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プロローグその1

深い深い森の奥。ジャングルのように入り組んでいる森の中を進んで行くと、目の前に突然、白い建物が現われた。その建物の扉は固く閉ざされており、外からは決して開ける事が出来なかった。意味もなく建物が立っているかのように思えるが、その建物には【秘密】があったのだ。



部屋の中には、二人の男がいた。一人は白衣を見にまとい、黒い髪に黒い瞳を持つ青年だった。胸にはネームプレートが付けられてあり、ローマ字で【KAORU・SIINA】もう一人の男は茶色い机に座り、灰色のスーツを着ていた。白髪交りの髪に顎髭を生やした男は青い目を鋭く尖らして書類を見ていた。



「今日の成果はこれだけか?【シーナ】君。」



男が書類を机に置くと、最初と同じ鋭い目を【シーナ】と呼ばれた青年に向けた。【シーナ】は緊張しながら、男の問いに答えた。



「この頃、【彼ら】の精神状態が芳しくないのです。」



「それは【君達】が、悪いんじゃないのか?【彼ら】は皆、優秀だぞ?」



「し、しかし・・」



「君は、【スポーツ】には何が必要かわかるかね?【優秀な選手】?【優秀な監督】?【自分に合う道具】?どれも大事だな。しかし、これらよりも最も大事な物があるんだ。」



男は立ち上がり【シーナ】に近付くと顔を近付いた。男の鋭い目がまるで、【狼】が獲物を睨むように、ギラギラと光っていた。



「・・・・それは【結果】だ。幾ら【優秀な人材】や【道具】があっても【結果】を出せなければ、意味が無いのだよ。【シーナ】君。」



「・・・はい。」



「だったら!早く【結果】を出して来い!こんな物を見せる為に来たのではあるまい!早く行け!」



「は、はい!失礼しました。」



【シーナ】が慌てて部屋から出て行った後、男は机に戻り、椅子に座った。未だにギラギラしたその目を隠すように手を当てると、男は小さく囁いた。



「早く・・・【結果】を出すんだ。でないと、【我々】はこの【戦争】に負けてしまうのだよ。」






◆◇◆






【シーナ】は慌てて、部屋から出た。額から汗が滲み出ている事に気付いて、どれくらい緊張していたのかが、一目でわかった。



「こっちだって・・・好きでやっている訳じゃないんだ。」



【シーナ】は小さく囁くと、長い廊下を歩いて行った。すれ違う同僚達からも励ましや、同情の言葉をかけられながら、【シーナ】はある部屋の中に入って行った。



「ハァ・・・」



部屋の中は狭く、至る所に資料が山積みに積まれており、【シーナ】はそこにある椅子に座ると、深くため息を付いた。



「・・・こんなんじゃ無かったんだ。俺のやりたかった事は・・」


【シーナ】は一つの書類を手に取り、眺めていた。その書類にはびっしりと人の写真が等間隔に貼られていた。その下には、名前が書かれていて【シーナ】はそれをジッと見ていた。



「こんな・・・何も知らない【子供達】に・・・・僕は・・僕は!」



【シーナ】は顔を腕の中に埋めると、泣き始めた。自分の犯している【罪】が【シーナ】を重く、のしかかっていた。しかし、【シーナ】は既に【準備】をしていた。それは【シーナ】自身始めてやる【革命】だった。






◆◇◆






俺は自分の【母親】を知らない。

正確に言えば、【俺達】は研究所で保存されていた【卵子】と【精子】を【受精】させて作られた【人間】なのだ。

この事を知っているのは俺だけで、俺は【シーナ】と名乗る黒髪の男にそう教えられた。他にも、【世界の歴史・地理】【数学】【科学】【医学】等、数えられないほどの知識を【俺だけ】に教えてくれた。

その中で【格闘技】については熱心に教えてくれた。

お陰で俺は様々な知識を得て、格段に強くなった。

しかし、何故【俺だけ】に教えてくれるのか訪ねると【シーナ】は俺に只一つ、【何も知らないで生きるのは、死ぬほどきついんだ。だから君だけでも知って欲しいんだ。君は賢い子だから・・・これから起きる事に役立てて欲しいんだ。】と言ったのだ。最初、俺は【シーナ】の言っていた言葉を理解出来なかった。






