表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
365日のサンタクロース  作者: 鈴木真心
2008年のサンタクロース
12/17

2008年12月24日

12月24日、天下のクリスマスイヴ。


天下のイベント続きな連日ではあるが、この日、社会人にとっては普通に出勤し普通に仕事をする平日でもある。

……昨日も出勤したのに。


とは言っても、仕方ないものは仕方ない。

日本国家は仏教徒が大半なのだし、そもそもが多神教であり無宗教に近い。

まあ、個人思想は自由だけれど。


それでも。



「古賀さん、今夜はどう?」



頭の中はそうでもない奴ってのは、やっぱり存在するわけで。



「仕事しようよ、大宮くん」

「いやー最近古賀さん、三多にべったりだったじゃないですかー」

「べったりって。仕事だから」



そのだらけた喋り方は何とかならんのか。



「仕事仕事じゃ疲れちゃいますよ。だから、ほら、俺が癒してあげますって」



頼んだ覚えはないし、何をどう癒してくれるつもりなのかも敢えて聞きたくない。

聞かずとも残念なことに、こいつの目が語っていた。

それがより残念感を煽っていたのだけど、知らぬは本人ばかりなり。



「大宮くーん!」

「ほら、パートナーが呼んでるよ」



猫なで声のお局様が、にやにやと大宮くんを手招きしている。


本当にいろいろ残念だよね、大宮くん。


渋々とそちらに歩いていく彼の背中は、それはそれは小さく見えた。



「……帰ってくんのかな?」



しばらく空きになっている隣のデスクに呟きを投げ掛けてから、少しだけ、肩を落とすあたしがいた。


何だかんだ言って、いないとちょっと寂しいのは何故だろうか。


三多千尋。

職業/世界を相手取るサンタクロース。


国籍は日本 (らしい) で、金髪蒼眼の外人顔。

日本語は流暢だが、果たして英語はいけるのか。

バイリンガルか、トライリンガルか、どこまでもマルチリンガルなのか。

国籍は日本であっても、実際はどこの血を引いているのか。

三多っていう苗字だって“みた”と読ませてはいるけれど、明らかに当て字くさい。


キーボードを叩きながら、今夜のメニューを考える。

奴がいるときは大抵作ってくれていたけれど……。



「……カップ麺でいいか」



少しだけ、期待をするあたしがいる。

でも、飽くまでも“大人”なあたしが、世界中の“よい子”をないがしろにしてはいけないのだ。


サンタクロースは世界中のよい子のために。

クリスマスの奇跡のために。


千尋はきっと、約束は破らない。

彼は、サンタクロースなのだから。



「さ、仕事するかー」



今晩のメニューはコンビニ購入に決定し、サンタクロースの活躍を心の中で、密かに応援した12月24日。


今日はイヴ。


明日は、クリスマス。

奇跡は、起きるのかどうか。





end?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