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衣織の物語  作者:
22/65

衣織の物語21「浪江町5」~ママの卒業アルバムと私の死にかけ事件~

 家の中にお邪魔して、私たちはまず各部屋を見て回った。この家の私の記憶は4歳までである。でも、いろいろ覚えてた。リビングに残された置物。小さいころに寝せられていた部屋。神棚。一階の西側にある、ひいおばあちゃんの部屋で遊んだこと。トイレやお風呂場の様子。それらを確認後、2階のママの部屋を探検した。やはりここも片づけられていて、ほとんどものが残っていなかった。ママの勉強机も無くなっていて、パパが残念そうだった。聞くと、そこに古いキティーちゃんがいたそうで、それを私に見せたかったらしい。ママは、問題集はたくさん並んでたけど、ほとんどやってなかったから見られなくてよかったと、パパにささやいていた。(ほぼ聞こえてた)


 浪江に行く前、2階のママの部屋の押し入れに、たくさん物が詰まっていたことをママは嘆いていたけど(だって、片付けなくちゃでしょ)、押入れを開けてみると、ここも物はほとんどなくなっていた。わずかに、ママの卒業アルバムや大学時代の写真が、ビニールのひもで縛られていた。一緒に2階に上ってきたおばあちゃんが、「これだけは取っといた方がいいと思って」と言った。それらの写真を、今の家に帰ってから、アーダコーダ言いながらママと二人で眺めたことは言うまでもない。髪型が今と違う。着ている服も、私から見ると年代物だ。なぜかパパはあまり興味がなかったみたいで、先に入るよと言ってお風呂に入った。なぜだろう? 何十年も一緒に生活すると、そーなるものだろうか? パパとママの関係性は、ほんとによくわからない。


 1階に降りて、缶コーヒーをごちそうになった。私が小さいころの話が出た。庭でバーベキューをしたこと。飼っていた犬が、そのいい香りに全く反応しなかったこと。田植えの時に、あぜ道でおばあちゃんと遊んでたこと。歯を磨く特に踏み台を踏み外し、舌を1/3くらい噛み切って危うく死にそうになったこと。町の催し物に参加するうれしさのあまり、会場に走って行った勢いで、そばの植木に頭から突っ込み、顔じゅう傷だらけになったこと。女の子の顔が傷だらけになってしまって、痕が残ることをみんなでとても心配したこと。赤面である。赤面しかできん。4歳の自分に、今ごろハズカシメられるとは思ってもみなかった。久しぶりの実家である。のんびりしたいのになー。その他にもある私のさまざまな死にかけ事件をママが話し始めそうになったので、アワテテ静止しておいた。これ以上の恥辱には耐えられん。私の貴族としての名誉にかかわる。みなさんはさぞ知りたいだろうが、この他の武勇伝は、はずかしいから言わない。

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