此所は【ホワイト・ハウス】。

アメリカ合衆国にも同じような所があるが、違う。

此所は地下にある施設で、入口は地上にある【白い建物】しかない。

それに、地上に出てもそこに広がるのは、ジャングルのように入り組んでいる森があって、人間は生きて此所から出られないのだ。

これも【シーナ】から教えてもらった事だ。

そして、此所【ホワイト・ハウス】には俺と同じ平均年齢10歳の【子供達】が数百人、個別に【閉じ込められている。

】皆、足首までの長さの白い服を来ていて、研究員は【俺達】。

を【ホワイト・チルドレン】と呼んで、可愛がってくれていたが、【俺達】は怯えていた。

何故なら、【俺達】は日が経つにつれ【徐々に消えていくのだ】。毎日毎日、連れて行かれる【仲間】を【俺達】は黙って見るしかなかった。

部屋の中から罵声を浴びせる者もいたが、その【仲間】も翌日には居なくなるのだ。

【俺】はこの時、まだ【シーナ】と出会っていなかったので、何もわからず怯えていた。【俺】の番になった時も部屋から【仲間】が覗いていて、【俺】はその刺さるような視線に耐えるようにして連れて行かれた。廊下を右に曲がり左に曲がり辿り着いた所は、異様な空間が漂う部屋が続く【研究室】だった。左右に続く部屋の一つには、【研究員】が薬を調合している部屋だった。反対側には【俺】の【仲間】が頭の中身をだし、そこに何か管のような物をはめられた状態で、ベットの上に横たわっていた。何故かわからないが、【俺】は止りその光景を凝視していた。その時、何故【俺】は凝視していたのか【今なら解る】。俺は【仲間】の姿を自分に重ねて、怯えてしまい足が動かなかったのだ。研究員が【俺】の腕を掴んだ時【俺】は体を震え、研究員を見た。研究員は無表情のまま俺の腕を引っ張り急ぎ足で歩き始めた。【俺】はあの時、どんな表情をしていたのか。

恐怖で顔をゆがませていたのか。

もしかしたら、【俺】もあの研究員のように無表情のまま見ていたのか。

今となっては、もうわからない。

その後も部屋はあったが、【俺】はどんな部屋だったのか思い出す事が出来なかった。

そして、【俺】はある部屋に連れて行かれた。

そこにいた研究員は皆、分厚いマスクを付けているその部屋には、様々な液体が並べられていて、注射器がベットの横に置かれていた。【俺】は研究員にそのベットに寝かされると、透明な液体が入っている注射器を腕に刺された。体の中に注入されていくと、【俺】は突然、睡魔に襲われた。体が重くなり、【俺】はそのまま眠ってしまった。久し振りの眠りに、闇の中を潜るように【俺】の意識は途絶えた。



♪♪




【俺】が目覚めた時、そこは【俺】の知らない部屋だった。前に居た所は、薄暗く不気味な部屋だったが、此所は逆に天井の灯が眩しく、タイルや壁が白く輝いていた。



「此所は・・・」



俺はベットから降りようとしたが、うまく足に力が入らず、倒れてしまった。

タイルは冷たく【俺】の体温 を徐々に奪っていった。

その時、部屋の扉が開く音がして二人の研究員が入って来た。一人は、眼鏡をかけた清楚な雰囲気が漂う研究員と、もう一人は髪と瞳が黒く、大人というより青年のような幼さがある研究員だった。その研究員は、倒れている【俺】に手を差し伸べた。【俺】はその手を掴むと足に無理矢理力を入れて、何とかベットに戻る事が出来た。



「大丈夫かい?何処か具合は悪くないかい?」



「・・・大丈夫です。」



「そうか、ならいいんだ。怖かったろう?だけど、もう大丈夫だから安心してくれ。」



「・・・はい」



「【シーナ局長】。ちょっと・・・」



【シーナ】と呼ばれた研究員をもう一人の研究員が呼んだ。【シーナ】は【俺】に待ってねと言って、壁に寄り掛かっている研究員の所に行き、何やら話をしていた。【俺】はその二人を見て、ある事を考えていた。話が終わったのか、一人の研究員が部屋から出ていった。



「それじゃ今から、脳波を検査をするからそのままベットに横になってくれないか?・・・大丈夫。只、異常がないか調べるだけだから。」



【シーナ】は、警戒している【俺】に優しく言葉をかけて和らげようとしてくれた。【俺】は【シーナ】の言葉を信じてベットに横になった。【シーナ】は俺の頭に何かを被せると隣りにあるモニターのスイッチを入れた。そこには、何やら赤と青と黄の線が縮小しながら動いていた。【シーナ】はモニターをジッと見て、紙に書いていた。



