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第一話

あー・・・

見切り発車ですけど、お暇のある方はどうぞお付き合いください。

種族・人族、性別・女、年齢・16歳、名前・ラト、自分の一番好きなところ・蜜柑色の髪。どこにでもいる平々凡々な普通で平均的、一般人な私には他の人とは違うちょっと変わったとこがあります。それはどんなことかと言うと、私の内側ナカには2人ほど居候がいるって言うことかな。


そんなわけで、私二人の体探しの旅に出ます。




■ □ ■ □ ■




ファルディ国南側に位置する港町、イールに1人の少女が降り立った。

少女はぐっと背伸びをすると、青空に顔を向け大きく深呼吸を一つ。それと、花が開いたかのような笑顔を浮かべた。


「ふあ〜やっと着いたー・・・それにしてもおっきな町だね」


『そうだな、悪くねぇんじゃねーの』


ひとり言のようにつぶやかれた言葉に答える声があった。ただし、周りからのではなく自分の内側からで、他人からみれば少女の言葉は紛れもないひとり言だ。

成人した男性の声で、でもいたずら盛りな少年のようにどこか茶目っ気を含んで聞こえる。

少女は周りの人たちから見れば一人百面相と言うかちょっとした不審人物みたいな目で見られていることなんか全く気にせず、どうしようかとあたりをきょろきょろと見渡していると再び内側から声が響く。


『余所見してっとあぶねぇぞ』


『もう遅いわね』


先ほどから話しかけていた声とは違う、透き通る水のような清涼感あふれる女性の声が答えた。


「あたっ!」


「あ―――」


少女がよそ見をしながら歩き、前から来ていた青年に気付かずぶつかってしまったのだ。平均的な16歳より小柄な身体はぶつかった衝撃に耐えられず倒れこもうとしたが、青年がとっさに手を引き抱きこんだおかげでこけることは回避できた。


「大丈夫?怪我とかしてない?」


「ん・・・大丈夫。助けてくれてありがとう。それとぶつかってごめんなさい」


「怪我がないのならよかった。僕のほうこそちゃんと前を見て歩いてなかったからごめんね」


少女と青年は目が合うと二人して気が抜けるような笑みを漏らす。二人の間にはのほほんとした空気が流れた。


「私はラト。お兄さんの名前は?」


「僕?んー・・・」


ラトの質問に青年は考えるように首をかしげた。

もしかして名前聞くのはだめだったかな?と思い言えないのならいいと言おうと口を開くと、一足先に青年が自分の名を口に乗せる。


「ウーリィ。わかるかな?僕の名前はウーリィって言うの」


「ウーリィね。わかった!」


「ふふふ、よかった」


ウーリィの名を聞き元気よく答えたラトに小動物を愛玩するようにほほえましい視線を送った。

のんびりと自己紹介していたラトに男性の方の声が話しかけてきた。


『ラト、あんま知らん奴に関わるな』


『えー?どうして?ウーリィいい人だよ』


『どうしてもだ。お前は警戒心ってものがなさすぎる!いっつも言ってることだけどな』


『そうかな?』


『そう!とりあえず早く宿決めねぇと今晩野宿になるぞ』


『それはやだ!早く見つけるね』


『おう、そうしろ』


急に黙り込んだと思ったら一人百面相をしだしたラトに心配したウーリィは顔を覗き込む。


「どうかしたの?」


「うあっ!ごめんなさい。ちょっと・・・えへへへ・・・」


とっさの言い訳もも出てこず笑うことで誤魔化そうとするラトに「大丈夫ならいいや」と頭をなぜた。


「あの、それじゃあ私そろそろ行くね。これからはちゃんと前見て歩くね」


「うん。僕もちゃんと前を見て歩くことにするよ」


頭をなぜられ再び落ち着きそうになったラトは「宿だ!」と目的を思い出し、ウーリィに別れを告げ今夜の寝床を探しに町の中心部に向かうことにした。


宿のことで頭がいっぱいなラト、以下二名にはウーリィの「面白そう。それにラト可愛かったなー」と言う微妙に不吉な声は聞こえなかったのは良かったと言えるだろう。

例え聞こえなくても嫌な気満々に感じているラトに居候中な男は、思わずため息を吐きたくなった。

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