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入学編

学園ものに挑戦!

でも通ったことないから分からない。

イコール想像。

私は今、何処にいるでしょーか?(某イモトア○コ風に)




「ユリウス様、お誕生日おめでとうございます。」


『カリスト卿、ありがとうございます。』



はい、正解は公爵家の大広間です。煌びやかな、しかしそれでいて品のある空間となっております。


ついでに淑女(と書いて女豹と読む)の皆さんとワイン片手に歓談しています。

年齢? 16歳になったばかりです、ユリウス、つまり、私の誕生会ですから。


え?

未成年?


ハハハ、やだなー。

この世界に未成年者飲酒禁止法なんて存在していませんよ。


あー、この世界? とか疑問に思うのも無理ないですよね。

実はワタクシ、公爵家に転生してしまったんですよ。ちなみに前女、現男です。


だからどうすれば女性が喜ぶか大体わかってしまって。

しかもそれを実行するから大人気になってしまった模様です。



・・・ハイ、スミマセン。そしてぶっちゃけ羨ましいです、壁の花になってしまった紳士方。

彼らからは恨まれてはいないようです。それどころか同情されています。


そうですよね、ギラギラと今にも舌なめずりしそうな肉食系女性に寄ってたかって詰め寄られていたら、恨む前に同情しますよね、ええ。



だから、だからどうか助けてください!



なんで、こんなに女性からモテているかって?

もちろん女性への接し方もあるんですけど、私の家、ヘルツォーク家っていうんですけどね、ほら公爵家って言ったでしょう?


つまり、王族なんですね、王位に着く可能性が一番高いんですよ。

今の王には子供がいませんからね。

私は王位継承権第二位です。一位は父上ですよ、父上は王弟ですから。

宰相もしていらっしゃるんです、すごいですよね。


さらに私、なんと公爵家なのに一人息子なんですよ。

はい、公爵家なのに。



どないせえっちゅうねん!?


はっ!?


申し訳ありません、取り乱しまして・・・某食い倒れ出身でもないのに何故方言が。

しかしどうしても言いたいことがあるのです。



父よ、母よ。

私は言いたいです。

何故兄弟を作られていないのですか!?


私が王位に着いたり、不幸に遭ったりした時に誰が公爵家を継ぐのですか!

あれですか、絶対死ぬな、王位と公爵家の二足のわらじを履けとでもおっしゃるのですか!


なんてヒドイ、いえ、両親は親バカですからそんなつもりは全然これっぽっちもないのでしょうけどね。


そういうわけで、女性陣からすると私ってカモがネギどころか鍋まで背負ってノコノコ歩いてきたように見えているのでしょうね。



「ちょっと、貴女たち、お退きになって。


ユリウス様、お誕生日おめでとうございます。

そして、お久しぶりですわ、クローディアです。

この前の長期休暇以来かしら。


離れていてもお噂はかねがねお聞きしていましてよ。

なんでも、全ての魔法について素晴らしい素質があると認められて、軽く家庭教師を自信喪失させた挙げ句に、オラトリオ学園を首席合格なさったとか。

羨ましい限りですわ。


ご存知とは思いますが、ワタクシも来年度からは二年生(デュエット)に無事昇進することが決りましたの。


一年生(ソロ)でも成績優秀者は上の学年の授業を受けることが結構ありますから、気軽にお声を掛けて下さいましね。

お力になることが出来ると自負しておりますわ。」


ユリウスに群がる敵を押し退けてそう長台詞を言ってのけたのは、公爵の一つ下の位に位置するマーリアス侯爵家令嬢、クローディア嬢。

ベルバラにでも出てきそうな見事な金髪ロールは他の令嬢の追随を許していません。


少し気の強いところもありますが、馴れればそれも魅力な、私の幼なじみの一人です。

そして許婚でもあります。私としては頼れる姉といったもので、将来的には姐さん女房的に尻に敷かれそうな予感がしますが。


『お久しぶりです、クローディア「ディア。」・・・はい、ディア。

ますますお美しくなりましたね、これ以上綺麗になられると直視出来なくなりそうですよ。


ところで、レオは、今日はいらしていないのですか?』


「まあ! ユリウスったら、ワタクシをたらすのもいい加減にしてくださいますこと。

これ以上ワタクシをどうするおつもりですの?」


『たらす? 人聞きの悪いことをおっしゃらないで下さい。

私はただ、率直に申し上げただけです。


あの、レオは・・・?』


ディアが年々美しくなっていることは事実です。人を女たらしのように言わないで欲しいですよ。


そう思っているとディアは美しい金髪に似合うドレスの腰の辺りに両手を当てて、ため息をついてしまいました。困りましたね、何か失言でもしてしまったのでしょうか、心当たりが無いのですが。