「あの・・・」



「ん?どうした?」



「・・・どうして【俺】に【謝った】のですか?」



「え・・・」



あの時、【シーナ】が俺に手を差し伸べた時、【本当にすまない。不自由な君達にこんな事をしてしまって・・】と言っていたのだ。その言葉は【俺】の心臓辺りに吸い込まれるように【聞こえたのだ。】次に俺は、出て行った研究員の言っていた【言葉】を【シーナ】に伝えた。



「【シーナ】さん。貴方はもしかしたら【良い人】だと思うので言いますが、さっきの人は【シーナ】さんの事が嫌いらしいですよ。それに【俺】の事を【気味悪い顔しやがって】と言ってました。」


【シーナ】は【俺】の言っている事を理解したのか今度は【口を動かさず】に【俺】をジッと見ていた。しかし、【俺】は【シーナ】が【声を出しているように言っている事がわかった。】



「・・・【僕の名前はシーナ・カオル。】」


【シーナ】は、目を輝かせて頷いた。



「す、凄い・・・君は【人の心】を読む事が出来るのか?」



「そうなんですか?・・・所で【心】ってなんですか?【名前】ってなんですか?」



その頃の【俺達】は言葉は知っていた。話しながら歩いている研究員から学んだものだが、その言葉の【意味】を知る事は無かったのだ。その時の俺は純粋に聞いただけなのに【シーナ】は急に悲しそうな顔をした。



「そうか。君達は教育を受けていなかったんだったな・・・すまない。僕のせいで・・よし!これから君は毎日、僕の部屋に来なさい。君に【知識】と【世界】を教えよう。」



こうして、【俺】は【シーナ】のいる部屋を自由に行くことになった。そして、【俺】はそこで自分の【名前】を知って、【シーナ】がやろうとしていた事をする事になるが、これは【俺】自身も望んだ事だった。



♪♪♪




【シーナ】のいる部屋まで行くのは大変だった。研究員達に見つからずに、【シーナ】のいる所まで行かなければならないのだ。【俺】は【忍者】のように研究員の【足音】や【心の声】を聞きながら、闇の中を潜って行き、【シーナ】のいる部屋まで行った。

【シーナ】によると、この【施設】では【俺達】は戦争の道具として、作られた【人間】らしく、【薬品】を注入する事で【俺達】を【強化人間】する【施設】らしく【俺】は、その【第十号】らしい。【俺】と同じ【能力者】に【シーナ】はあった事があるが皆何かしら【異常】があったらしく【俺】のように【正常】な【能力者】はいないらしい。なら、【俺】と【九人の能力者】以外の【仲間】はどうなったか【シーナ】に聞いてみると【シーナ】は暗い顔をした。【俺】はわかっていた。研究員の【心】をある程度聞いていたので、【力を持たない仲間】の末路を研究員から【聞くことが出来たからだ。】



「【アガレス】。君以外の【能力者】は君みたいに賢くないが、皆何かしらの問題を抱えているんだ。だから、【アガレス】。君は悲しまなくて良いんだ。悪いのは僕なんだ。僕の心が弱いばかりに・・・」



【シーナ】は俺をなぐませてくれた。【俺】は【シーナ】からいろんな事を学んび、それは、【俺】に【力】を与えてくれた。だから、【俺】は【シーナ】のやろうとしている事を実現させる為、【九人の能力者】に会いに行こう。この【作戦】を成功させる為には【仲間】が必要なのだ。だから、少しだけ【シーナ】には苦労をかけてしまうが、我慢して欲しい。【俺】はそう心に誓った。






◆◇◆






【俺】の名前は【アガレス】。今はあの時、【シーナ】と始めて出会った部屋のベットに横になり、【シーナ】から貰った【懐中時計】を研究員にバレないようにチラリと見て、その時を待っていた。

研究員達は真夜中でも廊下を行来していたが、昼よりは【回数】は極端に少ない。その代り、この時間帯は警備兵が銃を持って巡回している。しかし、その【ルート】は単純で【俺】は通る時間帯を覚えた。何故【単純】なのかと言うと、この部屋の耐久性にある。この部屋はどんな衝撃や音でも、壊れないし、通さないのだ。そして、時計が【2時】を指した時、扉が開き中から【シーナ】が現われた。



「・・・本当に行くのか?」



「はい。【仲間】は必要ですからね。」


「そうか・・・なら早く行こう。最初の【能力者】に・・」



【俺】は【シーナ】の後ろを付いて行き、最初の【能力者】に会いに行った。名前は確か【ウィネ】と言う、【俺】より二コ下の男で、俺の隣りの部屋にいる男だ。

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