参、林檎
現代に戻りました。ありゃ?
長すぎる物思いから覚めた私は、レイ様を見る。
あれから三年。レイ様をじぃ…、と見ると、少しずつ雰囲気が変わっていっているのがわかる。
それはレイ様が成長していっているわけで、月日の長さを感じる。
といっても、レイ様が今何歳で、男なのか女なのかもはっきりわからない。でも、少女を気にしていたあたり、レイ様は男なのだろう。
「へくしっ」
現在、私はヒトという便利な型をとっている。黒髪の男の姿。
しかし、聴覚、視覚、嗅覚、脚力などは以前と変わらない。猫の姿より得だ。
レイ様は、猫の姿の方がいいと言っているが、あくまで私はこの姿が良い。
しゃくっ
見ると、レイ様がどこから取り出したか、林檎を齧っている。
「相変わらず、好きですね、林檎」
びくっ
ばれていないとでも思っていたのか、レイ様はぎくりとする。すかさず最後の攻め。
「あまり食べてばかりでは、太りますよ、レイ様」
くるっ
「別に食べてばっかりってわけじゃっ、そ、そそそそそそっ、それに、もうかじっちゃったしっ、えっ、何、ほ、欲しいわけ!?」
「顔が赤いですよ。あ、そうそう、林檎を食べすぎると顔がもうそれはそれはり……」
「ええええええええええええええええ*#%%&$~~~」
「嘘です」
「ほっ」
「ですが――」
しゃくり。
私は、'レイ様が手に持つ林檎を’横から齧る。
「は、はひッ!!????」
「太られては困るので」
ずさささささささっ
「ちょ、えっ、ええっ!!?お、おまっ」
「?」
意味がわからず首をかしげると、数十メートルほど先からレイ様が叫んだ。
「ふ、ふっ、ふさけんなあ~~~~~~~!!!!!!お前少しは常識ってもんをぉ~~~~~~~~~~~~!!!//////////」
☆★☆★☆★☆
「もうっ、やめてねそーゆーの!!!」
「はぁ・・・」
よくわからないがレイ様がそういうのならしないでおこう。
私は今日、一つ学んだ。
ありがとうございました。
蜜柑