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58、勝利の女神

「見えた! あれよ、アロエ!」


「はい! ようやくここまで来ましたね、お嬢様!」


 はるか遠くに大きなホール状の空間があるのが視認出来た。あそこに後3分以内にゴールしなければ、今までの苦労は水の泡だ。緊張で喉がカラカラに乾いてきた。果たして間に合うのか?


「もはや死ぬ気で特攻あるのみ! 総員歯ぁ食いしばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 勝利の女神がパンティーを脱ぎ捨てておっぴろげているぞおおおおおおおおおお!」


 加速するに任せてガンガンスピードを最高速度まで上げていく。墨を流したような漆黒の航跡を引いて、【ラキソベロン】は無人の白亜の通路を疾駆する。全ての風景は現れた瞬間に背後に消え去っていき、目的地は見る見るうちに迫ってきた。


「あれは……大穴?」


 私は目を見張った。巨大なホールには色とりどりのOBSが集結している様子だが、どうやらその中央部は大きな四角い縦穴が口を開けているように見えた。


「間違いありません。あれこそがコロニーの第三層と第二層とを繋ぐ道、通称グレートホールです。昔、コロニーを建造する際に使用されたものがまだ幾つか残っていると、かつて聞いたことがあります」


「なるほど、それを使って第二ステージに移動させる寸法か。とにかくあそこまで行けば明日に首の皮一枚ギリギリつなげることが出来るってわけね!」


「そうはさせねぇよ! さっきのお返しだ!」


 突如、左側面の白壁が口を開き、なんとミサイルをぶっ放してきた。


「ぎょええええええええええええ!?」


 咄嗟のことに回避行動もままならず、無様に背中に被弾する。バランスを崩した機体は急激に速度を落とし、緊急停止した。どうやらバーニアの一部を破壊されたようで出力が異常に低下している。


「メマリー! あんたどうやって先回りしたのよ!?」


 私は目の前で変形しつつある、見覚えのある腹下し下痢ピースケ番が乗ったサイコロメカに向かって魔動力通信を通じて怒鳴りつけた。

すみませんが明日の更新はアレの最終回なのでお休みです!明後日からまた再開しますのでお楽しみに!

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