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衣織の物語  作者:
34/65

衣織の物語32「イケメンについて」

 ここでちょっと、イケメンについて語らせてほしい。

 そもそも私の住む町には、イケメンがいない。学校にも、町を歩いても、それらしき姿は皆無である。至極残念だ。中学には一人だけいた。例のすきっば君である。すきっばであることで、すでにイケメンではなかろうと思ったそこのあなた。誤りである。間違いである。彼だけは、絶妙なすきっばなのだ。すきっぱなのに、イケメンなのだ。これについては、もーね、会ってもらうしかないのがはがゆいところだ。パパもママも、「あれのどこがイケメンなの?」と失礼なことを言うのだが、私はイケメンと認定している。


 あれ? いま思ったんだけど、すきっぱは、個人的な私の好みなのか? いや、私自身、すきっばが好きなわけではない。嫌いなわけでもないが、まあ、フツーだ。彼のすきっばだからいーのである。

 そーなのか? だんだん不安になってきた。でも、貴族がイケメンと思い、そう言っているのだから、庶民はそれに従うべきである!(とりあえず、いまはそーしてほしい)


 それで、何の話をしていたかわからなくなってきたが、とにかく、私はイケメンが好きだ。イケメンは、私の心の栄養である。帰宅後の安らぎは、ネットでのイケメン鑑賞である。(ネットって、ほんとに、文明の利器よね♡) これによって私は、心の平衡が保たれておる。良きかな。たまにパパから、「だらしない顔になってるよー」というツッコミが入る。その一瞬だけ、多少の恥じらいを含んだ顔で、「いーの!」と答える私。こないだ、パパがそんなに言うならどんな顔かと思い、自分の部屋でコッソリ鏡でわが顔を覗いてみたら、たしかにだらしなかった。「だらしない」という表現がぴったりの顔。それからは、スマホを眺めて悦に入りながらも、時々我に返って表情を整えるようにしている。

 私は時々忘我の境地に入る。でも、できるだけ、自分を忘れないよーにしてる。人前で、できるだけ相好を崩すことのないよう、取り計らっておる。

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