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57、死線の果てに

 上空からバラバラと様々な物体が機体目がけて降ってくる。雑貨や本や衣類など、生活用品が多い。多分貨物船の積み荷の一部だろう。なんかラブドールとか混ざってた気もするが、今凄いシリアスな場面だしコメント群どもに餌を与えるのも嫌になってきたのでとりあえずスルーして説得を続けた。


「ホーリン! 無理だって! 逃げないと死ぬわよ!」


「あたしのことはいいから、早くルーランを!」


 私の呼びかけに対しても、彼女は自己を顧みず友を優先するのみで、視界を塞ぐほど【プロベラ】を膨らませる。巨大なクッションは落下してきた大質量を何と受け止め、通路の壊滅をギリギリ防いだ。


「お嬢様、ここは彼女の言う通りにすべきです。でないとこちらも道連れ必死です」


「しゃーないわね、じゃあ気が向かないけどとっととやるわよ!」


 私は瓦礫のお布団に包まれている【ザジテン】に近寄ると、「うおりゃあああああああああああ!」と気合いを込めて機体の両腕をマッハで動かしたちまちのうちに全てを引っ剝がした。


「あ……あ……あり……ありが……と……デスわ」


 すごい不機嫌な声でルーランが礼を述べてくるが、そこまで私に助けられるのが嫌か、こいつ……まあ、気持ちはわからなくもないけど。


「もー、別にいいわよ! それよりも後は自分でやんなさいよ! じゃあ元気でね!アデュー!」


「お嬢様、その挨拶は、フランスでは二度と会わない方のさよならなので、オ・ルヴォワールの方が適切では……」


「どうだっていいわよそんなの! それよりも死ぬ気で猛ダッシュよ! 総員、ショックに備え、最大加速せよ!」


「OK! 準備完了です!」


 アロエも手際よくバーニアをガンガンに蒸かしてくれた。もはや加速魔法は使えない。


「GOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


 雄たけびと共に【ラキソベロン】はほぼ廃墟と化した崩落現場を脱し、矢のような速さで通路をかっ飛ばしていく。もはや床には宝箱も何もなく、遮る者とて誰もいない。おそらく残りのOBSは皆すでにゴール済みか、それとも脱落したかのどちらかなのだろう。深夜の静寂だけが機体を包み、ふと、悠久の宇宙の果てを孤独に旅している気分になった。その時……!

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