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ディアに軟弱と言われてしまいましたが、レオ、レオニオスはとても強いです。

私なんて剣術だけなら一分持ちませんよ。

マーリアス家は元々我がヘルツォーク家を守る剣となることが宿命の家系ですから。


ディアも剣術は私より強いのですよ。


歳は私と同じです、若干彼の方が先に産まれています。

姉を見て育ったからでしょうか、とても自立心が強く、私と同い年とは思えません。

彼も私を年下の弟のように接してくることがよくあります。


もっとも彼らには正真正銘の弟がいらっしゃるのですけど、彼ら曰く可愛げの欠片もないそうです。とてもいい子なのですが、私の前では猫を被っているそうです。


壁を作られているようで少し寂しいと思っていることは内緒ですよ?



私たちは大広間の上にあるバルコニーに来ました。

そこは人もあまりいないので私たちはいつもそこで休憩したりしています。

もしかしたらレオがいるかもと思ったのです。




果たしてレオはそこにいました。

手すりに寄りかかるようにして我が家の自慢の中庭をぼんやりと眺めていました。

どことなく服装や髪が乱れてもの憂げなのは気のせいじゃないのでしょうね。


『レオ! 

お久しぶりです、お元気でしたか?』


ハッとしたようにレオはこちらを振り向きました。

声を掛けてきた相手を認めると、親しい者だけに向ける笑顔を見せてくださいました。

いつもこの笑顔なら女性が放っておかないのに、女嫌いとは残念です。


「ユリウス!

久しぶりだな、オレは元気だったが、お前こそ元気か?

さっき遠くから見た時は辟易してたが・・・・・そうだよ。


どうにかしてくれ、あの女豹ども、身の危険を感じたぞ!?」


『それは「まったく、この軟弱者!

マーリアス家の者ならそれしきのことたやすく退けられるようにおなりなさい。

なさけないことですわ。」・・・だそうです。」


豊かな金髪を掻き上げ、キッとレオを睨み付けながらディアはそう言いましたが、私達男二人は(ムリです!)と叫びました、内心で。

恐ろしくて口には出せませんでした。




そんな人間たちとは無関係に、なんとはなしにバルコニーから見た中庭はとても綺麗でした。


光魔法の一つ、《栄光グロリア》でぼんやりと照らされた花木は、まるでそれ自体が光っているようで幻想的です。


二、三センチと、ホタルと同じくらいの大きさの光を放つ《栄光グロリア》は、火ではないので火災の心配をしなくて良い上に、そのカタチから蛍火と呼ばれることが多く、間違えて覚えている人も結構いるそうです。


一年生ソロの初めで習う、言わば初歩の初歩です。

実際、学園に入る前から使える子も多く、貴族ではこの魔法が使えれば、社交界に出席することが許されます。


と、いうのも、パーティーのホストに挨拶をした後に、招待状に記されている所、普通は中庭に一人一つ、明かりを灯すことがマナーとなっているからです。


「さすが、公爵家ですわ、何度見てもうっとりさせられます。

国一番美しい中にはとの誉れは伊達ではありませんわね。


マーリアス家はどちらかと言えば武に秀でた家ですから、中庭も子供たちの鍛錬の場となってしまって、花を植えたそばからすぐに踏まれてしまいますもの。嘆かわしいことですわ。」


ディアも女の子ですからね、美しい花を愛でたいのでしょう。


そういえば、マーリアス家を訪れた時は中庭には芝生ばかりで花といえば木に咲いているものだけだった気がします。


そういう理由があったとは知りませんでした。ヘルツォーク家には他にも中庭があるので、私はいつもそちらで鍛錬していましたし、そこでも花壇には花が植えられていたので、どうして殺風景なのだろうと気にはなっていたのです。


「何を言うか、一番花をダメにしているのは姉貴だろうが。」


あきれたようにレオは姉にツッコミました。

意外・・・でもありませんが、ディアの性格を考えると。

しかし言ってはならないこともあります。


本人は憮然としていて不本意そうです。


「まあ!

なんてことを言うの、愚弟。

ワタクシはマヌケにも花壇に突っ込むなんて失態致しませんわ。」


「突っ込んでないけど、弟どもをふっ飛ばしたり、放り投げたりしているじゃねえか!!

忘れたとは言わせねえ。」


「忘れましたわ。」


「オイ!」


「だいたい愚弟、あなたは・・・・・・」


「んだと、この・・・・・」


・・・・・仲がいいですねえ。

姉弟間のコミュニケーションは大切ですよ。

こういうのを見ていると私も兄弟が欲しかったとつくづく思います。


そうやって微笑ましく見守っていると、いつの間にか口ゲンカからにらみ合いに変わっていました。両者共に一歩も引かず殺気立っていますね。


姉弟の視線が交わっている直線上にうっかり立ってしまった者はすぐさま石化してしまいそうなくらいの眼力で、背中に龍虎が見える気がします。

無言で目を逸らさせていただきました。


さすがに止めたほうがいいかな、と思って少し低い声を掛けると、二人はフイっと視線を逸らせました。


「すまん。」


「申し訳ありません。」


居心地が悪そうにしながら謝ってきました、別に怒ってはいませんが。

まあ、そう思わせておきましょう。


『仲直り、しますね?』


「「ハイ。」」


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