逃げ続けた私
朝、母が私の部屋に持ってきたココアの匂いで目が覚めた
母がドアを閉めた音がすると私は
上半身を起こした、
カーテン越しに見る外に明かりはまだ無い
カーテンから目を反らし、反対側にある机の上にある
スノードームの雪は、
まるで、泡のない炭酸のようだった
そして、私のようでもあった
ため息をつき、そのまま、下半身も起こし、
ベッドを降りた
床が凍っているように冷たかった
でも、いつも通り、沈黙の中の足音は響いた
イスを引き、座りココアを一気に飲み干した
「ゴクッ」っと喉の方から音がした
そのまま、ドアに向かって歩いた
おもいっきりドアを開け
階段を下った
少し先にあるはずのドアが
とても遠くに見えた
でも、私はドアに向かった
ここ一週間、外に出ていない
学校にも、当然行っていない
それなのに、ドアに向かった
そしたら、当然だけど、案外近かった
ドアを開けた瞬間、
凍えるような空気が体全体を包み込んだ
鳥畑が立った
それでも、そのまま進んだ
少ししたら、寒さにもなれた
そしたら、おもいっきり伸びをした
霧が薄くかかっていた
そして、ポストに目をやると
新聞の下に謎の手紙があった
しかも、私の名前下2字が書いてあった
送り主が気になった私は霧の中のポストへ向かった
新聞を脇に挟むと、私の名前と送り主の名前が書いてあった
「藤沢桜子さんへ2年2組一同」
そのあとにクラスメイトの名前が全員書いてあった
その中で二人の名前が目に止まった
「宮本大雅、後藤由香」
この二人は幼なじみでちっちゃい頃よく遊んでた、
二人共、リーダーシップあって運動できて、
頭もよくって、皆から人気があった
私だけ、いつもお荷物だった
それなのに、それなのに二人はわたしの手をとってくれた
こんな、私を救ってくれた
そんな、とっても優しい人だった
でも、そんな二人に助けられてる自分が
情けなかった
二人に迷惑かけてまで、一緒にいるのが辛かった
ちっちゃい頃から、私がいじめられたら
二人が私の手を取って、立ち向かってくれた
本当なら、もう、くたばってるはずなのに
それに頼らないと生きていけないと思うと
情けなくて、情けなくて、
そんなことを思っていたら
母が新聞を取るために外に出てきた
「早いわね桜子どうしたの?」
「何でもないよ」
「そう、じゃあ寒いから中に入りなさい」
「うん、」
そういって私は手紙を片手に持ち家の中に入った
暖かい空気が体を包み込んだ
そのまま、正面にある階段を上った
足が寒さに慣れたようで
もうあまり寒くなかった
上りきって自分部屋に入ったら
二人と私のいる写真が目に飛び込んで来た
私は泣いていて、二人が私の手を取ってくれていた
「そうだった、あの日から」
私はその日、1人部屋にこもって絵を描いていた
幼稚園で一番下手くそだったけど
「おーい桜子公園で遊ぶぞー」
「桜子ちゃーん遊ぼーよー」
「いいよ、私は二人で遊んできて、」
「そう言うなよー」
すると、二人は私の家のドアをノックした、
すると、私の母が出て
「あら、桜子のお友達?」
「そうです、おばさん、桜子にあわせてください」
「わかったわ、」
「桜子ーお友達よー」
「いいよー来なくて」
そう言っても階段を上ってくる音が聞こえた
すぐに二人が来て私の手を取った
「桜子、遊ぼー」
「でも、」
「いいから行くぞ」
仕方なくいくことになった、
「おばさん、失礼しましたー、」
ドアを「ドンッ」っと閉め
二人とも私の手を握って走り出した
「ちょっと早いってばー」
「仕方ねーだろこれから皆で、かくれんぼするんだから」
「えっ!」
「大丈夫、桜子ちゃんは隠れる方だから」
「いやっ」
そんなことを言っている間に公園に着いた
「おーい、みんなー桜子つれてきたぞー」
一斉にその場が静まり返った
「おい、なんだよ、その反応!」
大雅がなんとかしてくれた
そして、すぐにかくれんぼが始まった
しかし、今回鬼はいつも私をいじめる、
男の子だった
絶対私を見ると殴ってくる
私は必死に走って隠れる場所まで走ったが
間に合わなかった
数え終わった瞬間、私の方へ走ってきた
そして、私をぶった
私が少し悲鳴をあげると
二人がこっちに走ってきた
私はそのまま隠れる場所まで向かった
なんとか隠れられた
二人がいじめっこをぼこぼこにしているのが見えた
私はその場にずっととどまった
二人が呼んでも私は出なかった
結局夕方まで呼ばれたが絶対出なかった
私がふと、二人を見ようとすると、
もうそこに、二人はいなかった
私は不安になった
見えるものが歪んだ、
すると、二人の声がした、
そこには、私の母の声もした
「桜子ー」
私は耐えきれず嗚咽をこぼした
それで、二人ともきずき私を見つけた
そして、泣きながら、家に帰った、
そんな、ことを思い出しながら写真を見た
そして、その日は結局なにもせずに終わった
次の日も私は早く起きてしまった
そして、何故かあのときの公園に向かった
そこには、あの二人がいた、
「桜子ちゃん、おはよう」
「おはよう、桜子」
「えっ!何でここに?」
「いつもここにいたよ、」
「ずっと待ってた毎朝」
「えっ!本当?」
「本当」
「そ、そうなんだ、ごめんね、私なんかのために」
「なんだよ、なんかって、」
「桜子ちゃんは私たちの大事な友達なんだから」
私はもう耐えられなくなって
その場で泣きじゃくった
そして、思わず
「何で!?何でいつも、私なんかをかばうの?!」
「辛いんだよ!そうやって、助けられてるの!」
嗚咽混じりで叫んだ
しかし、二人はちっとも怯まなかった
「知ってる?桜子ちゃんちっちゃい頃あなた私たちを助けてくれたの?」
「えっ?」
「言ってもいいよね大雅、」
隣にいた大雅がうなずいた
「実はね、あのかくれんぼ事件よりも数年前、私たちがトラックでひかれそうになったの、その時、貴方が私たちを押して、助けてくれたのでもあなたは足に怪我をおったしかも、頭を打ったから今あなたはそれを覚えていない、なんとか手術で元に戻せたけど、足の機能に支障が出た、あなたはそれまで、私より足早かったんだよ、」
「嘘だ!」
私は泣いた泣きまくった
由香がこっちに近づいて来た
「今日、一緒に学校行かない?」
私は由香に抱きついた
こっそり耳元で
「行く、」
小さな声で答えた
そして、二人と一緒に家に戻り仕度をした
そして、一緒に登校した、
今日は、久しぶりの晴天だった
久しぶりの階段を上りきって教室に向かった
ドアの前にたちおもいっきりドアを開けた・・・・