「まったく、あなたって人は本当に天然培養なのですから。

おじ様方も親馬鹿も大概になさいませ。


このままでしたら学園に入学したら、一日一通手紙を寄越しなさい、とでも言い出しそうですわ。」


すごいです、ディアは千里眼か地獄耳でも持っているのでしょうか。

そっくりそのまま言われてしまいました。


その親馬鹿と言われてしまった私の両親ですが、今もお祝いに来た貴族の方々とお話をしています。


大勢に囲まれた父上はげんなり、そしてピリピリとした雰囲気を漂わせていて、父上のことをよく知る母上を始め、私やメイド、執事などは、触らば斬る、とでも言い出しやしないかヒヤヒヤしています。


その点母上はそのことをおくびにも出さずにニコニコとさり気無く父上の服の袖を掴んでいました。ナイスです。


父上は、今でこそやり手の政治家として政界のトップとして君臨していますが、若かりし頃は大剣の使い手として名を馳せたそうです。


銀色の髪が似合う、氷のような水色の双眸で睨まれたらその身は砕け散ると真しやかに噂される、冷酷非情な黒衣の宰相として他国からも、自国からも恐れられていますが、兄である王や、一部の同僚、家族に対しては一転、人間らしさを見せてくれます。


特に母上と私に対してはその端麗な相貌を崩して溢れんばかりの愛情を注いでくれているので、私はイマイチ父上の噂の数々がピンときません。


毎晩父上の仕事帰りに、まるで生き別れの相手に会ったかのように大げさな抱擁に意識を飛ばしかけます。


母上は、もうすぐ学園に入学するような息子がいるとは思えないような若さを保ち、いつもニコニコと朗らかと笑っていて、淡いはちみつ色の金髪と萌葱色の瞳にプラスしてその笑顔はとても魅力的だと思います。


私の髪は父上と同じ銀髪ですが、萌葱色の瞳は母上譲りです。


屋敷の管理をしているのは主に母上ですが、実は精霊魔法の達人で、戦場では女ながら父上の背中を任せられたとか、私の魔法への素質は母上譲りらしいです。


一度スイッチが入ると笑いながら周囲を爆発させたという逸話もあったり、滅多にあることではありませんが、夫婦ゲンカの際に屋敷ごと父上を爆発させた時もありましたね。あれには唖然とさせられました。子供ながらに怒った母上には逆らわないようにしようと思いました。


『さすがに毎日はキツイので、一週間に一通にしていだだきましたが。

ディアにはお見通しでしたね。


ああ、いつもの場所に行きましょう。


それよりレオです。いらっしゃらないのですか?』


ディアは誇らしげに胸を張りました。

手を差出し、腕に絡ませると、二階へ続く階段へと足を運びます。

歩きながらも会話は続きました。


「何年あなたの家と付き合ってきているとお思いですの?

生まれた時からでしてよ。そこらの者と一緒にされては困りますわ。


ワタクシが同じ学園におりますし、レオも入学しますからご安心して下さいと手紙をお送りしましたのに。過保護ですわ。


さて、そうですわ、レオなら・・・あら?


先ほどまでは確かに隣におりましたのよ?

・・・きっと女どもをかき分けた時にでも負けてしまったか、絡まれてしまったか、どちらかですわね。


まったく、軟弱ですわ。」


レオ・・・知らぬ間に可哀想な目に遭ってしまわれたのですね。


そういえば、先ほど、女性らしからぬ叫び声が聞こえた気もしました。

本能的に聞かなかったことにしてしまったのです。酷いことをしてしまいました。

すみません、レオ。



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