66、ローションプレイ
「どうせ深夜帯ですし人なんてほとんどいませんですわよ!」
「ええいうるさい黙れ馬鹿カウントダウンTVSEXNTRオホ声お嬢様目、これでも食らえ!」
私は手に持ったお風呂セットの中にあるローションを取り出すと、そのまま握りしめてやつに向かってぶっ放した。
「なななななんですの!? 怪しげな物をぶっかけないでくださいませ! で、それは一体なんですの?」
「聞いて驚け、こいつは乳首の色をきれいなピンク色にしてくれるローションよ! これで貴様の胸からぶら下がっているだらしない乳も放送に耐え姿になるってもんよ!」
「な、なんですてええええええええ!? どこでそんなアレな代物を購入したんですの!?」
「さっき衝突した貨物船が積んでいたラブドールの付属品としてついてたんだよ! 取っておいて良かったわ! ヒャーッハッハッハッハッハッ!」
私は空になったローションのチューブを湯船に放り込むと豪快な笑いを発した。もし今の様子を動画配信していたら、またもやクソコメたちがエロ談義を際限なく始めただろうなあと余計な感慨が脳裏をかすめたが。
「おのれでございますわ悪役令嬢! 妾には途絶えかけている我が家系を存続させる崇高な目的がありますし、しょせんあなたと同じ天を抱くことは不可能です。さっき恩は返したので死んでもらいますわ! スルピリド!」
たけり狂ったルーランは魔法を唱えると炎を手のひらに生み出しこちらに放り投げてくるも、ノーコン振りは健在で火球は私とは数十㎝も離れて通過していき、チューブと一緒に風呂に飛び込んでいってジュッと音を立てて消滅した。
「ハハッ、相変わらずの迷ピッチャーさんね! こっちもあんたと仲良しこよしするつもりなんてさらさらなかったから安心してちょうだい!」
一度ホーリンに頼まれ已む無く助けたとはいえ、ルーランの言う通り確かにその清算はすでに片付いている。ならばここで因縁の決着をつけるのも一興というものだろう。
「熱々のタイルに這いつくばり焼き土下座しなさい! ドネペジル!」
「?」
意気揚々と呪文を詠唱したはいいけれど、まったく魔法は発動せず敵は小首をかしげている。しまった、今日は魔動力はもう残りゼロだったわ! うがああああああ!




