61、パージ
「おバカさんね、あんたは。まんまと私の罠にハマったのよ。ハメたふりしてハメられるとは、あーら情けないったらありゃしないわ! それでも天下のスケ番様なの? おまん〇許さんぜよ!」
「お嬢様! は・い・し・ん・ちゅ・う!」
「えーい、もののはずみってやつよ!」
「ぐぬぬぬこのクソアマ……言わせておけばぁあぁあああああ!」
「スルピリド! スルピリド! スルピリド!」
ブチ切れたメマリーが自機の触手を振り乱しながら襲いかかろうとした時、なんと背後から火球が飛来し、【タイオゼット】に被弾した。
「何してくれんだよルーラン! 何故てめえがこのごんたくれ悪役令嬢に加担すんだよ!? さっきまでバチクソやり合ってたじゃねえか!? おかしいだろ!?」
攻撃を受けた事よりも想定外の現実に衝撃を受け、メマリーは一次的に呆然となったようで、機体の動きがぴたりと止まった。
「その点は確かに妾も不思議なのですが、何せそのセンナさんには貸しが一つあるので、お返ししないといけないのですわ! スルピリドぉぉぉぉぉぉ!」
【ザジテン】は相変わらず左腕を失ってはいたが、残った右手には獲物のメイスをしっかりと握りしめていた。あの崩落現場からなんとか無事に回収出来たのだろう。それで魔法攻撃が可能になったってところか。
「お嬢様! 行くなら今しかありません!」
「わかってるって、アロエ! あーばよー、とっつぁーんじゃなかったメマリー!」
私は二機が交戦状態に入ったのを機会にその宙域を離脱する。とはいってもブースターがかなりやられているため、さっきまでの出力が出ない。もうなりふり構ってなんかいられなさそうだ。
「おい脳みそデバイス! もういらない外装とか装備とかは捨てていって!命には変えられないわ! パージよパージ! キャストオフ! クロスアウ! 全裸刑事チャーリー!」
『ブラジャー……ジャナクッテラジャー!』
脳みそくんも眠そうだけど頑張ってくれて、ガチャガチャと不要な装甲を解除していく。もっとも黒剣ジクアスだけは手放せないけど。