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365日のサンタクロース  作者: 鈴木真心
2008年のサンタクロース
11/17

2008年12月23日

ここ数日、千尋を見掛けない。


先月の文化の日以来、あたしの家に住み着いたのは、紛れもなく世界を相手取るサンタクロースなわけで。

住み着いたはいいものの、彼は一応、しつこいが紛れもなくサンタクロースなわけで、12月間近は追い込みなのか何なのか、とにかく、家も仕事も空けることが多かった。

ちなみに、会社こちらでは出張扱いとなっている。

派遣社員が出張……皆、どう思っているのだろう。


そんな本日、天皇誕生日。

天下の休日ではあるが、生憎とあたしは出勤だ。



「休日手当てはつくのか」



細やかな疑問を胸に出勤してみれば、年末の仕事にてんやわんやな面子が、ちらほらとデスクで格闘中だった。


あたしも変わらないか。


そんなことを思って、いざ、自分のデスクへと足を運べば。



「あ、朱美先輩!」



女子社員の後輩が、てこてこと駆けてきた。



「何、どうかした?」

「はい、あの、三多さんから置き手紙を預かったんです」

「……置き手紙?」



訝しむのは後輩も一緒だったらしく、はい、と首を傾げつつもそれを手渡してから、きゃっ、とかわけのわからん黄色い声を上げて、そそくさと去っていった。


……何なんだ。


相変わらず首を傾げたまま、かさかさとそれを広げてみる。



『朱美さんへ


24日、期待しててくださいね!


サンタクロース、千尋より

2008年12月20日』



ご丁寧に、日付まで書いてあったけど……その日は、しっかりうちで夕飯を一緒に食べていたような。

何故にわざわざこんなものを。



「クリスマスって……ああ、あたしは『よい子』なんだっけ。」



いつぞやの作文を思い出して、少しだけ笑っちゃった、12月23日の朝。


赤い帽子に赤い服、今の時期なら暑苦しくもなかろうファーと付け髭のサンタクロースは、今頃、てんやわんやなのだろうか。


そんなことを考えて、あたしも頑張るかと、気合いを入れてデスクに座った。





「そういえば三多は?」

「何か、会長直々の仕事してるらしいよ」

「へえ」

「……」



オフィスで耳にしたそんな会話は、聞こえなかったことにした。





end?

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