ込む。

 風邪をひいても面白くないしな。

 グリは何か言いたげだったが俺に背を向けると仕事に戻って行った。



 さて何するか。

 漸く炬燵(あくまのへいき)から逃げることができたのだ。

 何かしたいと思うが家事全般はグリの統制の下、実体化した魔法が手際よく行っていた。

 ボイラーに閉じ込められた火の魔法のことを思うと涙が止まらない。


 そういえばと思いだす。


「地下室ってどうなってるんだろ」


 当初とりあえず封印しておいた地下へと向かう階段を下りる。

 階段お降りた先には「立ち入り禁止」と書かれた札の張られた扉があった。

 これはあれか、押すなよ?押すなよ?ってことですよね?

 はい、それでは御開帳~。


 ギギギギ……


 長らく使われていなかったらしい扉は、開くときに悲鳴を上げた。


 バキンッ


 悲鳴を上げた。


 バタンッ


 悲鳴を上げた。


「まぁやってしまったものは仕方ないよな!」


 俺は気を取り直して中を覗く。

 そこには暗闇があった。

 当たり前である。


 携帯電話を取り出してライトで照らしてみるがやはり暗闇であった。


「うん? 携帯のライトで照らしきれないってどんだけ広いんだ?」


 流石に暗い中を動き回るのは流石に危ないので、一度戻るかと思い階段を上ると目の前をバケツを頭に載せた光の魔法が歩いていた。


「ちょうどいいところにいた。おい、ちょっと手伝ってくれ」

  

 ウサギをデフォルメしたような姿の光の魔法を抱きかかえようとするが何やら悲しい目で見つめられた。


「きゅ~……」


 彼(彼女?)が何を言いたいのかわからない。


「すまんな、何が言いたいのかちょっとわからない」


「きゅ? きゅーっきゅー! きゅきゅ!」


 身振り手振りで俺に何かを伝えようとしているようだが……


「可愛いな」

「きゅっ!? きゅ~……」


 何やら可哀そうなものを見る目をされた。

 うさぎのくせになまいきだ!

 なんつって。


「ちょっと通訳(グリ)を探すか」

「きゅきゅっ!」

「呼んだ?」


 探すまでもなかった。


「すごいタイミングだな」

「うん? 渡と私は繋がってるから、呼べばすぐわかるわよ?」


 初めて聞いたんですが。

 あ、そういえば初めて魔法を使ったときにグリの方に何かが流れていく感覚があったがあれのことか?

 しっかし、すぐわかるって、もしかして俺の声とかがずっと聞こえてるのか……?

 聞きたいが、聞けないなこれ。


「ふふ、冗談よ、たまたま通りかかっただけ」

「なんだ、そりゃそうだよな」

「きゅ……」


 ウサギの反応が気になるが……。

 気にしたら負けだよな。


「ああ、それでちょっとこいつ借りたいんだがいいか?」

「もふーるを? いいけど」

「きゅっ!?」

「なんていってるんだ?」

「ん、頑張って誠心誠意働きます。だって」

「きゅ……」

「そ、そうか、よろしくな?」

「きゅ~……」


 絶対言っていないだろうことを代弁されたもふーるは項垂れながら返事をするのであった。

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