表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/134

98、約束

「くっ……またしてもやられるとは……何で毎回毎回こうなんでしょうか……嗚呼」


「まあ、恨むなら昨日の残り湯を抜いてなかった銭湯スタッフを恨むのね。それよりも約束を守ってちょうだいよ、ルーラン」


 私は下方からゆっくりと【ザジテン】に接近していく。全身ずぶ濡れの朱色の機体はもはや火炎魔法を撃ち出しもせず、屈辱のためか呆然と立ち尽くしている。あれだけの魔法を連発したのだから、正直言って魔動力の消費も激しかったとは思われるが。


「……約束ですって?」


「もう忘れちゃったの? さっき言ってたじゃないの。『問答無用!御託を述べるのはこの妾に勝ってからにしてくださいませ! ファイヤァァァァァァァ! スルピリドスルピリドスルピリド!』って」


「そ……それは、その……」


「あーら、天下に名高いモイゼルト家のお嬢様が約束を破られるんですか? それって負けるよりも恥ずかしいことじゃないの?」


「むぐぐぐぐ……相変わらずムカつきますわね……ですがいいでしょう、このまま嘘つきと指を刺されるのも妾の沽券にかかわりますし、聞いて差し上げましょう!」


 ようやく固く閉ざされた鉄の門を開くことが出来て私はホッとしたが、まだ戦いはこれからだと気づいて背筋を正して気を引き締めた。これからこの勘違い令嬢を説得して誤解を解かねばならない。でなければこれまで同様何度でも何度でも成功するまで私の命をつけ狙うだろう。それに疑われ続けたままだっていうのは私自身、とても納得がいかない。てか誰よ真犯人!? まあ、それはおいおい探すとしよう。


「じゃあ言うわよ。さっきも話したけど、ホーリンを殺したのは私じゃないわよ! 確かに病院カーに忍び込んだのは間違いないけど、あの中で私は一度たりとも魔法を行使していないわ」


「口では何とでも言えますわ。証拠はあるんですの?」


 炎を操るくせに、彼女の表情は氷で出来た仮面のようで、口調も冷たかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