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衣織の物語  作者:
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衣織の物語1「ママと朝のバトル」

 ママの朝は早いらしい。でも私は2階でグースカ寝てるからわからない。ま、朝、たまに下界(1階とも言う)の物音が聞こえないでもない。ママが朝食と私のお弁当を作る音だ。でも、その時の私は、夢うつつ。

 私の起床時間について、ママが想定してる時間と、私の設定時間は違ってる。ママは、6:30。私は7:00。これについては、いろいろごたごたがあった。ママにしてみれば、6:30に起床しないと、ちゃんと学校に行けないし、学校生活がオロソカになるらしい。授業に身が入らないと言う。私にしてみれば、教室に滑り込むのは8:15でいいので、逆算すると、7:00に起きれば十分間に合う。(ただし、ママ運転の送迎付き)

 度重なるバトルの末、最近ママも7:00に起こしてくれるようになった。コンマケと言っていた。


 ところで、私の町では、朝の7:00に、「野ばら」の曲が流れる。スピーカーが町じゅうに設置されているのだ。どうしてこんな朝早くから「野ばら」が流れるのかは、いまだによくわからない。これは、「防災無線」といって、緊急の時に放送で町内に情報を流すためのモノであるらしい。その程度の情報は得ている。しかし寝坊の私には、特に休日にこれが流れると、夢うつつが破られるため非常な不快を感じる。限りなく夢の世界に浮遊していたい私なのだ。あの音楽は、何とかならんものか。

 しかし、大勢がこれに依っている以上は、いかんともしがたい。私は許容の心を持っている。


 話が逸れた。元に戻そう。我が家の朝の風景についてだった。

 とにかく、「野ばら」が流れる。すると、脱兎のごとく階段を上る者がいる。言わずと知れたママだが、敵陣に乗り込む勢いなので、起きかけの時は、その足音が心臓に悪い。高校入試を控えた受験生であるにもかかわらず、お気に入りの動画を眺めて優雅に夜更かしをすることも多い私だ。そんな時は、ママの足音にもまったく気が付かない。ママは何度も声をかけるらしいが、熟睡状態の私には、遠くで何かの物音がしている程度の認識だ。熟睡は、ワカモノの特権だ。(ママは夜中に何度も目が覚めるらしい。加齢?)

 そうして、ママの数度にわたる突っつき攻撃を経て、ようやくわが意識はこの世に降臨する。この寝起きの悪さからすると、前世において私は、貴族階級だったのではないかと、時々フト思う。でも、ママにそんな高尚なことはわからない。そのくせ私の文化を、低俗と評価している。貴賤の境は日本海溝よりも深い。

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