第四話
ウーリィと別れもう少しだけ、と手掛かりを探していたが夕方になり、そろそろ夕ご飯時でまわりからいい匂いがたちこめてくるとラトのお腹が鳴ったため宿に戻ることになった。
あいかわらずどこに入っているのか不明な量を平らげ部屋に帰ろうとすると、泊っている宿屋のおばさんがラトを呼び止め明日からコッカラ島への飛行船が運航するようになったことを伝えた。
聞いた時はもちろんびっくりして、それと同じぐらい喜んだいたが部屋に帰りよく考えると変な感じがする。今までどんなに探し回っても手掛かり一つ出てこなかったのに、いきなり明日から運航と言われても・・・という感じである。宿屋のおばさんに運休していた理由を聞いてもそれはわからないと言っていた。理由もわからず運休になり、それまた理由がわからずに再運航になった。何かが引っ掛かる。とベルが言っている。
「でもこれでコッカラ島に行けるね」
ラトは変だなと思うが、そこまで気にせず喜んでいる。
『やっぱ別のとこ行くか?なんか怪しいんだよな・・・』
「えーコッカラ島行きたい。大丈夫だよ、ベルは気にしすぎなんだって」
他の場所へ行くよう勧めるベルにせっかく運航しだしたのに、と食い下がる。
『けどなー・・・』
『ラトに賛成。あなたの行きたいところに行けばいいわ。ベルのことなんて気にすることないわよ』
『お前は!・・・明らかにこれは怪しいだろ、避けて通れる危険は避けるべきだ!』
『何かあれば私が守るのだから危険なんてないわ。ね、ラト』
「大丈夫!何とかなるよ。ベルは心配性さんだな~」
『ちげぇし・・・もう、好きにしてくれ』
あきらめ半分どうにでもなれというやけくそ半分という感じでベルは白旗をあげる。
今までこの二人のタッグに勝てたためしはない。単純ながら突っ走り癖のあるうえに言い出したら聞かに頑固なところもあるラト、ラト至上主義兼子離れできない過保護な母親役なアオイ。どうしてこの二人を止ることができようか?いや、止めることなど不可能なのだ。
考えても無駄なことはできるだけ考えないようにしているし、口に出さないようにもしたいがラトは見て危なっかしい。そもそも警戒心というものを欠片も持っていないということが問題なのだ。その原因がベルとアオイであろうと、そんなことは棚にあげておく。
ラトの両親にも一人娘ということで大事に育てられ、アオイに特に過保護で箱入り娘かと言うほど大事にされていた。だからなのか、他人の悪意というものにとても鈍感だ。要するに性善説肯定派とうか単純に根っから悪い人はいないと思っている。
そんなんだから更にアオイが過保護になるという悪循環?でここまで来ている。
おかげでもともと他人を気遣うというスキルなんてなかったはずのベルが苦労人という称号を得ているのはこのせいともいえる。本人的には不満極まりないのだが。
□ ■ □ ■
「チケットも買ったし天気もいい!」
ラトは空を見上げながらうれしそうにガッツポーズをした。
『よかったわね。これなら飛行船も飛びそうだし』
「本当だね~」
『また口に出てるぞ』
「うぁ!」
『だから出てるって!』
『えへへへ、うっかりうっかり』
『うっかりじゃねぇ、いっつもだ』
他の乗客からは多少おかしな目で見られたがそこまで気にかける者もなくラトのひとり言(周りから見た状況)は流されていった。
先ほどよりも人が増え、そろそろ離陸時間が迫ってきたことを飛行船乗り場の職員が伝えて歩いている。乗客たちは乗り遅れては大変と次々に乗り込みラトもその人ごみに流されるように、というか周りより小さなラトは完璧に流され飛行船に乗り込んだ。
流されまくった結果一般用席のある区域の端まで来てしまい、すぐそこには特別要人席のある通称金持ち部屋の目の前だった。
今まで飛行船が運休していたためさんざん待たされた人たちのおかげで飛行船はめでたく乗船率200%という帰省ラッシュか!と突っ込みたいほどの混雑に押し流され本来来ることのない区域まで来てしまったのだ。
「うぅ~死ぬかと思った!押しつぶされてぺしゃんって!」
「それは大変。僕の部屋で休む?」
人ごみに流されたせいで乱れた服や髪を直していたラトは近づいてくる人に気付かず声をかけられた方向に顔を向けた。
久しぶりの更新・・・亀以下更新なのでご了承ください・・・




