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衣織の物語  作者:
16/42

衣織の物語15「パパとママ」

 彼女の家と比べると、我が家はまだ平和なのかもしれない。時々トラブルは発生する。その火種が数日くすぶり続けることもあるけど。

 うちのパパとママは、あまり大きな(ハデな)ケンカはしない。たいてい、パパがママに苦情を申し入れ、それがママの許容量を超えると冷たいケンカになる。「冷戦」だ。暴力はお互い振るわない。二人の戦いは、心理戦だ。陰湿である。周りによどんだ空気の塊ができる。その塊の大きさによっては、私にも被害が出る。だから、その塊にはあまり近づかないようにする。しかし、能力の低い犬が誤って柵を超えてしまうように、私もときどき考えが及ばないときがあるので、心理戦の最中に飛び込んでしまうこともある。そのたびに自分の無能さを後悔する始末だ。


 またまた話が長くなっているので本題に入るけど、現在、パパとママは冷戦中だ。

 道路の停止線について、二人の意見は割れていた。互いに赤信号が点滅している、小さな交差点でのこと。ママは、停止線の1メートル手前で停止した。助手席に乗っていたパパは、停止線ぴったりに停止せよという。この交差点は交互通行のようなもので、互いに一台ずつ通行するのが暗黙の了解だから、停止線ぴったりに止まらないと、自分に譲ってくれてるのかなーって思って、2台続いて相手の車が進行しようとする。それが危ないとパパは言う。でも、ママは、これが私のやり方なの、運転中に口を出さないでと怒っている。パパは、みんなの安全を思って言ってるのに、なぜそれがわからないと怒っている。

 ママは私を乗せて登下校することが多いので、二人とも事故に遭ってほしくないと思って言ってるパパの気持ちもわかる。実際、その時も、相手方の2台目の車が、1台目に続いて交差点に頭を出した。幸い、相手の車もママの車もお互いに止まったのだが、あのまま進んでいたら衝突していたかもしれない。


 ママは車の運転が好きなのだが、自分のやり方をいまさら変えられないと思っている節がある。運転中にあれこれ言われるのがとても嫌らしい。これに対し、安全を優先したいパパは、なんで俺の言うことがわからないのかと思ってる。

 ママとパパはここでもやはり平行線だ。互いに、相手が自分のことを理解しろと思ってる。ということで、冷戦となる。間に挟まる私は、いつものことと、自分の部屋に逃げ帰る。

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