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衣織の物語  作者:
29/65

衣織の物語28「塾1」~だが私は生きている。こんなんでも!~

 高校受験に備えて、中学2年の時から塾に通っている。学校の勉強だけではどーもモノタリナイ感じがして(失礼)、パパとママに頼んで通わせてもらうことにした。パパとママは、「ちゃんと自分で勉強できるのであれば、塾に行く必要はない派」なのだが、私は派閥が違う。学校のみんなも通ってる。急に成績がよくなった友達もいる。従って、各方面からいろいろな塾の情報を集めた。検討したのだ。その結果、家からも近く、合格実績もいいと評判の塾を選び、体験授業を受けた。まーまーだった。でも、それをそのまま伝えると、賛同は得られない。両親には、「すごくよかった。やる気になった」と伝えておいた。実は仲良しの友達がそこに通っており、他の中学に行ってる小学校時代のクラスメイトもいたので、そこに決めたのだった。塾後の楽しみがあると踏んだのである。言えないけど。

 貴族には、心の余裕が必要である。ゼッタイニ。勉強だけでは、この受験戦争の荒波を乗り切ることはできないであろう。大船に乗るべきである。寄らば大樹の陰である。(使い方違う?)


 イチオー私が目指しているのは、難易度が高いとされている高校だ。ホントに難関校に入れるのだろうか? 合格可能性は? 残念なことに、そのあたりの判断能力が、私にはない。見事に欠けている。そこが自分ながらもまったくもって残念なところである。判断材料はある。模擬試験の結果である。成績は、だんだん上がってるような気がする。多分。だって、BがAになってる。ただし、BとAの違いがいかほどかを理解する力が、私には、ない。BとAの意味するところも、なんとなくしか分からない。しかし私は生きている。こんなんでも! たとえパパとママに責められよーと。そんなことも知らないのかと。


 たしかに、情報を正確に把握し、その意味を理解する力は、あった方がいいだろう。受験は一点を争うキビシイ世界だ。私はといえば、受験に焦っているような、そーでもないような、自分でもよくわからない精神状態にいる。自分でもよくわからないのだから、パパとママにわかるわけがない。私は自分の部屋で夜、勉強しているのだが、勉強しているのだかしていないのだか、両親にはわからない。自分でも、勉強しているよーなしていないよーな、つまり判然としない。机には向かっている。時間も経過する。自分では勉強しているつもりだ。だが、たまにママがのぞくと、そのようには見えないらしい。遊んでるとは言わないまでも、集中しているようには見えないらしい。「でも、ちゃんとやってるよ!」と言うが、説得力に欠けるらしい。不思議だ。多少の腹立ち。

 それに、勉強の成果は、模試の結果として現れるそうだが、私の場合、そーとも限らない。今までの結果表を見ると。だからパパとママは半信半疑になる。これは、仕方がないのか? どーしたらいいんだろう? 「自分なりにやってるよー」と言って、その場を濁す私である。


パパ「進路はどーするの?」

ママ「受験校はどこになるんだろ」

パパ「アイツ、何になりたいんだ?」(最近、「アイツ」呼ばわりが多くなってる。失礼な!)

ママ「特にないらしいよ。なりたいものが」

パパ「それが一番困るんだよなー。なりたいものから逆算するだろ?」

ママ「逆算って何?」

パパ「だから、なりたい将来から、現在を考えるんだろ? 進路って」

ママ「あーなるほど。そこにたどり着くにはどんな進路をたとればいいかがわかるってことね?」(逆算て表現、あってるかなー?)

パパ「そうそう。だから、なりたいものが決まらないと、大学はどこにするか、文系か理系か、どの高校に行くか、とかが考えられないんじゃないか?」

ママ「そーね。困るわね」

という会話が、また、下界から聞こえてきた。天上界に住む私には、内容が理解しがたい部分もあるのだが、二人が私のことを心配しているらしいことはわかった。


 私には、物事を整理して考えるという能力が不足しているのかもしれない。整理キライ。その場の感覚で生きてる部分がある。幼少期から、音楽に親しんだせい? 芸術脳? そんなのある? 芸術家に失礼?

 たしかに部屋は片付いていないかもしれない。(自分では整理されているつもりなのだが) 「モノの整理ができない人は、人生も整理できない」とは、パパの名言である(らしい。自分で言ってた)。パパも昔は整理できないタイプだったらしいが、仕事上のトラブルを避けるために、いつの間にか整理できるようになったそうだ。間際になって切羽詰まって慌てるのが嫌いらしい。心と時間の余裕を重要視するようになったらしい。

 ついでに言うと、パパは、人混みが嫌いだ。群衆に巻き込まれるのがイヤなんだそうだ。私もその気持ちは多少理解できる。私も、どちらかというと、目的地に向かってダッシュする(してしまう)タイプだったのだが、何度かパパに制止されてからは、みんなに先に行ってもらって、空いてから椅子を立ち上がるようになった。確かにこの方が、トラブルに巻き込まれたりケガをしないで済む。多少の時間の遅れは、気にならない私である。パパもあるいはこんなふうに次第次第に性格が変わっていったのかもしれない。私も変われるのだろうか? 落ち着きというものが身につくのだろうか?


 モノゴトを整理できるようになるためには、どーすればいいんだろう? 教えてー!「身辺整理できない人は、良縁に恵まれないわよ」というママのお言葉が、ときどき私の頭に浮かぶ。それは困る。ヒジョーに困る。今はいいけど。「そんなんじゃあ、人間関係も片付かないよ」とパパは言う。コマッタナー。


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