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衣織の物語  作者:
42/65

衣織の物語40「部活動紹介」演劇部2

先輩「初めてだと、ちょっと驚くよね。雑然としてるし、初心者には何だかわからないものが多いよね。おまけに薄暗いし」

私があまりに部室内をあちこちキョロキョロ見回していたので、先輩はそう言った。

私「イエイエ、とても興味深いモノばかりです。いままで見たことないものばかりで、ちょっと触ってみたくなりました」

先輩「演劇の道具類は、結構危険なものもあるから、実際に操作したり使ったりするのは、説明を受けて慣れてからにしたほうがいいよ。」

私「ハイ。わかりました。でも、ホント、おもしろそーですね」(いかにも初々しい新入生の答え)

先輩「そーだね」

 部屋の薄暗さに慣れた目で見ると(今どき、白熱電球が一個、天井からぶら下がっているだけなのだ)、部屋の隅には、大きなライトやそれを支える支柱のようなもの、ヘビみたいな電気コードや配電盤のようなもの、太いロープなども置かれている。演劇には、電気の知識も必要なのかな?

 もう一方の壁際に置かれた棚には、メイク道具があった。これを見逃す私ではない。こりゃ、学校で合法的にメイクができると思ったのだ。舞台メイク、さらにはその練習と言われれば、パパもママも文句は言えまい。ヤッター! 力の限り、メイクをするぞー!


 と、私が内心、激しく喜んでいたところに、部員らしき人たちが3人、ドヤドヤと入ってきた。

女子「オッ、新入生?」

私「(笑顔でうなずく)」(演劇部女子って、男っぽいのかな?)

先輩「そう、見学に来てくれた」

私「(3人に向かってニッコリ)」

女子「そーなんだ、ぜひぜひ入部を前向きに考えてね。女子は私一人だけなんだー」

私「(ニッコリ)」(グイグイ来るなー)

先輩「まあまあ、そんな焦んないで。いろいろ話をしてたところなんだから」

私「(うなずく)」(先輩、やさしー)

 みんな私に興味津々である。そんなに新入生が珍しいのか? 後で聞いたのだが、そもそも見学や体験入部自体、演劇部はここ数年参加者がおらず、先輩方も、顧問の先生の勧誘や、友人の紹介で入部したそうだ。部員の入れ替わりもあるらしい。


 この後の自己紹介によると、さきほどから優しく対応してくれてるのは部長の先崎さん、3年男子。後から入ってきたのは、副部長の星さん2年女子、会計係の遠藤さん、2年男子ということだった。

部長「もう一人いるんだけど、今日もさぼりか」(やれやれ顔で副部長を見る)

副部長「そのようですね」(これも同じ)

 私を見てずっとほほえんでいる遠藤さんからも、私を歓迎する気持ちが伝わってきた。

部長「これだけしか人がいないから、大道具制作や小道具の準備、メイクや衣装などは全員で行い、本番当日も、キャスト(役者)と音響・照明も、それぞれ分担して全員で行うんだ」

副部長「一人で何役も兼ねてやらないと、お芝居が成立しない。私も初めは、演劇というと舞台上で役者さんが演技するだけのイメージだったんだけど、中に入ってみて初めて、その他の仕事もたくさんあることを知ったよ」。

遠藤「しかも、上演まで約半年間の準備の時間がかかる。高校演劇の上演時間は、春の発表会も秋のコンクールも60分間が基本だけど、その1時間のためにすべての情熱と労力をかける」。

部長「あっという間に上演は終わるのに、そこに至るまでの準備期間はとても長いんだ」

 先輩方の話を聞きながら私は次第に、そこに居心地の良さを感じていた。先輩方は皆、私を優しく迎えてくれている。

 私の新しい居場所が見つかった気がした。


 後で聞いたら、友人たちはこの部室に幽霊が出るという学校の七不思議をどこからか仕入れていたらしい。下手に他人に話すと呪われるという。それで、理由を何も言わずに私を止めたのだった。

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