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54、切り札

『志村ーっじゃなかったルーランとホーリンちゃん、後ろ後ろーっ!』『ウ……ウソやろ、こ……こんなことが許されええええええええええええ!?』『助けてお母さーん!』『眠気が覚めたよママン!やばいよやばいよガチだよ!ガチ母乳!』


 いつの間にやら我がコメンテーターたちは、一斉にパニック状態に陥っておかしくなっていた……まあ、元から全員おかしかったという噂もあるが。


 それもそのはず、後ろを振り向いたルーランの乗った【プロベラ】が目撃したものとは(どっちが前だか後ろだかわからないが)、なんと暗黒の宇宙空間の中を真っすぐにこちら……つまり【ザジテン】と【プロベラ】の二機のOBSに向かって突入してくる、巨大な灰色の宇宙船だったのだ。


 そう、私は別に眠気でよろけて目標と違う方向に魔法を発射したわけではない。数十分前にアロエは、「今ネットニュースを調べるので、少々お待ちください。えーっと、『また裸同然のセレブが宇宙ショー!』『ブルーベリーの一億倍目に効く薬新発売!』『今夜0時付近、地球からの無人貨物船が宇宙港に到着!』……」と教えてくれた。前者二つはどうでもいいが、最後のニュースに私は着目した。いざという時切り札になると直感的に悟ったのだ。ホーリンも間違いなくそれに感づいた様子だが、もう数秒早ければね……。


「「ああああああああああああああああああああ!」」


 敵二人は仲良く絶叫するも、もはや逃げ場はどこにもない。バキバキという音と共に強化プラスチックで出来た宇宙窓はいとも簡単に砕け散り、パラパラと粉雪のように降り注ぐ。地球からの長旅を終えて入港直前だった無人の貨物船は、轟音と共にコロニーをぶち破って予定より少し早めにお帰りなさいした。帰還した船は幸いスピードが遅かったためか、外壁に食い込んで先端部だけ内側に露出した状態で動きを止めた。

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