92、プロポーズ
というわけで、めでたく幻の姫も悪魔の胴体部に突っ込まれて、暖炉の上のカモシカの頭状態と化しました。ちなみに場所的には右乳首の辺りで、「なんか陥没乳頭になったみたいだ」と悪魔は愚痴っていましたが。
「それにしてもお姫様、策士としての才能もあるとはあんた中々やるねえ。戦闘センスもいいし、度胸もあるし、気に入った! もういっそのこと俺様と結婚してくれよ! こう見えても独身なんだぜ、俺。何千年も何万年も、俺はずっと探し求めていたんだ。自分に釣り合う頭脳を持っていて、悪事を行うのに一切躊躇しない理想の片割れをな。絶対苦労はさせねえし、浮気もしないし、優しくするし、家事は全部するし、ウナギと寿司を毎日食わせるし、パンツは毎日履き替える理想の旦那様になるぜ! どうよ!?」
何と悪魔はこともあろうにお姫様に熱烈なプロポーズをぶちかましたのです。全然イケメンでもスマートでもなくてまさに美女と野獣状態でしたが、熱い情熱だけは凄まじいほど感じ取られました。
「あら、素敵な申し込みね。でも、そもそもだいぶサイズが違い過ぎない?」
「そ……そうかもしれないけど、それはそれ、これはこれ! 愛さえあれば大丈夫!」
何がそれで何がこれなのかよくわかりませんが、悪魔はいわゆる凹と凸のサイズ的なものが自由自在であることを身振り手振りで必至に説明し、お姫様を納得させました。てかこれ、一応良い子向けの童話形式なので、細かいことはここではこれ以上説明できませんので悪しからず。
「まあ、なんとなくは理解できたわ。でも、私たちはまだ目的を達成してなくて道半ばでしょう? 残る二つの国を攻め滅ぼして二人の姫とも融合し、そして見事この世界を手に入れた暁には、そのプロポーズ、考えてあげないこともなくってよ」
「おお、そう来なくっちゃマイハニー! プ〇ーキャット!」
興奮のあまり悪魔はとび上がって喜び、童話にあるまじき台詞を叫びましたとさ。